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LIVE REPORT

Japanese

午前四時、朝焼けにツキ / Outside dandy / ホロ

Skream! マガジン 2016年07月号掲載

2016.06.16 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 岡本 貴之

"LIVEHOLIC 1st Anniversary series"の第7弾がホロ、"午前四時、朝焼けにツキ"、Outside dandyの3組の出演で行われた。

最初に登場したのは、ホロ。BGMが止まり、ディレイがかかったギターの音色が聴こえてくると、幻想的な照明の中、幕が上がりバンドが登場し「いつか全てが終わる日は」からライヴがスタートした。ヘヴィなリズムとは裏腹に儚げなコントラストを聴かせる石木政臣(Vo/Gt)の歌声にいきなり惹きつけられる。"大阪から来たホロです。最高の夜にしよう!ついて来いよ!"と第一声を投げかけると、続く「閃光と雷鳴」ではまさにタイトルどおりの稲光のような凄まじい音の塊を放っていく。岩石洋太郎(Gt)、赤毛(Ba)がステージ両サイドで髪を振り乱して熱狂を生み出した「Drawing」から、曲は「通り雨」へ。ディレイ・サウンドの混沌としたイントロがプログレッシヴな印象を与えながらも、ダンサブルな変化を聴かせる凝ったアレンジは出色のものだった。"LIVEHOLIC、1周年おめでとうございます!メンツが仲間ばかりで遊びにきてるみたいなんですけど、みんなも楽しんでいってください!"とのMCから新曲を挟み、「鐘声」から"まだいけるー!?"と「コントラスト」へ。途切れることのない凄まじい音圧にただただ目を見開いて立ち尽くしている観客もいる。それほど圧倒されるド迫力の演奏だった。ただし、そんな爆音にもかかわらずどこか悲しげなメロディが耳に残る。"11月に東京でワンマンやります!"との告知(※11月18日TSUTAYA O-Crest)を経て放ったラスト・ナンバー「心臓」は、ライヴの最後に相応しく、哀しくも優しいメッセージを爆音と共に残していった。

2番手は新潟を拠点に活動する"午前四時、朝焼けにツキ"。転換中の幕の向こうから、"今、あなたの潜在意識に語りかけています"と語りかけて笑わせると、ゆっくり幕が上がりステージに姿を見せ、"LIVEHOLIC!楽しんでいこうぜ!"と勢いよく「GOZEYO」からライヴがスタート。黒で統一された衣装がストイックさを感じさせるが、そのステージングは欲望剥き出しといった激しさだ。五十嵐一輝(Vo/Gt)、渡邉 翼(Gt/Cho)、三宮広大(Gt/Cho)とトリプル・ギターがフロントに並び、後ろに中元秀哉(Vo/Ba)と中尾佳介(Dr)。全員、所狭しと身体を揺らしながらプレイしている。中元が"かかってこいー!"と叫び手拍子を求めると、「Takahiro先輩」へ。小気味よいギター・リフと交互に声を上げるツイン・ヴォーカルで他のバンドにはないオリジナリティを出している。"LIVEHOLIC、1周年おめでとうございます。僕たちも(現体制になって)だいたい1周年です! 今日は僕たちらしいライヴをやりたいと思います"との五十嵐のMCから、キャッチーな旋律の「因呶羅」を歌い出すとフロアから歓声が上がって盛り上がる。エモ/スクリーモ的な曲でありながら、曲の最後は懐かしい子守唄のような終わり方が印象的だった。疾走感のあるサウンドによる新曲を聴かせると、「蝉が笑う。」では五十嵐が静かに歌い上げる。途中、朗読的なセリフもあり長くゆったりと叙情的な世界を聴かせ、まばゆい光の中で観客に向かって手を伸ばす姿は神々しくもあった。最後は"つらいとき、俺たちを支えてくれた曲"だという「染マル」を全力でプレイ。観客の多くがステージに手を伸ばして歌っている。若さの爆発と詩的な感性が感じられたライヴだった。

本日のトリを務めるのは、Outside dandyだ。BGMが消えると音もなく静かに幕が上がり、村上達郎(Vo/Gt)が"LIVEHOLIC史上、最高のライヴにしようと思います! どうぞよろしく!"と余裕をうかがわせるMCからライヴを開始。1曲目は「レイジーモンスター」。
激しく狂わしいビートを吐き出しながらも、メロディはあくまでもポップで、あっという間に観客の心を掴んでいく様子がわかる。続く「スパイダー」も同様に、キャッチーなサビに観客から声が上がる。新曲「スモーキンレディ」は全員が束のように低音を放つイントロのリフから歌い出しのきれいなメロディに移行するフックのある楽曲だった。「メリーゴーランド」では3人がアカペラで見事なハーモニーを聴かせる場面も。曲の終わりでフィードバック・ノイズを残したまま、「MUSIC」へ。8ビートのパワー・コードを刻みながら、しっかりと言葉を噛み締めるように丁寧に歌う村上。その真摯な歌声を受け止めるべく、会場の全員が聴き入っている。"ラスト・スパートいこうぜ!"と叫んで始まった「愛のラビリンス」、「トランシーバー」では、鈴木勇真(Ba)、松本 翔(Gt)がお互いの激情をぶつけ合うように向かい合ってプレイする姿も。ラストは「サタデーナイトメランコリック」。メランコリックと言いながら、そんな気分を突き破るようなベースのリフと柳田龍太(Dr)の重いタムを中心とした"土着的なガレージ・パンク"とでも言うべきサウンドに身体が揺さぶられる。曲間でブレイクして手拍子を求めると、"まだまだいくぞ下北ー!"と村上が煽り、怒涛のエンディングへと向かった。アンコールの声にすぐさまステージに戻ると、"アンコール本気でいくんで、お前らも本気でよろしく!"と気合一発、「バニーダンス」が始まるとステップを踏みながら演奏するフロント3人、四つ打ちのビートを叩くドラムに会場全体が踊りだす。背中にストラトを回してのギター・ソロにますます熱狂的に盛り上がるファンたち。暴風雨のように駆け抜けてアンコールを終えると、最後に村上は"日常に戻っても、またライヴハウスで会おうぜ!"と叫んだ。3組のライヴ・バンドによって熱狂的な非日常空間と化した一夜のエンディングにピッタリのメッセージだった。

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