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INTERVIEW

Overseas

THE DEAD WEATHER

2015年10月号掲載

THE DEAD WEATHER

Member:Dean Fertita(Gt)

昨年、全世界待望の2ndアルバム『Lazaretto』をリリースした元THE WHITE STRIPESのJack White(Dr/Gt/ Vo)を中心に、THE KILLSのAlison Mosshart(Vo)、QUEENS OF THE STONE AGEのDean Fertita(Gt)、THE RACONTEURSのJack Lawrence(Ba)という百戦錬磨のミュージシャンたちによって結成されたロック・バンド、THE DEAD WEATHER。彼らの5年ぶりのリリースとなる3rdアルバム『Dodge And Burn』が完成、Jack White 主宰レーベル"Third Man Records"より世に放たれる。"Jack Whiteのバンドのひとつ"というイメージを脱却し、バンドの存在意義を打ち立てた今作についてDean Fertitaがインタビューに応えてくれた。

-ニュー・アルバム『Dodge And Burn』のレコーディングは、時間を見つけて断続的に行なわれたとのことですが、アルバムを制作しようという思いはいつごろから抱いていたのですか?

2年前くらいかな。まずはシングルからレコーディングしようと決めて、"Third Man Records"の会員向けサービス"Vault"からリリースしたんだ。シングルをいくつかリリースして、それをまとめる形でアルバムをリリースするっていう昔ながらのやり方をなぞるっていう意味もあったし、同時に僕らのスケジュール上、レコーディングをする時間を見つけるためにもそれがちょうどいいやり方だった。それでTrack.2「Buzzkill(er)」、Track.6「Rough Detective」、Track.7「Open Up」、Track.11「Too Bad」の4曲をふたつのシングルとしてリリースして、そのあと僕らが住んでいるナッシュヴィルで、全員の休暇が重なる機会があった。最初はそこでもうひとつのシングルを作るつもりだったんだけど、結果的にそのまま2週間くらいでアルバムができあがったんだ。最初のシングルを2年前にレコーディングして、その1年後くらいに次のシングルをレコーディングして、3度目のレコーディングでアルバムができたから、アルバムの制作にかかった時間は実質3週間半くらいだったけど、スケジュールの都合上2年かかった。それぞれのレコーディングの間隔が長かったから、アルバム全体としての統一感に欠けるんじゃないかっていう不安があったけれど、実際できたアルバムを聴いてみると、アルバム全部が継続的にレコーディングされたようにも聴こえるものになっていると思う。それは僕らが実際ひとつの部屋に集まって曲を作っているときの様子、先入観や事前のアイディアを持たずに、自然とリラックスした雰囲気でお互いに反応し合う僕らの関係が、時間が経っても変わっていないことの表れでもあると思うよ。

-THE DEAD WEATHERの過去2作は、あなたがソロ・アルバムをリリースする前の作品でした。でも、今回はソロとしてのキャリアがあるうえでのリリースで、今、あなたにとってTHE DEAD WEATHERをやる理由というのは、どういうものなのでしょうか?

僕らが今回のアルバムを作った理由は単純にそれをやりたかったからで、次のアルバムを作るまで何年もバラバラでいたくなかったんだ。プレッシャーとは無縁に、全員で一緒にバンドとして自分たちのやりたいことをやるっていうのはとても解放感があるし、僕らはお互い知り合って長いから、それぞれの普段とは違う面を引き出し合うことができて、一緒にレコードを作るのはとても自然な作業なんだよ。時間が経ってもそういう関係はずっと変わっていないし、僕らの友好関係に変化はないと思う。

-私が感じたのは、このバンドは4人のメンバーによる自立したバンドになっているということでした。もうTHE WHITE STRIPESの幻影も探さなくていいし、ソロの代わりでもないという。あなたはどう思いますか?

