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INTERVIEW

Japanese

Gotch

2014年04月号掲載

Gotch

Interviewer:石角 友香

-(笑)なるほど、そうかもしれないですね。

1回ツアーとかやって打ち解けたとかだったら、この後、あるのかもしれないけど、まず今回はD.I.Yでやるっていうのはひとつのテーマだったので、なるべく自分で演奏する、自分で録音するってことも含めてトライアルだったんで。それに、別に打ち込みでも打ち込みっぽくも、ナマっぽくもできるし。そういや、実は叩いてるのもあったり、タンバリンひとつ振ればずいぶんナマに寄ってくる。ま、使いようでしょ、と思ってやってるから。

-弾き語りのライヴを各地でやったことも影響してますか?

影響してないことはないと思いますけどね、自分のやってることだから。でも、もっと全曲「Wonderland/ 不思議の国」とか「Humanoid Girl/ 機械仕掛けのあの娘」みたいなトラックっぽいタッチでもやれたとは思うんですけど、でも弾き語りっぽい曲、たとえば4曲目の「Stray Cats in the Rain/野良猫たちは雨の中」とかは完全に弾き語りだし。そういうのが入ってくるのは、やっぱり弾き語りからできる曲があるからで。それに自分ひとりで弾き語りでやれる曲があれば、いろんなところに行っても重宝するというか、機能性が高いというかね。そういう面では、身体ひとつでできる楽曲を切り捨てることはできなかったっていうのはありますね。

-ソロはアジカンとは別の音楽性のアウトプットという面も勿論あるでしょうけど、これを作ること自体が後藤さんにとってある種の癒やしというか、そういうものでもあるのかな?と思ったんです。というのも、聴き心地がラクだからなんですけど。

そうですね。リラックスしてやってましたよ。ラクして......別にさぼってるワケじゃないんだけど、ひとりで1日中、パソコンとにらめっこしながらリズム・トラックのこと考えてても、やらされてる感まったくないし、好きでやってるワケだから。そういうのはありますね。癒やされたかどうかはわからないですけど、少なくとも"スタジオ行きたくねぇな"と思ったことは一度もない。そういう意味ではすごくヘルシーな現場だったと思いますよ。

-歌の内容は甘くも優しくもないんですけど、でもすごいラクになれる。

ポップというか、肩肘張ってない感じがして、僕自身聴いてて、いいですね。"こうするべきだ"みたいなのないし、ホントに好きなものを好きなように作った。でもリラックスしてるっていうのは、後から聴いて自分でも思うことだしね。リラックスしてリラックスしたものが作りたかったとはいえ。

-ブログを見てると、録音機材も増えていくのがわかるし、作ることの楽しさが伝わってきたし。

そうですね(笑)。でも楽しいですね、音楽にお金を払ってる時は。機材っていうのはホント財産だと思いながら。ただ、ヴァーチャルのシミュレーターの権利をすごい高い金額出して買うのって"なんなんだよ?"とか思いながら(笑)。その点、実機って、ここにあるんで。やっぱりいいマイクやいい機材で録ったりとかするのって意味があるな、実感があるなと思いながらやってました。いろいろ楽しかったですよ、自分の録音技術も進歩しましたしね。

-実機への対価を払う感覚は大事ですよね。美味しいご飯食べて、このご飯にお金を払いたいと思うのと同じというか。

うん。そういう身体性は改めて僕の中ではテーマだし、身体っていうのはすごい大事。言葉とも関係してくるし、音楽的な才能って基本的には身体的な才能だと思うから。聴くのだって要は身体の問題だしね。

-同じものを聴いても何を聴きとるか?とか。

そういう問題もあるしね。だから、そういうところへの自分に対する問いかけにもなっているというか。でもまぁ、そういう難しい話はさておいて、楽しいことというか。ま、苦労もありましたけどね。ホリエ(アツシ)くんと作った「Great Escape from Reality/偉大なる逃避行」とか、やっぱり人の曲って大変なんだなぁと思ったり。

-ホリエさんはギターとピアノとコーラスでの参加だと思ってましたが、曲もなんですね。この曲こそまさに頭も身体も全部駆動して聴いてる感覚があるし。

うん。話戻るけど、最近面白いなと思うのは、音楽ってたぶんすごい人間的なものだと思うんですよ。他の動物はやらないじゃないですか。でもだんだん情報量が増えていくと、音楽が逆に動物寄りっていうか、プリミティヴな方面にどんどん行っちゃって。自分たちの生活が言葉で埋め尽くされるほど、ネットとかで情報が増えれば増えるほど、どんどん音楽はプリミティヴなものに思えてきて。人間が人間らしさを追い抜いて、観念みたいなものだけが膨らみ続けて、なんか脳が爆発するんじゃないの?そのうち、みたいな(笑)。身体を置いていっちゃってる感じはしますね。だから、そういうところにソロの場は立ち返って作ってるのかなと。

-なるほど。アナログ2枚組でリリースする理由っていうのも......。

『ランドマーク』をアナログで作って、あれはやっぱり2枚組にしたかったなって気持ちがあって。音がはるかにいいんですね。