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INTERVIEW

Japanese

Seagull Screaming Kiss Her Kiss Her

2015年09月号掲載

Seagull Screaming Kiss Her Kiss Her

Member:日暮 愛葉(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

-中尾さんは苦しんでいる日暮さんを見てどう思っていたんでしょうか?

やっぱり敏腕プロデューサーですね。大抵のことは"大丈夫です大丈夫です"って言いながら、本当にやばいってなったとき、"そろそろスタジオに入りましょうか"って。そういえば、今回、憲太郎から"LOGICを覚えてください"って言われたんですよ。"愛葉さんの頭の中を100%再現したいから頭の中をLOGICにぶっこんで、それを聴かせてくれたら1番早いから"って。鼻歌ふんふんやってて、スタジオで5時間が過ぎちゃったら、お金も時間ももったいないし、みんな他にもバンドやってるから毎日スタジオに入れるわけじゃないし。だからLOGICで8~9割できた曲を、なおちゃんに覚えてもらって、憲太郎と3人でスタジオに入って、ああだこうだってやりながら曲を練り上げていったんです。でも、LOGICは使ったことがなかったからマイナスからのスタートですよ(笑)。PRO TOOLSは楽曲提供で使ってたんですけど、全然使い方が違って。それでも周りに使ってる人が多かったから、いろいろ教えてもらいながら、変なところ押したら全部、消えちゃったっていう非常事態もありながらなんとか(笑)。

-完成したアルバムを、改めて聴いてみていかがでしたか?

1年通して、ライヴをやってきたメンバーが音を出してくれたということもあるし、私のイメージを曲げずに伝えて、それをちゃんと弾いてもらってるので、ナチュラルに昔のやり方に戻れたところと、ちゃんと今の自分のままのところを融合できたんじゃないかと思います。それが今、私に出せるベスト。それはできたと思います。

-今回の作品はロックンロールのノリが以前よりも感じられますね?

そうですね。Seagullはロックがロールしないところがいいところなんですけど。

-Track.1の「Damn' it I know what I am」なんかはちょっとブルージーで。

もともと、ブルースは好きなんですよ。Seagullの後期は音圧もあって、結構ブルージーな曲もあったんです。ロックンロールのロールしているのはそんなに好きじゃないんですけど、Jack Whiteを聴くと、いなたいんだけど、クールってあるんだって思いますし。ロックンロールって言うと、いなたいイメージしかないじゃないですか。それがダサいと思ってたんですけど、でも、Jack Whiteはそれをクールに表現している。SONIC YOUTHがベースにはずっとあるんですけど、THE JON SPENCER BLUES EXPLOSIONもそれこそHowlin' Wolfも好きなんで。でも、そんなに意識はしてないですけどね。

-Track.6「Trash and No Star」のようなジャム・セッションしながら作ったような曲もあるんですけど......。

かっちりLOGICで作ってるんです。デモを聴いてもほとんど同じなんですよ。

-その一方では、Track.4「Kiss and Make Up」やTrack.5「Beauty」のようないかにもソフト上で作ったような曲もあって、そういう曲がいい塩梅で混ざり合っているところがいいですね。

「Kiss and Make Up」はレコーディングの前日の夜中にできたんですよ。憲太郎に送ったら、"これいいじゃないですか。明日、録りましょう!""うす!"って感じで(笑)。そんなふうにギリギリになって身軽になれたと言うか、あれこれ考えずに元のSeagullを思い出せてましたね。

-Seagullの今後についてはどんなふうに考えているんですか?

10月にクアトロ・ツアーが決まっているだけで、考えは別にないんですよ。作ったばかりなんで、みんなに聴いてもらって、レスポンスをもらって、よかったって思ってるときなんで、魂がふわっと抜けたみたいに休みボケしているんです。相当タフな1年半を過ごしたんで、今のところこうしてやろうっていうのはないですね。思うがままにやればいいかな。だから、もしかしたら次の作品をあっという間に出すかもしれないし、しーんとしちゃうかもしれないし。そのときそう思ったら行動すればいいと思ってます。

-最後に、"永遠の思春期"という意味のアルバム・タイトルにはどんな想いが込められているんでしょうか?

私とか私の友達とかってそういう人たちが多いんですけど、17歳ぐらいに感じる先が見えない暗闇が続いている部分と、何か見つけて、"うわっ、これやりたい"っていうアンバランスな感覚を常に持っているというか、生きるのがヘタというか。アンバランスなまま、焦燥感と衝動に駆られて、何か作っては壊れて、また立ち直って、また壊れてってことを繰り返している。たぶん70歳になっても変わらないと思うんですよ。私自身、43年間生きてきてずっとそうなんで。それで"永遠の思春期だよね"って話をよく友達とするんですよ。男の子とも女の子とも。そういう想いを抱えてる人って結構多いと思うんですよね。そういう想いをシェアできたらうれしい。きらめきと不安が常に共存している状態はつらいけど、大事にしないといけないと思うんですよ。