Overseas
THE DEAD WEATHER
2015年10月号掲載
Member:Dean Fertita(Gt)
-タイトルの"Dodge And Burn"というのは、写真用語とも聞いたのですが、こちらを選んだ意図を教えていただけますか?
僕らの友人で、今回のアルバムのカバー写真も撮ってくれたフォトグラファーのDavid Swansonがその言葉について話していたんだ。彼はそれが写真用語で何を意味するかについて話していたんだけど、僕らは単純にその言葉の響きがすごく気に入って、いいアルバム・タイトルになるんじゃないかと思った。それが何の用語なのか知らない人が聞いても、何かしらの意味がある言葉のように聞こえて、何かをイメージさせるような言葉だからさ。
-今回、アルバムをサポートするためのツアーは行なわないことを発表していますが、その理由を教えていただけますか?
純粋にスケジュール上の理由だよ。僕はこのインタビューの1時間後にはQUEENS OF THE STONE AGEのリハーサルに行くところだし、AlisonはニューヨークでTHE KILLSのアルバムの仕上げに入っているところで、僕ら全員今は別の世界にいるんだ。Jackは長いことツアーを続けていたから休憩が必要だしね。将来的には(ツアーのための)時間と機会を見つけられるといいなと思っているよ。とりあえず今はまずアルバムを一緒に作りたかったんだ。
-Jackは先日ファンからの質問に答える形で、現在の音楽業界におけるツアーやフェスティバル出演の問題点について述べていましたね。あのときの彼の発言の意図は何だったのか、わかる範囲で教えてもらえますか?
個人的には、今の時代に若いミュージシャンとして新しいバンドを始めたくはないなと思うよ。僕が若いころに1番楽しかったことといえばバンドに入ってツアーを回ることだったけれど、今ツアーをすることはどんなレベルのバンドにとっても金がかかるし、疲れるし、大変なんだ。メディアでの露出以外にバンドをブレイクさせる方法は延々とツアーをし続けることで、ずっとそれを続けることに耐えられればいつかチャンスがやってくるかもしれない、ってものだけれど今はそこまでツアーを回り続けることが本当に難しい。今もいい音楽を作っているいいバンドはたくさんいるけれど、それらのバンドが相応の注目を集めるのにかかる苦労は見合わないと思う。人々はそういう問題に気づきつつあるし、やがてはその対処方法を見つけ出すと思うけれど、とりあえず現時点で僕自身がそういう立場だったら、新しく音楽でのキャリアを始めようとは思わないね。
-JAY Zが買収した定額制音楽配信サービス"TIDAL"に参画したのも、そうしたことと関連してのことだと思うのですが、いかがでしょうか?
たぶん世間的には"TIDAL"についてある程度先入観が存在していると思うけれど、"TIDAL"が提供しているサービスは他のサブスクリプション・サービスと同じだよ。無制限の音楽アクセスさ。でも"TIDAL"はさらに高音質のサービスを提供していて、オーディオ・ファンにとってはありがたいものだと思う。Neil Youngがプロデュースするハイレゾ音楽配信サービスの"Pono"にも近いけど、レコードをその本来のクオリティで聴きたいと思う人々は一定数存在しているから、そのための選択肢が存在するっていうだけでも意義のあることだと思うよ。サービスの発表のされ方から誤解されてしまった部分もあるかもしれないけれど、今のところいいサービスだと感じている。
-クリエイティビティの面で、今もっとも刺激を受けていることを教えていただけますか?
僕にとって、THE DEAD WEATHERのアルバムをレコーディングする機会自体がとても刺激的なことだよ。僕自身がとても尊敬するミュージシャンたちと一緒にギタリストとして素晴らしい曲を演奏できるっていうのはとても刺激になる。THE DEAD WEATHERのレコーディングはいつも僕ら全員にとって必要なタイミングで起きて、僕らそれぞれの別プロジェクトがフォーカスされるきっかけにもなっている。例えば今は僕自身これからQUEENS OF THE STONE AGEの新しいアルバムを作り始めようとしているところだけれど、今回のTHE DEAD WEATHERのアルバムを作ったことで、新しいアルバムにもより多くのものを与えられるようになったと感じるんだ。THE DEAD WEATHERのレコーディングは、何であれその次にやることに対して、より精力的に、より自信を持って、よりフォーカスさせてくれるよ。
-今後の活動のヴィジョンについて、今どう考えているか、教えていただけますか?
THE DEAD WEATHERには、これまでもこれからも、計画やヴィジョンは存在しないよ。QUEENS OF THE STONE AGEはこれからまた来年に向けて活発に活動するようになるから僕の焦点はそっちになるし、Alisonにとっても来年はTHE KILLSが中心になると思う。でも僕ら全員、THE DEAD WEATHERを意味のある存在として続けていきたいという願いが脳裏にあるんだ。それがまた別のレコードを作ることであれ、あるいは願わくばステージで一緒に演奏をする機会であれ、いずれにしろきっと直前になって決まると思うけれど、お互いに電話で"近いうちに時間ある?"って聞いて、タイミングが合えば何かしらやることになると思うよ。
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