午前四時、朝焼けにツキ

INTERVIEW

Japanese

午前四時、朝焼けにツキ

2016年11月号掲載

午前四時、朝焼けにツキ

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Member：五十嵐一輝（Vo/Gt）中元秀哉（Vo/Ba）三宮広大（Gt/Cho）

Interviewer：山口智男

－途中、ワルツっぽいリズムになるところが面白いですね。

中元：時計の秒針をイメージしたんです。それをメンバーに伝えたら見事に表現してくれました。

－中尾さんはどんなリズムも得意なんですか？

中尾：こういうふうにしてほしいと言われたら、とりあえず頑張ります（笑）。

中元：幅が広いから臨機応変に応えてくれるんです。

三宮：聴いている音楽のジャンルも広いよね。

中元：ラウドからジャズまで。ドラムが純粋に好きなんだなって思います。

三宮：でも、案外ナウいのは苦手だよね（笑）。

中尾：逆にそういうところはこのバンドに入ってから勉強させてもらってます。

－そんなふうにサウンドのみならず、ゴゼヨは歌詞も聴きどころではないかと思うんですけど。今回、自分の中にある黒いものを意識しながら、それに対する恐れが表れているように感じました。

三宮：......たしかに。

中元：基本的にネガティヴですからね。僕たちは。

三宮：歌詞を書いている中元と五十嵐は結構闇を（笑）。いや、みんなそうだと思うんですよ。表面に出てこないだけで、みんな暗いものを持っているんじゃないかな。

中元：歌詞を書くときってやっぱそこを見つめちゃいますよね。

五十嵐："頑張って生きようぜ"なんて言えない（笑）。"せいぜい生きてれば"ぐらいしか。

中元：それはちょっと言いすぎ（笑）。人に対して歌うことが得意じゃない。人は人だしって思っちゃうから、僕自身は本当に自分のことを、自分で解決するために自分に歌っているみたいなところがあるんですよ。一輝は今回どう？

五十嵐：パッとワンフレーズ出てきたところから意味を広げるのと、ふたりでテーマを決めて、それに合わせて書いていくパターンがあるんですけど、俺は自分に向けてとか、誰かに向けてとかではなく、そのとき思いついたことをつらつらと並べてます。それが今回多かったですね。1曲目の「朱-GOI-」なんて正直、俺が書いたところに関しては、思いついた文字とメロディに合う気持ちのいい言葉を並べただけと言ってもいい。でも、最初のひと言が思いついたとき、何らかのテーマには縛られる。その中で適当に言葉を並べていると思っても、こういうことが書きたかったんだろうなってことはなんとなくわかるんですよ。それが自分でも面白いんです。「朱-GOI-」の"夢から覚めた一寸法師"なんて、自分でも"面白いことを言ったな俺"って思いました（笑）。深い意味なんてないんですけどね。

中元：え、俺すごく深読みした。

五十嵐：自分で書いたにもかかわらず、俺も深読みしたんだけど（笑）。自分を結構小さく見がちなんですけど、お前なんて見えてねぇよって相手に対して、"ナメたら承知しねぇぞ。油断すんなよ"っていう気持ちが表れているのかなって。

中元：でもまぁ、僕たちのことは僕たちにしかわからないんで、リスナーそれぞれに自分自身と照らし合わせて聴いてもらえれば何も問題ないです。少しでも繋がるところがあれば、僕たちは嬉しいですね。

－ラスト・ナンバーのTrack.6「始まりの唄」がアカペラになったのは、なぜ？

中元：最初は1曲目に入れるつもりだったから、一輝ひとりでプロローグ的に歌ってもらいたかったんです。実は「始まりの唄」の歌詞は、全曲の一部分になっていて。目次みたいな曲にしたかったんですよ。ただ、全曲聴いてみたときに、最後に持ってきた方が、またここから1曲目に戻る流れが美しいよねってことでこの形になりました。

渡邊：普通に車で聴いてるんですけど、本当に「始まりの唄」で終わってまた1周して、ってずっと聴けるんですよ。面白いアルバムになりました。

－最後に改めて、今回のミニ・アルバムはどんな作品になったと感じていますか？

五十嵐：新しいことに挑戦した作品ですね。そのまま挑戦せずに固定観念に縛られたまま進んでいってたら絶対見えなかった景色が見えると思います。そういう意味で、いい方向に進む分岐点になった作品かなと。

三宮：挑戦でもあるし、進化でもある。

中元：やらないまま終わるならやった方がいい。気になっていることはどんどん取り入れて、それが失敗したと思ったら、失敗としてちゃんと受け止めて、次に活かせばいい。そうやっていい意味で、どんどん自分たちを壊していきたいって、今回の作品を作ったことで思えたんですよ。だからこれからもそうありたいし、自分たちを壊していったとしても、変わらない軸さえあれば、みんなついて来てくれると思うんです。