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INTERVIEW

Japanese

アカシック

2016年03月号掲載

アカシック

メンバー:理姫(Vo) 奥脇 達也(Gt) バンビ(Ba) Hachi(Key) 山田 康二郎(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

-この13曲は歌詞に少しずつ共通点があるのが面白いなと思いました。例えばTrack.2「8ミリフィルム」とTrack.3「サンデイバージンディアボーイ」には"才能"という言葉が入っていて、Track.4「今日から夜は家にいるよ」は"結婚"という言葉も彷彿とさせる。そういうものがどの曲にもあったので、1本の恋愛映画を観ているみたいだなと思ったんですよね。

理姫:"1本の映画"って表現はすごく嬉しいです。フル・アルバムはそうであってほしい! 実は今回のアルバムは私の中でなんとなく"結婚"がテーマみたいになってるところがあって。身近な人が結婚したし、自分も20代後半になって、それが自然と反映されたのかも。

-理姫さんは歌っているときどういうマインドなのでしょう? 言葉を効果的に響かせているヴォーカルだと思いました。

理姫:本当ですか? 今までそんなこと一切考えたことがなかったんですけど、さすがに13曲全部一辺倒だとまずいと思って(笑)、できる限りの範囲で"ここはこういうふうに歌おう"というものを前もって決めたのはあります。何も考えないと全部同じになっちゃうので......正直なことを言うと、歌ってるときに感情がないんですよ。ただやらなきゃいけないからやってるだけなんですよ!

一同:ははは!

理姫:もちろん"あ、いい歌詞だな"、"いい曲だな"と思ったりすることもあるんですけど、そこに入り込んでいくタイプじゃないんです。そのぶん歌詞には感情を込めてます。あと私は短期集中型なので、今回は"最初が勝負!"という気持ちで、"こういうふうに伝わってほしい"とかはあんまりこだわりすぎないように、いい意味で肩の力を抜いてやれました。でもそれに対して何の後悔もなければ何の不満もないです。

奥脇:彼女は感情に任せて歌うタイプではないし、俺たちもそれを望んでいるわけじゃない。感情を込めることが必ずしもいいとは限らないので、歌い方のコツとしてはすごくいいと思いますね。

-「8ミリフィルム」の作詞作曲は理姫さんとのことですが、どういう流れで完成した曲なのでしょうか。

奥脇:いつもは僕がある程度のアレンジまで考えたデモに理姫が歌詞をつけてそれをバンドでフィックスするんですけど。「8ミリフィルム」は僕が最初にベースとなるトラックだけ作って、そこに理姫が歌詞と歌をつけていって、スタジオに入ってみんなで構成をアドリブで作っていく感じでしたね。僕らには結構珍しい......というか初めての作り方じゃないかな。だからシンプルにいい曲になったんじゃないかと思います。

-なぜ理姫さんがメロディを考えることに?

奥脇:それは......(笑)。本当は僕が考えた「8ミリフィルム」のメロディがあったんですけど、それがすんごくダサかったんですよ。

理姫:その曲のことが嫌だと思ったらしばらく存在を無視するんですけど(笑)、"もう1回聴いてやっぱり嫌だったらこの曲はやめよう"と気持ちを切り替えてもう1回聴きました。そしたらコードや雰囲気は良かったから、この曲を無視しちゃうのはもったいないなと思って。それでメロディが入っていないそのデモを流してたら、自分が思いついたメロディと最初の頭の1行の歌詞がパッと出たんですよ。"あ、これはいいんじゃないかな"と思ってその歌詞から膨らませてメロディと歌詞をつけました。だからテーマを考えて書いていくというのではなくて、本当に自然にできた曲なんです。スタジオで構成を作ったりもして、メンバーみんなが新しい試みをしたので、今までのアカシックのイメージや雰囲気とはちょっと違うものになったかなって。それが良かったと思います。

-今までのアカシックはTrack.10「華金」みたいな速くて賑やかな曲が多かったけれど、「8ミリフィルム」も今までと趣向の違う楽曲ですし、「結婚」やラストの「夢遊」(Track.13)を聴いてとてもシンプルに"アカシックのミディアム・テンポ、いいじゃん!"と思いました。

奥脇:やったね。よかったよかった。もともといい曲を作ることを目指して組んだバンドだったけど、それがどんどんパンチを効かせることに走って、BPMも思春期だった(笑)。それはそれでよかったんですけど、ここで原点に立ち返ることができました。フル・アルバムっぽいものができたと思うし。

-"ザ・フル・アルバム"と言えるフル・アルバムですよね。1曲目から強いインパクトがあって、2曲目にリード曲、中盤にじっくり聴かせる曲があって、ひっくり返すような勢いのある曲もあって、ラストはスケールのあるバラード――私が小中学生時代に聴いてた90年代J-POPのアルバムはそういうものが多くて。

奥脇:あの時代は独特のノスタルジックさがありますよね。

理姫:私も中学生くらいに聴いてた音楽が1番いいと思うから......やっぱりみんなそういうものが残ってるのかな。

-CDも売れていた時代ですし、世代問わずたくさんの人が同じ音楽を聴いていた最後の時代が90年代後半なんですよね。そのときのフル・アルバムが持っているような感覚が『凛々フルーツ』にはあったので、懐かしさが2010年代にアップ・デートされていて。だから必然的に次のフル・アルバムも楽しみになりました。

理姫:嬉しい! 私たちは懐かしいバンドでいいんですよ! その話題について話し出すと長くなるのでまた今度話しますね。

奥脇:いいと思うメロディもその時代に設定されてるしね(笑)。早く次のフル・アルバムも届けられるようにこれからも頑張ります!