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INTERVIEW

Japanese

リコチェットマイガール

2015年07月号掲載

リコチェットマイガール

Member:稲荷直史(Vo/Key)

Interviewer:山元 翔一

-なるほど、わかりました。それでは今作『ランドリー』のことについて訊いていきたいのですが、前作から9ヶ月でのリリースとなりますが、どういったところから制作がスタートしましたか?

1番最初にデモを作った6曲入りのEPは6つの物語がある作品にしようっていうのがあって作って。そこから2年くらい空いて出した前作『きっと鳴り止まない』で、もうちょっと人間味があるものというか、もっと生活感のあるものを作ったんです。今回に関しては、どういうものを作ろうかっていうのを探りながらも、今回は時間があまりなくて。3月までに完成させなきゃいけなかったんですけど、前回のリリース・ツアーのファイナルが終わった1月の段階で1曲だけできてて(笑)。そこからどうしようかって思って、その段階で出揃っている曲を並べて。意味づけとか歌詞はあとからついてくると思ったので、とりあえずその曲を起こして、曲を作ろうってことで勇ましくスタジオに入っていきましたね(笑)。

-もともとストックがあって、そこから作り上げたというわけではなく、今作のために書き上げるというスタートだったんですね。

そうですね。ただ、Track.6「目をみて話せたら」はバンド結成初期の作品の『エンドロールe.p.』に入っていたんですが、それをリアレンジして新しくレコーディングしました。あとTrack.2「待ってる」は、僕が18~19歳のころに作った曲でそれ以外は書き上げていきました。

-今作の資料に書いてあるのですが、"日常を洗濯機に見立てて、様々なものと絡み合いながらも日々が巡り、世界が回っている様、汚れが溶け出して、人々の気持ちが洗い上がっていく様、また次に向かう自分たちの不安や未来を、夢ではなく現実としてリアルに描いた"ものとして"ランドリー"というタイトルにされたそうですが、まず"日常を洗濯機に見立て"るという着想はどこから来たんでしょうか?

恥ずかしいんですけど、家に洗濯機がなくて(笑)。ずっとコインランドリーに通ってるんですが、1週間に1回くらいまとめて洗濯するんですね。あれって1回40分くらいかかって、その時間がもったいないんでそのときに曲を作っていることが多くて。洗濯物が絡まったり、乾燥機でTシャツがくしゃくしゃになったりっていうのが曲を書いているときに日常的にあったので。だから本当に自然と。

-曲を書いていて、その書いていた場所がコインランドリーだったからこうなったのは自然だと。

いつも自分の中に人とかものが巡っているイメージがあって。いつの時代も流行とかって巡るものじゃないですか?回るものってなんだろうって考えたときに、手近な回るものが洗濯機だったっていうところですね。まあ持ってないんですけどね、洗濯機(笑)。

- "ランドリー"っていうタイトルありきの作品というわけではなく?

曲が出揃ってから、タイトルを悩んでいて。締切が迫っている中で、"タイトル何にする?"って聞かれて"ら、ランドリーです!"っていうふうに最終的に決まって。そうふうに決まったんですけど、それは必然だったのかなって。

-でもこのタイトルはすごくしっくり来るし、ジャケットもよくあっていますよね。

ありがとうございます!

-『ランドリー』はポップな歌モノとしての色が強いですよね。メロディの叙情性が強くなっていますし、作品としてはどういった方向に仕上げようと意識されました?

前作は結構探り探りのままやっていたところがあったんですね。それでドラマーが大内(岳)になって、今の4人でやっていていろいろと今までの反省点がある中で"歌を大事にしよう"って彼が言ってくれて。歌やメロディをもっと大事にしたいって演奏陣が言ってくれたので、それであれば今回はそうしてみようと思って、よりニュートラルというかノーマルに歌をパッケージして作ってみようというところに落ち着きましたね。

-なるほど。オーソドックスというか、歌モノのポップスとして正統派みたいなところに落ち着いていったんですね。前作は、歪みが効いてたり、ヴォーカルが力強かったり、いわゆるオルタナっぽいアレンジが目立ったりっていうところがあったと思うんですが、今回そこが抑えられているのは歌を立たせようとした結果だったと。

そうですね。前回それやったから、今回はオルタナじゃなくていいかって。オルタナみたいな自分たちのバックグラウンドを押し出すよりも、歌モノやポップなものだったりっていうところに1度立ち戻ってみて、もっと大きなものが作れたらいいなと思っていました。

-この変化は意図したものだったんですね。今作のバックグラウンドにはどういった音楽があるのでしょうか?ポップな歌モノっていう括りだと大きすぎるので詳しく言うとどのあたりですか?

最初の話に繋がるんですけど、たまたま実家に帰る機会があって。そのときに母と話していていろいろ思い出した、ジャニーズの音楽とかMr.Childrenを聴き返して"懐かしいし、いいなー"って思って。まあMr.Childrenはずっと聴いてたんですけど。"こういう歌がいいんだよなー"とかもっとみんなが歌えるものを歌いたいなって思って。好みのところでいうと、THE CARDIGANSとか結構好きで聴いてて。

-マイナー・コードが使われていないっていうのも今作の特徴かと思うのですが、理由ってありますか?

ひとつあるとすれば、今回のアルバムは僕がギターを弾いてメンバーに曲を渡したっていうのがありますかね。普通のロック・バンドっていう視点からすると、キーボードから始めると違和感というかしっくりこないところあって......それはもちろん未熟なところがあるっていうのも大きいんですけど。今回、ギター・ヴォーカルがいると仮定して、作ってみるっていう実験をしていて。アコギをスタジオに持って行って、"今日はこれでやるから"って。そうなるとメジャー・コードしか弾けないですからね(笑)。

-ギターとヴォーカルで始まっているTrack.3「スペア」みたいな曲があるところからも、そういう変化は感じられますよね。

そうですね。本当に実験でした。でもギターを持って歌うっていうのはしっくりこないですね。アンチ・ギター・ヴォーカルみたいなところもあるんで(笑)。でもまあ、楽器は楽器なんでね。