Japanese
吹雪
2015年10月号掲載
Member:宮川直彦(Vo/Gt) 佐藤智宏(Ba) 竹田敏之(Dr)
Interviewer:山元翔一
-では、そのまま音楽的な話を聞いていきたいのですが、資料のバンド紹介にはRADIOHEADやSIGUR RÓSの名前を挙げていらっしゃいますよね。みなさんのそれぞれのルーツやバンドを始めたきっかけはどういったところにあるのでしょうか?
宮川:バンドを始めたきっかけは友達のバンドを観てかっこいいなと思ったのがきっかけですね。その当時はX JAPANとかが全盛期で、ギターを買ってコピーしましたね。それでハードロックを追求していくんですけど、そうするとブルースに行き着くんですよね。それでStevie Ray Vaughanとか聴くようになって。ブルースを聴いていくとジャズに話が広がって、っていう感じでした。
佐藤:僕は学生時代ずっと引きこもりで(笑)。そのときに小さいころからの友人が、カラオケに連れて行ってくれたんですけど、そこでユニコーンを歌ってて。"あ、音楽ってこういう世界があるんだ"って思ったんです。それまで音楽を聴いてこなかったので、そこからユニコーンを追求していって、奥田民生、ベースの根岸孝旨っていうふうに広がっていって。根岸さんのベースがすごく良くて、低音っていいなって思ったんです。ベースはギターと違って弦が4本っていうところもあって、それでそのままベースに。
-吹雪のベースはメロディ・ラインがしっかりしているので、ユニコーンからの影響もありそうですね。
佐藤:もともと歌モノは聴いてきたっていうこともあって。やっぱり根岸さんが歌を引き立てるのがうまくて、自分もメロディを活かしたベース・ラインにしなきゃなっていう思いがあります。
-では竹田さんは?
竹田:僕は入り口が高校の吹奏楽だったんですけど、そこで打楽器ひと通りやって、大学では方向性変えようということで、ジャズのビッグバンドでドラムをやってました。高校のときにACIDMANを聴いてたんですけど、ジャズっぽい要素があったり、吹雪でやっているような轟音サウンドがあったり、それを3人でやっているのがすごくかっこいいなって思って。大学のジャズ・バンドをやめたときに、少人数でそういう音楽ができるところを探してここにたどり着きました。
宮川&佐藤:知らなかった......。
-なるほど。では、みなさん共通しているところはありつつも音楽的な出自は全然違うんですね。ちなみに資料にはUKロックという言葉もありますが、それはどのあたりになるんですか?
宮川:うーん、JOY DIVISIONとかTHE SMITHSとかになるんですかね。全般的にあっちの音楽が好きなんで。David BowieとかBrian Enoも聴いてましたし......雑食でジャズとか現代音楽とかいろいろ聴くので、何?って聞かれるとすごく困るんですよね(笑)。
竹田:でも好きな音楽の分布で言ったらUSよりUKの方がずっと濃いよね。
-UKの音楽ってどこか湿り気や憂いがあるものが多いですよね。そういったものに自然と惹かれるんでしょうか?
宮川:それもあるかもしれないですが、今作『カリユガ』が特にそういうコンセプトなのでそれもあると思うんですけど。
-今作について聞く前に、前作EP『祈りと鼓動』について改めて振り返っていただけますか?
佐藤:前作を作っている段階で今作に収録されている楽曲もできていたんですけど、明るい方向性でまとめたいっていうイメージがあったんです。さっきの話にもあった、"遠くから見ているとすごくきれいだけど、中はすごく冷たくて怖い"っていう吹雪のイメージにおける明るい面を出したかったんです。
-では、前作の時点で今作の構想やイメージはあったのでしょうか?
宮川:そうですね。どうしても明るいものと闇を描いたものを出したくて。今回の闇の部分を描いた作品が1番出したかったんです。
-前作と今作は対になる作品ということなのでしょうか?
宮川:そこまでではないですね。一応、今回のは今回ので完結しています。前作は余裕もなかったので、コンセプト感は今作の方が強いですね。
-今作『カリユガ』について聞いていきます。今作は"光のあたらない"っていうところがポイントかと思ったんですね。単に闇そのものを描いているのではなく、かつてあった光が奪われた、もしくはあるべきものが存在しないといったようなこと、ある種の"喪失"を描いているのかと思いましたが実際いかがですか?
宮川:そうですね、その通りだと思います。音楽なのであまり詳しく言うのも無粋なので。
-今作はタイトル"カリユガ"という言葉も印象的で、荒涼とした作品全体のフィーリングを的確に表していると感じました。"カリユガ"という言葉自体がいわゆる"ディストピア"という意味かと思うのですが、なぜこのようなタイトルを?
宮川:今作を作るにあたって影響を受けた本があって、それがコンセプトになるんです。要は"暗黒時代(=カリユガ)"っていう言葉が使われていて......これ、どこまで言うべきかちょっと迷いますね(笑)。
-あまり掘り下げない方がいいところですか?
宮川:あまり言うと社会性が出ちゃうじゃないですか? もちろん影響受けているのはそういった社会的なところなんですけど、あまり言ってしまうと音楽ではなくなってしまうじゃないですか?
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