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INTERVIEW

Japanese

Long Tall Sally

2015年05月号掲載

Long Tall Sally

Member:寺垣 鉄平 (Gt/Vo) 桝田 康広 (Ba)

Interviewer:沖 さやこ

世の中にはセオリーやルールがつきものだ。そこに則っていかないとうまくいかない、スタンダードを歩まなければ成功しない......でも十人十色のこの世界で、ひとつが正解であるとは限らない。その人にはその人の正解があり、最も楽しめる方法というものがある。Long Tall Sallyもまた、そういうバンドだ。地元・鳥取でバンドを結成し、現在も鳥取を拠点に活動している。地元の仲間とレーベルを運営し、クラブを開業するという行動力を持つバンドである。今回彼らにメール・インタビューをさせてもらったのだが、その回答を読んで鳥取という環境を少しでも知れたこと、地元で音楽をやることの良さなど、新たな価値観を知れたことが非常に嬉しかった。3rdミニ・アルバムとなる新譜『Beg』も、高く大きい野望も、その自分自身にとって素晴らしい環境があってこそ生まれたものだ。音楽に限らず、表現というものを行ううえではそういう背景が大事なのだ。Long Tall Sallyの音楽は忘れがちな当たり前のこと、そういう大事なことを思い出させてくれる。

-まずはバンドについて伺わせていただければと思います。2006年に結成ということですが、どういう経緯で集まったメンバーなのでしょうか?

桝田:ギター・ヴォーカルの寺垣とベースの僕がもともと小学校からの同級生で、中学と高校のときに一緒にバンドをやっていたのですが、お互い県外に出ていて、2006年に鳥取で再会してまた一緒にバンドを組みました。

-音楽性は当初から決まっていたのでしょうか?

桝田:当初は音楽性が決まってないどころか、オリジナルを作る予定さえなく、1年半位ずっとTHE BEATLESの曲をひたすらコピーしてました。

-みなさんはご自身のことを"生粋のポップ・バンド"とおっしゃっていますが、私はTHE BEATLESの系譜にある、サイケの香りもするロックンロール・バンドだという印象を受けました。みなさんが思うポップ・バンドとはどういうものでしょうか?

桝田:僕の思うポップ・バンドは正にTHE BEATLESのことだと思います。いろんなタイプの曲を演奏して、みんなに愛されて、バンドが解散しても音楽はずっと残るようなバンドだと思います。スカスカな音でトレンド風なポップな曲ばっかり飽きずに演奏してるダサいバンドとは意味が違います。

-2008年に当時バンド・イベントのなかった鳥取で、地元バンドThe Burgundy Vincent Clubと共に主催イベントをスタートさせたとのことですが、当時の鳥取のシーンは言葉にするとどんな状態だったのでしょうか?

桝田:当時の鳥取は、バンドのシーンと呼べるものはまったくありませんでした。ライヴハウスや盛んだったメロコアのシーンさえなくなっていて、DJやクラブ遊びが全盛期で、若者のバンドのシーンは消えてました。大人のメタル・シーンは薄くは残ってたと思いますけど。バンドでの出番もほとんどなく暮らしが退屈だったので、自分たちでクラブを借りて、機材を入れてイベントを立ち上げました。

-イベントの開催は"鳥取を変えたい"という想いもありましたか?

桝田:当時はまったくありませんでした。ただ自分たちが遊ぶ最高な場所を作りたいっていう気持ちだけでした。ただここ数年、クラブ"Strawberry Fields"をオープンしてからはその気持ちがとても強く出てきました。今では日本の音楽やファッションに対しての価値観を変えたいと思ってます。

-2010年にThe Burgundy Vincent ClubとCarnelian-Recordsを設立なさった経緯はどういったものでしょうか? 動機は何だったのでしょうか?

桝田:最初は自主制作でCD-Rをライヴ会場で手売りしてたのですが、なんとなくレーベル名があった方がカッコいいと思い、ノリで作ることにしました。作るといっても最初はレーベルとは何かもほとんどわからなかったので、自分たちで言ってるだけでした。

-設立にあたり、参考や刺激になった存在のアーティストはいますか?

桝田:まったくありませんでした。本当に無知で、そのとき知ってたのはSEXY STONES RECORDS(※浅井健一が主宰するレーベル)とPIZZA OF DEATH RECORDS(※横山健が主宰するレーベル)くらいで、両方とも1回大成功した人がやってるレーベルだったのでまったく参考にも刺激にもなりませんでした。

-The Burgundy Vincent Clubはみなさんにとってどんな存在ですか?

桝田:The Burgundy Vincent Clubは当たり前に大親友だし、ライバルであり、兄弟のような存在です。本当に曲もカッコいいし、人間的にも最高にクールです。いいときも厳しいときも一緒に乗り越えて来たので、フィーリングもバッチリです。

-地元で活動をしている大きな理由とは? そして利点とはどういったものでしょうか?

桝田:ベタですが、単純に地元が好きだからです。県外に出て鳥取が好きになりました。家族も、仲間も、仕事も、全部いいし、思い入れのある場所もたくさんあるし、やっぱり地元は最高です。くだらないと思う人もいると思いますが、充実した人生にとって暮らしの基盤は重要です。鳥取にいる利点は音楽活動的にはほぼないですね。ただ日常が充実します。

-2012年に地元のクラブを買い取り、そちらにクラブ"Strawberry Fields"をオープンなさったとのことですが、その行動力がとても素敵だと思いました。どんな仲間と設立なさったのでしょうか?

桝田:The Burgundy Vincent Clubを始め、気の合う後輩たちと一緒に始めました。みんなとても純粋で真面目で、口数は多くはないけど、音楽と楽しいことの好きな最高なクルーです。