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INTERVIEW

Japanese

ミナワ

2016年11月号掲載

ミナワ

Member:長谷川 尚子(Vo/Pf) 和田 直樹(Gt) あべつとむ(Ba)

Interviewer:岡本 貴之

京都を拠点に活動する音響系アヴァン・ポップ・バンド"ミナワ"が、11月9日に『まよいの森EP』を全国リリースする。同EPには、歌詞に現在の心境を垣間見ることができる表題曲「まよいの森」や、エレクトロニカ寄りのアプローチの楽曲を含む全4曲を収録。前作のアルバム『aurora』から約4年ぶりという歳月によるバンドの変化と、今年10月に新たなメンバーとしてあべつとむを迎えたことによる効果が如実に表れた今作について、メンバー全員に話を訊いた。

-『まよいの森EP』は前作のアルバム『aurora』(2012年リリースの1stフル・アルバム)から約4年ぶりの新作ということですが、完成した今のお気持ちを聞かせてもらえますか。

和田:最近、ドラムとベースが抜けてしまったんですけど、『まよいの森EP』の曲は前のメンバーが在籍していた2年前くらいから原曲があって、レコーディングしつつ試行錯誤を繰り返して、やっと今回ちゃんとした形にできたので、すごく達成感があるというか、いいものになったんじゃないかと思っています。

長谷川:ベースのあべつとむが新しく加入したんですけど、この3人になって心機一転、新たな面を見せられたらと思って作った作品です。"やっと出せる"という気持ちで嬉しいです。

あべ:僕は昨年末にこのバンドに出会って、最初はサポートとしてお手伝いしていたんですけど、今年の10月に正式メンバーになって、それからすぐのリリースになります。今作の収録曲はすでにあった曲ということもあって、今までのミナワの世界観があるなかで、どうやっていこうかと試行錯誤があったんですけど、良い意味でミナワをぶっ壊してやろうという意気込みでやらせてもらいました。Track.3「suit」はアレンジの根本に結構関わらせていただいて。この曲はもともと前のメンバーのアレンジがあったんですけど、それを壊して、今までにないような形にしたいなと。ミナワのいちメンバーとして作品作りに関わることができ、"自分もミナワを作っていくんだ"という、いい起爆剤になった作品です。

-ミナワはどのように結成されたバンドなんですか?

長谷川:初代ドラマーとベーシストがいまして、何度かメンバー・チェンジして現在の3人になりました。来年で結成して10年になります。もともと、私がガールズ・バンドをやっていて。今はヴォーカルと鍵盤なんですけど、当時はギターとコーラスを担当していたんです。そのバンドがなくなったときに、ミナワの初代ドラマーとベーシストが女性ギター・ヴォーカルを探していて出会いました。

和田:僕はそのときまだいなかったんですけど、3人で合わせていたときに、"ギターが必要だよね"という話になったみたいで。ドラマーとベーシストは僕の知人だったので、スタジオに入って音を合わせるようになって僕も加入しました。

-和田さんは空中ループのギタリストでもありますが、そちらはそのころからすでに活動していたんですか?

和田:そのころは、空中ループのヴォーカリストである松井(省悟)のソロ・プロジェクトのサポートなどをやっていました。いつしか両方加入して正式メンバーになり、ふたつ掛け持ちをしながら10年間やっています。

-結成当初はどんな音楽をやろうという話をしていたのでしょうか。

長谷川:当時のドラマーとベーシストはアニソンをやろうと思っていたらしいんですよ(笑)。ちょっとお遊びのバンドをやろうとしていたらしいんですけど、初めて一緒にスタジオに入ったときに、もともとガールズ・バンドで私が作ってやっていた曲があったのでそれを合わせたら、ちゃんとやっていこうと思ったらしいです。

和田:(長谷川は)初期はギター・ヴォーカルだったんですけど、音楽性が変わって鍵盤がほしいよねっていう話になり、途中から鍵盤になったんです。

長谷川:最初の1、2曲は私が昔やっていた曲をやって、そこからはメンバーみんなで曲を作っていった感じですね。和田さんのギターのサウンドが、ディレイとかをいっぱい使うようなエフェクティヴな音が特徴的だったので、それを活かした曲を作っていきました。

-たしかに、和田さんのギターはTrack.2「sweet time」の単音を散りばめたようなサウンドとか、いわゆるロックのエレキ・ギターとは違うアンビエントな印象です。そのあたりのバックボーンをそれぞれ教えていただけますか?

和田:僕はもう、LUNA SEAがめっちゃ好きで。SUGIZOさんとINORANさんに影響を受けまくっています。空間系のサウンドは90年代のヴィジュアル系の音を受け継いでいて――なんかこう、瑞々しいというかあたたかい部分があるというか。ヴィジュアル系の音楽って棘があるイメージだと思うんですけど、90年代のクリーンなサウンドが僕はミナワのカラーにすごく合うと思っていて。長谷川の歌の世界観にすごくリンクするんじゃないかって、そこを追求し続けています。

-いわゆるヴィジュアル系の、激しくて耽美な世界観とはまた違うところで?

和田:7thや9thのコードの響きとかをちょっと味つけで入れたりして。まぁ、たまに"ヴィジュアル系すぎるからやめて"ってめっちゃ怒られるんですけど。

長谷川&あべ:ははははは(笑)!

和田:使うエフェクターはディレイが多いですね。付点8分のタカタカ言わすやつとか。そういう90年代のヴィジュアル系、もっと言えば80年代のU2とかが僕の根っこにあります。『まよいの森EP』のマスタリングはROVOの益子樹さんにやってもらったんですけど、益子さんは僕のエンジニアの師匠みたいな方で。SUPERCARをプロデュースされていたり、ご自身も空間系の鍵盤を奏でる方だったりするので、すごく影響を受けていますね。

長谷川:私は、バリバリJ-POPから影響を受けています。サビが美しいメロディで、あんまりストレートすぎない、景色が浮かぶような押しつけがましくない歌詞の......例えばスピッツとかが好きです。あとは学生時代にクラムボンがすごく好きだったので、その影響はめっちゃ受けています。

-たしかに、原田郁子さんっぽさはヴォーカルに出ていますね。

長谷川:本当ですか、嬉しいです(笑)。めっちゃ影響を受けてますから。

-あべさんはどんな音楽から影響を受けているのでしょうか。

あべ:僕はもともと、70年代のハード・ロックから入ったので、LED ZEPPELINのギタリスト、Jimmy Pageが神様だと思っているんですよ。そこから始まって、最初はギターをやろうと思っていたんですけど、手違いでベースを手にすることになったというか(笑)。メンバーが足りないからということでベースを始めてLED ZEPPELINのコピーをやって、ベーシストのJohn Paul Jonesの音楽に対する姿勢にすごく感銘を受けたんです。音楽を丁寧に作るために、どうベースを弾いていくかという、プロデューサー的な考えを持ったベーシストにはすごく影響を受けていますね。そもそも僕はギターとかピアノみたいなウワモノというか、耳に入ってくる旋律に重きを置いていて、そのうえでベースで何ができるのかを考えて弾いているんです。最近で言うと、音楽に対する姿勢という意味では亀田誠治さんにもすごく影響を受けているかもしれないですね。