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INTERVIEW

Japanese

THE リマインズ

2016年02月号掲載

THE リマインズ

Member:竹内 崇仁(Vo/Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

-今回、収録曲5曲のうち1曲(Track.3「ないしょ話」)は尾藤麻美子(Vo/Ba)さんの曲ですが。

尾藤も曲を作ろうとして作るタイプではないので、きっと突発的にできちゃった曲ですね。その曲も含め、今回の5曲はわりと最近できた曲で。僕はできるときに曲を書いてストックしているので、古い曲もたくさんあるんです。それでCDを出すとなったときに、じゃあどの曲を入れていくかって選んでいくんですけど。今回はたまたま最近できた曲が全部まとまったので、そういう意味でも最近の自分が出ているのかなという気がします。

-なんとなく今のムードを詰め込むとこうなると?

今回は、メンバーが変わって初めてのCDなんです。前のドラマーが去年の8月に脱退して、新しいメンバーが10月に入ったのも、少しは関係しているのかもしれないですけど。今の自分を出したいというか、なんとなく最近作った曲を集めたいなという気持ちはあったと思いますね。

-ドラマーが変わって、バンドとしては大きく変わっているんですか。

根本は何も変わってないです。今回のCDでみなさんがどう感じるかというところですね。曲やサウンドは、よりポップでよりキャッチーに、より歌モノに寄ったんじゃないかなと自分では思ったりもしますが。それも最近の僕のモードが関係して、そうなっているのかもしれないんですけど(笑)。

-何か心が伝えたがってるものがあると(笑)。

伝えたいことがありすぎて、歌モノに寄っちゃうという(笑)。

-ちなみに1番最近の曲というとどちらですか。

「ドラマチック」(Track.1)ですね。この曲は、半年前くらいだと思います。

-このときどんなことを考えていたんですか。

電車に乗っているときに、よく考え事をするんですけど。新幹線で愛知県の実家に帰るときに、車窓から風景を眺めていて――特に静岡とかめっちゃいい景色じゃないですか。車窓から、畑仕事をしているおばあちゃんが見えたりして。でも、"あのおばあちゃんは今ここで見たのが最初で最後だろうなあ"とか、考えちゃったりするんですよね。あとは、新幹線にお客さんが乗ってきて、隣にサラリーマンのおじさんが座って、次の駅で降りて行って。もう、このおじさんには僕は一生会わないんだろうなとか、めっちゃ考えるんです。でもそれは、僕の視界から見える、僕の世界の中にいるおじさんとか、畑仕事をしているおばあちゃんで。おばあちゃんからすれば、自分の世界を生きてるわけですよね。このあともしかしたら、畑でとれたもので料理するのかもしれないし、おじさんは今から大事な営業に行くのかもしれない。僕が見ているドラマチックだと思っている風景は、その人たちにとっての人生であって。見えている景色が違って見えるなっていうことを、ちょうど気分がオチている時期に思って書いたんです。

-ひとつのシーンからいろんなことを考えるんですね。

最終的にきっかけになったのは、家の近くにある公園にぷらっとギターを持って黄昏ていたときで。そこは小高い丘になっていて、街が見渡せるんですよ。線路を走ってる電車や、車や人が見えるんですけど。それもさっきと同じで、僕は単に景色としか見てないけど、グーっとクローズアップしていくと、ひとりひとり僕みたいな感覚の人がいるんだよなって思って。そのままそこで10分くらいで歌詞を書いたんです。

-他の曲もそうなんですが、確実にセンチメンタルな気持ちっていうのが入ってきますよね?

めちゃくちゃありますね。

-Track.4「なんとなく大丈夫さ」も、すごく幸せな状況を歌った曲のはずが、どんどん悲観していくという(笑)。

たぶん、僕はそういう人なんだと思うんです。自分では自覚がないんですけど、メンバーにも言われるんですよね(笑)。だんだんそういう自分が好きになってきちゃってるくらい。つらいのがイヤじゃないんです。おかしな言い方ですけど、つらいのも心地よくて。生きてる感じがするというか。毎日が楽しくて、毎日悩みがなくて幸せだったら、僕はたぶん音楽をやってないと思いますし。逆に、音楽をやってる以上、なんていうか、オチていたいというか。

-書けるときがそういう気分のときですしね。

そうなんです。でもよく言ってもらえるのは"THE リマインズの曲って、最終的にはポジティヴで元気が出るよね"とか、"背中を押してもらえる感じだ"って言ってもらえるんですけど、僕がそういう曲を聴きたいんですよね。自分自身を上げて、自分を保っているというか。で、何の話でしたっけ(笑)?

-なんでセンチメンタルなのかっていうところでした(笑)。でも話を聞いて思いました。いろんな景色を見て、そこを深入りしていって想像して泣いたりしてるんだろうなって(笑)。

そうなんでしょうね。

-感動しいなんですかね。いろいろ想い巡らせちゃうというか。目の前の知らない誰かについて、その人の奥に見えるものをついつい考えてしまうというか。

この人何を考えているんだろうなってすごく思うんです。電車の話ばかりですけど、電車ってランダムに不特定の人に出会う場所なので、よく考えるんですよね。でも、僕はその人たちが本当に何を考えているかなんて知りたくはないし、どうでもいいんですよね。僕が想像したり妄想することの答えは、いらなくて。僕はその人の世界を考えるのが好きで。それを書いているのが、THE リマインズの曲だと思うんです。だから、結果的にいろんな人にあてはまればいいなとは思うんですけどね。

-その想像力や妄想力は、音楽を始める以前からあったんですか。

どうなんですかねえ。音楽を始めたのは中学生のときなので、あまり記憶にないんですけど、そうではなかったと思うんですよね。大人になるにつれて、やつれてきているんじゃないかと思うんです(笑)。自分で言うのもなんですけど、僕は中学時代、優等生だったんです。高校、大学も進学校で、周りはみんないいところに就職したりして。同窓会とか行きたくないんですよね。"お前何してるの。最近どうなの"って話になるのがイヤで。それこそ、誰もが知ってるバンドにならない限り、"ああ、バンドやってるんだ"って括られるのがオチなので。っていうのもあって、年をとるにつれてだんだんとやつれてきて、同級生と会いたくなくなってきて――暗いですね(笑)。