うん、このアルバムは僕らがこれまで作ったレコードの中で、1番僕らをよく表しているアルバムになっていると思う。僕らそれぞれの演奏も1番いいものになっているし、僕らのやりたいことが以前よりもはっきりしていたから、それをアルバムに落とし込みやすくもあった。Jackのドラムも今までで1番いいと思うし、作詞やAlison Mosshartの歌もとてもいい。(THE DEAD WEATHERの)レコーディングのたびに、僕ら自身もまだ気づいていない新しい視野が生まれてくるのはとてもクールだよ。これまでのアルバムはどれも、とても素早くて短いレコーディングでできたものなんだ。まるでレコーディング自体がひとつの乗り物で、僕ら全員それに乗り込んで発進するみたいな感じさ。そしてそこでできたものに生命を吹き込むのがツアーに出てライヴをするということなんだ。それぞれの曲をツアー中、毎晩違ったアレンジで演奏することこそが、このバンドのエキサイティングなところだよ。だからレコードは僕らのやっていること、僕ら自身が遂げている変化の暫定的な姿だと言える。

-中でも、今回の1stシングルTrack.1「I Feel Love(Every Million Miles)」は、THE DEAD WEATHERのこれまでの楽曲と比べてももっとも素晴らしい曲のひとつだと思いました。この曲ができたときのことを教えていただけますか?

他の曲と同じく、嵐のように一気にできあがったよ。スタジオでの僕らには静寂の隙は一切なくて、スタジオ入りしてすぐに演奏を始めてレコーディングが始まるんだけど、この曲も休憩から戻ってきてすぐにギターを手に持ってリフが生まれた。それがそのままあの曲になって、それから25分もしないうちにAlisonが歌詞を完成させた。曲自体はもともとAlisonがだいぶ前に作った詩をもとにしていて、それがちょうど曲の音楽性と合っていたんだ。ギター・リフができてから、合わせて1時間もしないうちに曲ができあがったよ。はっきりとは思い出せないけど、3回目のレコーディング・セッションの始めの方でできたと思う。

-この曲のビデオ・クリップも印象的でした。出演しているのはAlison Mosshartのみとなっていて、完全にJack Whiteのバンドでないことが窺えます。Alisonひとりでいいのか、ということはバンドでも話し合われましたか?

特に話し合ったりはしなかったよ。曲に合ったビデオのアイディア自体が重要なもので、それを具体的に誰がどういうふうに形にするかはさほど重大なことじゃなかったから、今回嵐の中で吹き飛ばされたり這いずり回る役はAlisonに譲ったのさ(笑)。楽しそうだし、僕もぜひやってみたかったね!

-レコーディング中のエピソードで興味深かったものがあれば、いくつか教えてください。

制作過程が少し面白かったのはTrack.3「Let Me Through」で、レコーディングの最後の方にできた曲なんだけど、レコーディングの終盤で少し気も緩んできたところで、それまでにできた曲を見直してみたんだ。この曲はその中でもまったくの未完成で、JackとLJ(※Jack Lawrence/Ba)が一緒に演奏しているところを2分くらい録音しただけのものだったから、そのままボツにしようとした。するとAlisonが一旦それを家に持ち帰って、SUICIDEっぽいすごくいい詞を書いてきたんだ。その詞を見た僕らはそれに刺激されて、そのまま曲を発展させて完成させた。そして結果的にその曲が僕にとってアルバムの中でも特にお気に入りのものになったんだよ。そういうふうに、何でもないようなところから何かいいものが生まれるっていうのはいつだってクールだね。僕らのダイナミクスのいい一例でもあるよ、誰かひとりには見えないものを他の誰かが見つけ出すことができて、お互いに信頼しあっているんだ。僕らはそれぞれ違ったパーソナリティを持っていて違った要素を持ち込みながら、ごく自然に音楽が生まれてくる。特にこういうサウンドにしようとか、事前にどうするかの計画について話したりはせずに、ただ楽器をアンプに繋いで演奏を始めて、化学反応が起きるんだよ。