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INTERVIEW

Japanese

key poor diary

2016年03月号掲載

key poor diary

Member:長弘 卓也(Ba) 大島 正太(Vo/Gt) 松隈 一輝(Gt) 吉武 幸太(Dr)

Interviewer:白崎 未穂

-当時は"METRONOME"というバンド名で活動していたんですよね。2015年9月に現在の"key poor diary"に改名したのはなぜですか?

長弘:コピー・バンドで最初にライヴをやるときに、バンド名がないと出られなかったので、みんなで意見出し合って"これでいいんじゃね?"って何の理由もなくつけた名前が"METRONOME"だったんです。

大島:今までの僕らの関係もそうなんですけど、バンドが仮の居場所っていう感覚がすごく大きかったんですよ。自分たちが"好きで集まってんじゃん"、"一緒に曲作ってんじゃん"っていう気持ちを活動していく中で本当にちょっとずつ確かめながら......。だからバンド名を変えたのも、最初は何となく始めたかもしれないけど今は理由があって一緒にいるんだってことで、バンド名も意味があるものにしようってことになりました。

長弘:実は1~2年前にもバンド名を変えようって話があったんですけど、"METRONOMEが好き"って言ってくれている人の思いまでなかったことになっちゃうんじゃないかって話になり、改名しなかったんです。でも、名前は変わったとしても、メンバーが変わったり、今までの曲は演奏しませんってことになったりはしないので、ただ単に名前が変わるだけで僕たちは僕たちのまま。ちゃんと意味のある名前をつけてこれからもっと上にいくので、"これからもよろしくお願いします"という感じで名前を変えました。

-では、その"key poor diary"の意味とは?

大島:僕らの歌は日常的というか、思ったことをそのまま歌にしちゃうので、"keep a diary =日記をつける"という熟語が英語であるんですけど、それを崩して"key poor diary"にしました。オリジナルの言葉にしたかったことと、"鍵"という言葉を入れたかったんです。音楽に触れたきっかけは、僕自身、映画や本がすごく好きで、音楽っていうもの自体に共感したわけではなく音楽の中にある歌詞や言葉に感動したことだったんです。自分の言えないことを言ってもらったと思って......。それに"自分って一体なんなんだろう?"っていうのを考えるきっかけにもなったので、そういう(誰かの)何かの"きっかけ=鍵"になればいいなって思います。僕には日常の中にいつもあるんです、何かに気づく瞬間が。僕が生きていて思ったことを、消えていってしまう前にパッと掴んで、それを曲にした小さい鍵みたいなものを見つけて全部大事にとっておきたいなと。それこそ"キーワード"を見つけて集めて作ったのが今作なんです。

-気になる1stミニ・アルバム『keyword』ですが、自分たちとしてはどんな作品になったと思いますか?

長弘:正直、"こういう作品にしたい"ってものはなかったんですけど、新曲というよりは今までライヴでやってきた既存の曲をピックアップして収録した作品です。タイトルも、完成したあとに"keyword"という名前をつけて、今までの僕たちがやってきた集大成というか、"これが今の僕たちです"って、知ってる人も知らない人にも渡せる名刺代わりの作品になったかなと。僕たちにとっても"鍵"となった作品だと思います。

大島:あと、僕らって音楽シーンのこととか何もわからず「花火」って曲を作ったりライヴをしながら活動をずっとやってきたんです。地元の福岡で開催されていたオーディション(※"FUKUOKA MUSIC FACTORY")に勝ち残ればキャナルシティ博多でライヴができるっていうので、"あのでっかいステージでライヴやってみたーい"って軽い気持ちで出たら優勝して、それで「花火」をシングルとしてリリースすることになって......。最初は嬉しくてはしゃいでいたんですけど、次第に"流されたくない"って思う気持ちが強く出てきて。だからこそバンド名も変えたんですけど、そういう葛藤の中で作った曲がたくさんあるんです。それを今作に詰め込みました。"本当はこれがやりたいのに"、"本当はあれが言いたいのに"っていうことがたくさんあったんですけど、それでも何とか自分たちなりに舵を取りたくて......だからバンド名を変えるタイミングが無茶苦茶だったりするんですけど(笑)。そういう日々の中で見つけた作品だったりもします。そのころ必死だったことをひとつひとつ残していったって感じですね。

-なるほど。"振り返りながらもきちんと前に進むための曲を"という思いを掲げて活動されているそうですが、その言葉通りの作品になっていると思います。前を向くために、自分を振り返る、自分と対峙するというイメージが湧きました。バンドのコンセプトがそのまま今作に込められているのですね。

長弘:よく聴いてくださってますね(笑)。4人が共通して大切にしているのは、歌詞を大事にしていて、言葉が映えるアレンジをみんなで考えてやっていることだと思います。だから明るい面や暗い面を出すために、両極端な曲も詰め込んでいます。

-Track.1「九月の月」と、Track.2「四月の彼女」が、ひとつの曲のように聴こえました。どちらも歌詞は、いなくなってしまった彼女を思い出す内容。こういった構成にしようとした意図はなんですか?

大島:今作は音楽としての一貫したテーマがなくて、僕の心やメンバーの思っている一面を嘘偽りなく6つ詰め込んだものだったので、リスナーには説明不足すぎるところがあるかなと。急に"俺の心だよ"って言われても"お前誰やねん"ってなると思ったので、本でいうところの、目次やプロローグというか。映画で言えば、後に繋がる何かのシーンのように、何か説明が必要なんじゃないかなって。なので"二月"から"九月"まで進んでいきながら、あのときの"四月"を思い出すということで「四月の彼女」に戻ってくるという感じです。