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INTERVIEW

Japanese

柴山一幸

2015年06月号掲載

柴山一幸

Interviewer:吉羽 さおり

-そうですね。柴山さんの音楽は、そこまでドメスティックではないけれど、きちんと日本語詞がのるメロディでいて、でもグルーヴのある音楽でもあるという。

そうですね。そういうことでは比較対象にはならないと思うんですけど、やっぱりキリンジさんとかの音楽って、J-POPでは特別な存在だと思うんですね。自分たちの音楽にこだわりを持ちながら、ちゃんと生活もしていけるっていう。そういう音楽を自分でも作っていきたいし、趣味で自分の好きな音楽だけを聴いて生きていきたいわけじゃないんですよ。そこがすごく青臭いところなんですよね。

-そうですかね。

ずっと青臭いんです。でもその、青臭いって言われるのは、30歳くらいのときが1番イヤだったんです。でも、ある程度いくと自分で言うのもあれですけど、アナーキーなところが結構あるので(笑)。生活面においても、いろんな人に迷惑かけてるのもありますしね。そこが、もう珍しい存在になってきてるなと。若いときはそういう人はたくさんいると思うんですけど。今なお青臭くて、こういうふうに音楽を続けてやってるのは、もう絶滅危惧種になってきてるから(笑)。最近はいいかなと思ってます。ということは、今20歳くらいの子たちがバンドやったり初期衝動を持ってやっている子に、やってる音楽は違うかもしれないけど、伝わるところがあるんじゃないかなと思っているんですよね。それは同世代も含めてですけどね。よりたくさんの人に聴いて欲しいなっていうのは、ありますよね。

-ウェルメイドなものでありつつ、キャッチーさや愛嬌っていうのは非常に強い曲が揃っていますしね。

キャッチーとかポップ、ポピュラリティというのは絶対いいじゃないですか。

-そのポップさということにしても、面白くもとれるし、いじわるにもとれる。そういう両面があって聴かせられるバランスがあると思います。表層的だったり一面的でない、この人は奥底で何を考えているかわからないなっていうのが見え隠れするようなものが、やっぱり音としても音楽としても面白いと思うんです。

面白いですよね? でも最近ってなんか、結構SNSとかの影響だと思うけど、全部見えていた方がっていうところがあるじゃないですか。なんかね(笑)?

-ふと街で流れてくる歌にしても、もっと歌詞にいろんな意味合いを込めることの面白さが、あっていいんじゃないかなって思うこともありますね。

うん、そうだよね。

-今回のアルバムを聴いたときにパッと浮かんだのがJELLYFISHだったりもしたんですよね、ブリティッシュ・ロックの要素もありつつ、アメリカナイズされているし。なんだか一筋縄でいかない感じがある。

うん、両方あるんですよね。アメリカもイギリスの音楽も両方好きなので。

-音へのこだわりはもちろん、ひねくれたポップさをすごくあるなと(笑)。

しょうがないですよね、ひねくれちゃってるっていう。根本的にそうなんでしょうね。

-やはりそこは、育ってきた文化とか時代みたいなものでしょうか。

そうですね。多分、僕がひねくれているのは、これは生徒を見ていても思うんですけど、自分を認めて欲しいっていうところだと思うんですよ。でも何でそこでひねくれるか、ストレートにならないかっていうと、今までの自分じゃ認めてもらえないから。一方で、認めてもらえる人たちっていうのがいて、でも自分は違うんじゃないかっていうのがあって。そうじゃない部分を認めて欲しいから、ちょっとずつひねくれていくんですよね。これが、ぐるっと回るといいんですけどね(笑)。

-(笑)そういうところの発想で音楽が生まれたり、言葉のひねりが生まれたりするんですもんね。

そうですよね。さっき言った青臭さや初期衝動って、長くは続かないものじゃないですか。そのときに、音楽が好きで音楽をやりたかったら、自分の音楽を追求するしかないと思うんです。初期衝動のときは、自分に対して意味のない自信があるから、そこだけでいけると思うんです。そこでバーンといっちゃえばいいんだけど、そこでいけない人の方が多いと思うんだけど。意味のない自信がなくなってきて、でも音楽を続けるとしたら、そのなくなってきたものを、例えば曲作りでもっといい曲を作るとか、ライヴのパフォーマンスでもっとみんなが注目してくれることをやるとか、技術や経験というもので埋めるしかないじゃないですか。音楽が好きだっていうのが1番の原動力だと思うんですけど、そこがずっと続いてるから、毎回毎回それを埋めるだけの技術だとかいろんな音楽を聴いてみようとか、その都度そういう穴埋めをやってこれたから続けられていると思うんです。あとは、しばらく休んでたっていうのもあるんですけどね(笑)。