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INTERVIEW

Overseas

FLYING LOTUS

2014年10月号掲載

FLYING LOTUS

-うるさくてすみません......。

......だからまあ、俺には分かっていたんだけどね、こういうことをやるには、自分はいろんなアーティストたちを説き伏せて、この作品に参加してもらうべく彼らを引っ張ってこないといけないだろうってのは。

-今回のアルバムでは様々なアーティストとのコラボレーションによって、とても柔軟な制作プロセスが取られたのではないかと思います。あなたはこれについて"THUNDERCATの功績だ"と語っていますが、この辺りについて詳しく教えてください。

そうだね、彼は――彼があそこで果たした役割というのは、確かに彼はいろんなミュージシャンたちとのコミュニケーションが上手かったし、そこはすごく良かったんだよ。でも、面白いのは......だから、この作品のレコーディングでは、あれらの参加ミュージシャンたち全員がスタジオに一堂に会する、そういう場面は一度もなかったっていうこと。俺はそれぞれのアーティストたちと個別に作業したんだよ。あらゆるピースをひとつひとつ別個にレコーディングしていく、そういうやり方だったわけ。で、そのやりかたの方が俺にとっては遥かに興味深くてね。というのも、そうやって誰かとじっくり1対1で向かい合って、アイディアを伝えることができたわけだからね。相手に"さあ、これからドラム•サウンドをどっさり録ろう"みたいに話して、そこでいろんなドラム•サウンドをレコーディングしていって。で、そうやっているうちに何かクールなサウンドが生まれてくるし、そこで"オッケー、今までの分も良かったけど、試しに外に出てやってみようか。あともうワン•テイクやってみよう!"みたいな......(※ここで、再び周囲でのウェイトレスたちの食器類のセッティングが騒々しくなる)ジーザス!! ここ、世界で1番うるさいテーブルなんじゃないの(苦笑)?

-どうも、一段と騒がしくなってきましたね。場所を変えてもいいんですが......。

<※こちらの状況に無神経?なままで仕事を続けるウェイトレスたちの様子に眉をひそめて、だんまりモードに突入してしまう>

-ただ、この他の場所はお客も多いしBGMなんかがうるさいので......。

えー! マジ(汗)?

<※取材したテーブルはホテル中庭の吹き抜けにあり、レストランのマネージャーが陽光を入れるため天井に当たるモーター式の天窓を"ウィーーン、ガタガタ"と開け始め、さらに大きな機械ノイズで周辺が満たされてしまう>

............(※椅子に深く腰掛け、手を組んだまま窓を見つめながら窓が開くまでの約1分、完全に沈黙)。

-............。

(ノイズが止んだところで息をついて)オーケイ。

-すみません。

いや、いいんだよ。えーと、質問はなんだったっけ?

-作品におけるTHUNDERCATのコラボ仕事における貢献というあたりです。

ん、分かった。彼は......。

-でも、さっきおっしゃっていたように"みんなでビッグ•ファミリー"みたいに様々なアクトが集まって一緒にプレイすることはなかったようですが。

そう。まあ、ある意味そういうやりかたでも良かったろうなとは思うけど、ただ、各人と個別に作業する方が、俺にとっては遥かに興味深かった、みたいな。だから、誰かのパートをレコーディングしたところで、そこからまた、それとは別の作業に取り組み始める。で、そうしているうちに他の人がこっちに来てくれて、俺たちはその人のパートに取りかかっていって。で、それが終わったらそれまでやっていた作業に再び戻っていって......みたいなノリで、そのうちレコーディング作業が電話ゲーム(伝言ゲーム)をやってるような感じになってきて。でも、すごく楽しかったんだよ。ただしまあ、時間は死ぬほどかかったけどね! マジに――永遠に終わらないんじゃないか?みたいに感じる、それくらい、とにかくこの作品をひとつにまとめるのは時間のかかる作業で(苦笑)。

-(笑)それはそうでしょう。

実際、こんなに時間のかかるレコーディングをやったのは自分としても初めてだったよ。ほんともう、最終的にはそれこそ俺はおんなじ18曲を2年間聴き続けていた、みたいなもんだったっていう。

-クレイジーですね。

その通り(苦笑)!......だから、自分が5万回目くらいに(笑)セッションを再開したときも"え〜〜っ? この曲、もうできあがってたんじゃなかったっけ? ウソだろ!"みたいな。ハハハハッ!

-(笑)自分が何をやっていたかすら見失ってしまう、それくらい複雑な作業だった、と。

そういうこと!