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INTERVIEW

Overseas

MYSTERY JETS

2016年02月号掲載

MYSTERY JETS

Member:Kapil Trivedi(Dr) William Rees(Gt/Key) Blaine Harrison(Vo) Jack Flanagan(Ba)

-わかりました。ただ、もっと具体的に、"全地球カタログ"がサウンドなり歌詞なりを何かしらの形でインスパイアしたということはありますか? Track.1「Telomere」の染色体の話から始まる歌詞なんかは、すごく面白いですよね。

Blaine:うん、"全地球カタログ"に触発されて書いた歌詞はいくつかある。ちょっと変わった歌詞ばかりだけどね(笑)。「Telomere」はいい例だよ。人間は皮膚に覆われていて、その中には皮膚に守られている血管がある。でも、そこからグッと引いて見てみると、人間っていう形があって、そこからさらに引いていくと人間社会っていう形がある。そして結局、地球に辿り着く。そのスケールの大きさをあの曲では表現したかったんだ。まさにそういうことを言っている本だと思うしね。実際、あの雑誌から影響を受けたところがあるとすると、物をフォーカスして見るためには、一度引いて見る必要があるっていうこと。そうすることによって客観的になることができるんだ。

William:Stewartも言っていたけど、人っていうのは個として存在しているように見えて、実はそうじゃない。個を取り囲む人間関係があって、人間の社会というものがあって、その社会が存在する地球があって――そういうふうに大きく考えていくと、逆に"個"がもっと見えてくる。そういう発想なんじゃないかな。このアルバムもまさにそう。1曲目から9曲目(「The End-Up」)まで通して、それがコンセプトになっているように思うんだ。実際、1曲目の「Telomere」から徐々に視点を引いていって、ズームアウトしていくんだよね。で、最後の「The End-Up」で1番大きな視点から見たときに、最初の曲でズームインして見ていた"個"が見えてくる。そういう作りになっているんだよ。

Blaine:あと、「Blood Red Balloon」(Track.6)はアルバムでも要になる曲だけど、これも"全地球カタログ"から影響を受けている。これは月を見上げる人の視点から書いているんだけど、ヴァースごとに違う人の視点から書いているんだ。だから合計3人出てくる。併せて月からこちら側を見ているっていう大きな4つ目の視点も実は存在していて。月から見た僕ら、っていうのはあまり考えない人が多いけど、あの曲の中ではそういった大きな視点で歌っているんだよ。

-"Curve Of The Earth(=地球の曲線)"っていうアルバムのタイトルも、大きな視点から見たからこそ生まれたフレーズですよね。これにはどのような意味合いが込められているんですか?

Blaine:"Curve Of The Earth"っていうタイトルの曲があったんだけど、アルバムには収録されなかったんだよ。

-それはどんな曲なんですか?

Blaine:......長い曲なんだ。

一同:(笑)

Kapil:僕らは実際、2枚のアルバムを作ったようなものなんだよ。

Blaine:うん。でも、最初の1枚を完成させたときに聴き返してみたら、あまりにも張り詰め過ぎている感じがして。ちょっとキツい印象を受けたんだ。バランスが欠けていたっていうのかな。だから、これはこのままでは出せないと思って、最終的にアルバムから何曲か外されることになった。そのうちの1曲が「Curve Of The Earth」だったんだ。まあ、そのお蔵入りになった曲は今後も絶対にリリースしないとは言わないけどね。

-でも、この言葉の意味は? "Curve Of The Earth"ていうのは、どういったニュアンスなんですか?

William:いやあ、このタイトルにするのに、かなり揉めたんだよ。

一同:(笑)

Kapil:すごく長いプロセスだったんだ。

William:そうそう。

Kapil:何ヶ月もかけて。

William:実際、まだ迷ってる(笑)。

Blaine:30個くらいタイトル候補があったんだっけ?

Jack:そうそう。で、僕らがあまりにも決めないものだから、周りが怒り始めちゃって。

William:"Curve Of The Earth"っていう言葉は、ずっと僕らの中にあったものなんだよね。何年も前から。

Jack:これはワーキング・タイトルだったんだ。

Blaine:そうそう。

William:でも、これをアルバムのタイトルにするって決めたら、人の名前と同じでそう簡単に変えられなくて(笑)。まあ、理由を説明するとすれば、この言葉はアルバムのスケールの大きさを物語っていると思う。地球の曲線っていうのは言葉にすることはできても、実際にそれを見ることはなかなかできない。スペースシャトルに乗ったり月に行ったりして、相当な距離を取ったところからじゃないと見ることができないわけだから。そういう大きな視点という意味では、このアルバムをうまく表現しているんじゃないかな。

Blaine:そうだね。だから、最初のころは、"僕らはスペース・ロック・レコードを作っているんだ"とか、ふざけて言っていたんだよ。でも、それから3年くらい経って、こうしてアルバムができ上って思うのは、宇宙からの視点で歌っている曲もあるんだけど、結局は地球に生きる僕ら人間の生活を作品にしているんだっていうこと。僕らは決して宇宙について歌っているわけじゃないんだよ。

William:じゃあ、これは"スペース・ロック・レコード"じゃなくて、"アース・ロック・レコード"だったっていうことか(笑)。