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INTERVIEW

Japanese

SECONDWALL × nishi-ken

2016年04月号掲載

SECONDWALL × nishi-ken

紅一点の5ピース・バンドSECONDWALLが、伊東歌詞太郎やGReeeeN、ケツメイシ、中川翔子など幅広いアーティストを手掛ける音楽プロデューサー/作詞作曲編曲家/キーボーディスト/リミキサーのnishi-kenと初タッグを組んだ。日本中が音楽で沸いていた90年代、Mr.Children然り、GLAY然り、JUDY AND MARY然り、強力なバンドにはプロデューサーという存在が不可欠だったように思う。具体的にプロデューサーはどんなことをする立場なのだろうか? その制作秘話に焦点を当て、SECONDWALLの最新作『OVER』の魅力を探った。

SECONDWALL: YUKA(Vo) RYO(Gt) APG(Gt) YU-SUKE(Ba) SHOHEI(Dr)
プロデューサー: nishi-ken
インタビュアー:沖 さやこ

-APGさんがSECONDWALLに加入して1年以上経ちましたが、バンドの状態はいかがですか?

YUKA:絶好調です(笑)。彼が加入する前は曲を作っていたのは私だけだったんですけど、APG君が私では思いつかないような新しい楽曲やサウンドを持ってきてくれるんです。

RYO:APG君が加入するまではリフで押してたけど、彼がシンセのパートなどをどんどん持ってきてくれるので、音の幅は広がってますね。

YU-SUKE:APG君はボーカロイドで培ったスキルやMy Eggplant Died Yesterdayの重いサウンドをSECONDWALLにうまい具合に持ち込んでくれてると思います。

APG:SECONDWALLに入る前はひとりで楽曲制作をすることが多かったんですけど、加入してYUKAさんと曲を作るようになって、自分にないアプローチやアイディアが生まれるようになりました。バンドでしか出せない音が出せてるな、と思ったりしますね。

-今作『OVER』でnishi-kenさんとタッグを組むことになった経緯は?

YUKA:もともとセルフ・プロデュースで活動していたんですけど、ずっと"サウンド・プロデューサーを入れたらどういうふうに変わるんだろう?"と思っていたんです。そのときに事務所の社長にnishi-kenさんを紹介していただいて、ぜひ一緒にやってみたいとお願いしたところ、nishi-kenさんが快諾してくださったんです。お会いしたのが2015年の夏で、8~9月からタッグを組んで制作を始めました。

APG:nishi-kenさんは打ち込みサウンドに強いというイメージがあったので、新しいサウンドができるんじゃないかと。

YUKA:APG君が加入する前はバンド・サウンドだけでやりたいと思っていたんです。でもAPG君が加入して打ち込みのサウンドを入れることで曲の表情が豊かになることに気づいたんです。その流れでnishi-kenさんとの出会いがありますね。自分がいいと思って作っていても、それが本当にいいものなのかわからなくなるときは誰にでもあると思うんですよ。そういうときに助けてくれたり、色づけをしてくれたり、正解を示してくれるのがサウンド・プロデューサーの役目だと思うんですよね。実際、私がいい曲だと思うものをnishi-kenさんに送って"いい曲だね"と言っていただいたとき、すごく自信になったんです。加えて私はいろんな人といろんなものを作っていきたいと思うタイプなので、サウンド・プロデューサーとの制作はプラスしかなかったですね。

-nishi-kenさんはオファーがあったときにどう思われましたか?

nishi-ken:率直に面白そうだなと思いましたね。今までリリースした音源を聴いて、アート・ディレクションに関 和亮さん(※SEKAI NO OWARI、PerfumeなどのMVを手掛ける映像ディレクター/カメラマン)が参加するという話も聞いて――関さんとは自分も昔から一緒にいろいろやっているから、そういう意味合いでもバンドとうまく合致してクリエイトできるんじゃないかな......という勘が働いたんですよね。

-nishi-kenさんはシンガーのプロデュースをされることが多いですが、シンガーのプロデュースとバンドのプロデュースの違いとは?

nishi-ken:サウンド・プロデュースには"すべてを手掛ける人"と、"増幅剤"や"アーティストのスイッチを押す人"の2通りあると思うんですけど、僕はSECONDWALLに関してだと後者だったんです。バンドが持っているポテンシャルを引き出すタイプ。"このバンドはこういうふうにしてきたんだ、じゃあ俺はこうしようかな"って、メンバーに近い感覚があるんですよ。そういう意味でバンドのプロデュースはやっていてすごく面白いんですよね。

-では、nishi-kenさんはSECONDWALLのどこを増幅させようと?

nishi-ken:ポップス感。SECONDWALLは、サウンドは重めなんですけど持ち合わせてるメロディ感やコード感がポップスなんですよね。ピアノの弾き語りでもいけるサウンドなので、そういう意味ではポピュラリティがあって。そういうところが素敵だなと思ったので、僕が入ることでそのバランスをさらに増幅させられたらなと。歌詞やメロディ含め、メンバーから出てきたものを優先させようと思ったので、バンドが作ったデモを俺のところに送ってもらって、"ここはメロディを変えた方がいいな"とか必要だと思うことをリクエストしていきました。僕の手元でレコーディングする状態を作り上げていく感じですね。