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INTERVIEW

Japanese

Ryo Hamamoto × 神谷洵平(赤い靴)

2016年08月号掲載

Ryo Hamamoto × 神谷洵平(赤い靴)

Ryo Hamamoto(浜本 亮)
神谷 洵平(赤い靴)
インタビュアー:石角 友香 Photo by 川村 隼也

-ふたりで目的なく修行みたいなことをやってた理解度の深さも今回のアルバムの肝なのかなと思えてきました。

神谷:個人的に言うと、今回のアルバムを一緒に作るにあたって、これまで築いてきた過程も含めた僕らの関係性というか、"今できるものを作ろう"って話したんです。目的もなく一緒にやっていたという流れも、ある意味どっかしらで続いていたので。ふたりで本気の作品を作ろうよって。

浜本:前のバンドのときは(※2012年リリースのRyo Hamamoto & The Wetland名義のセルフ・タイトル・アルバム)時間もあんまりなかったので、できる範囲でね。ベストを尽くしてやったけどもう一度突き詰めてみようという感じです。僕らのこの関係に落とし前をつけたいねという。言葉は強いけど(笑)、自分たちで納得したかったってことですかね、同じレベルで。むしろそれを彼の方から言ってくれて。それならプロデュース的なことも担ってほしいなと思って、そこから話が進みました。

-神谷さんが他のアーティストといろいろ仕事をするようになってから改めて浜本さんを見たときに、どういうところが特徴的な人だと思いました?

神谷:あー、これ言い方間違えるとアレなんですけど、個人的に言うと浜本君は一緒にやってるとピュアなところに戻ってこれる人ですね。人間性も音楽性も共通してるので、浜本君と一緒にやることで、他のアーティストのサポートをしてるときにインプットをした状態でドラムが叩けるというか。一緒にやってるときはインプットとアウトプットが両方あるみたいな状況なんです。僕から見た浜本君はありのままの人で、いろんな環境とかに苛まれてない人。今どき珍しいし、羨ましい人ですね(笑)。

-どういうシーンとかどういうギタリストとか、キャリアに基づいてどんなアルバムを出さなきゃいけないとか、そういう観念がないと?

神谷:そうですね。もう彼が信じた音楽を彼なりに分析して、彼の生き方に結びついたことを表現しようとしてるので。

浜本:まぁ、そのぶん時間はかかるんですけどね。

-浜本さん自身はソロを作る気はあったんですか?

浜本:作る気はあったんですけど、完全弾き語りで作るかどうしようか迷ってて。曲はちょこちょこ作ってて、しかもだんだん納得のいく曲ができていたので、なんとしても形にしようとしてたんです。完成させる際は彼にお願いして協力してもらおうと思ってたんですけど、今回僕が思っていた以上にガッツリとふたりでできたので、すごく満足してます。

-驚くぐらい"他人の家にお邪魔しました"みたいな仕上がりで(笑)、めちゃくちゃ生々しいなと。

神谷:そうですね。生々しい。

-浜本さんにとってソロとバンドの線引きってあるんですか?

浜本:自分のソロって、自分で曲を書いて歌うってことですよね。それは僕の理念というか、理想をちゃんと実現するための手段だし、僕が歌わないとたぶんダメなので、歌を全うする、曲を全うするという作業ですね。そうしてできた楽曲は全うに聴かれる価値があるものだと思ってるので、それが"ソロ=僕の活動"ですね。その他のバンドでギターを弾いたりするのは完全にギタリストとしての活動なので、まったく別です。ただ、演奏してるときの馬力というか熱は同じですね。アウトプット方法はまったく別ですけど。

-おふたりの他に、ベースにガリバー鈴木さん(Predawn 他)を迎えた3人での音像やスタイルについては、浜本さんからの提案だったんですか?

神谷:全体的な音像は浜本君が中心だったんですけど、曲自体のアレンジは3人でリハーサル・スタジオに入って詰めたよね?

浜本:詰めてないよ。いや、プリプロっぽいことはやったけど、曲の構造に"こういうの入れるわ"みたいなことをやっていくうちに自然とベストな状態になっていったなと思って。だからアレンジって感じじゃないよね。"アレンジ"って言い方、僕はあまり好きじゃなくて。バンドで演奏する場合、曲って演奏者のやったことによって、あるべき姿が浮き彫りになるもんだと思うんです。だからそうやってできましたね。

神谷:そもそもこのアルバムの制作に入る前に、映画(※濱田岳主演"Miss Fortune")のエンディング曲「The Photographer / 写真家」(Track.5)を急遽、僕の自宅で録音することになって。それで、ギター、ドラムを入れて、"ベースも入れたいね"ってなったときに、ガリバー鈴木をその日に呼んでみたんです(笑)。まさか来てくれるとは思ってなかったんですけど、来てくれたのでうまくいきました。こうやって録音していけば、もっとちゃんとできるかも?と思って。

浜本:うん。あんときだね。濱田岳君の短編映画の話が急にきて、その日のうちに曲を書いて。その晩に洵平に電話したら時間が空いてたからすぐ録音しに行って、ベースのガリバー君も呼んで。翌朝に納品したんだっけ?