Japanese
Gotch
Skream! マガジン 2014年07月号掲載
2014.06.12 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 石角 友香
"愛し合ってるかーい?"――これは言うまでもなく忌野清志郎、永遠の名フレーズだが、この日、初めてGotchのソロ・アクトを観て感じたのも、何かそうした祈りとも叱咤とも取れる、生命への祝福だった。
おのおのオープニング・アクトを迎えての今回のツアー。ファイナルのこの日は先日、バンド名を改めたボールズが、音楽を鳴らす喜びを全身で表現するステージを見せ、Gotchのファンからも大きな拍手を浴びて、温かさと興奮に満ちた会場の空気が増幅する。
フロアはドリンク・カウンターなどに移動する人も少なく、セット・チェンジの最中もGotchの登場を今か今かと待ち望んでいるムード。19時50分に場内が暗転すると今までの静寂はなんだったのか?と驚くほどの大歓声に迎えられて、スーツにハットといつもよりかなりフォーマルな衣装のGotchをはじめ、シモリョーことthe chef cooks meの下村亮介(Key/Syn/etc.)、Turntable Films/Subtle Controlの井上陽介(Gt)、佐藤亮(Gt)、元COMEBACK MY DAUGHTERSで今はTYN5Gの戸川琢磨(Ba)、YeYe(Perc/鳴り物/etc.)、mabanua(Dr)の7人が登場。演奏前から笑いが絶えない。オープナーの「Humanoid Girl」はラテン・テイストなドラムやYeYeのフロア・タムも加わって、実に生々しいリズムにリアレンジ。ロック・バンドというより、楽団という言葉がしっくりくる素朴でたくましい演奏だ。そのままMUMFORD & SONSを思わせるトラディショナルなムードで「The Long Goodbye」、佐藤が吹くブルース・ハープやシモリョーが入れるスクラッチも楽しいアルバム・タイトル・チューン「Can't Be Forever Young」まで一気に演奏してくれた。
最初のMCでGotchはようやくメンバーと打ち解けてきたのにもうファイナルで正直名残惜しいと本音を吐露。かけがえのない時間を楽しもうと言わんばかりに、井上のカントリー・テイストのギターが映える「Stray Cats In the Rain」、YeYeのアンデス(鍵盤リコーダー)の響きの素朴さやシーケンスの奇妙な音が混じってちょっとシュールな「Aspirin」。そして温かい色味のサイドとフットライトがメンバーのシルエットを浮かばせる中、期間限定でSoundCloudにアップした、あの「Route 6」が披露される。バンド・アレンジでもアコギと下降していくベースなど必要最低限の音しか鳴っていない中で歌われる、東京と仙台を結ぶ国道6号線を歩く"僕"のありのままの姿。無力感、自分に引き受けられる何か......思いが映像として立ち上がるような研ぎ澄まされた時間だった。続く「Blackbird Sings at Night」の黒い鳥=僕もひと続きの心象を描いて、静かにいつまでも自分の心に留めておきたい大切な演奏だった。
続いてこのところGotchが聴き込んでいるNeil Youngをこのバンド流のゴスペル的な解釈で披露したあとは、ストレイテナーのホリエアツシと共作した「Great Escape from Reality」。シーケンスが空間を拡張し、リーディング風のGotchのヴォーカルが明確に聴こえてくるこの曲からのブロックは、それまでの素朴な楽団から、人力エレクトロ・バンドの様相を帯びていくのだが、メンバーの抽斗の多さやセンスの良さを実感できる場面でもあった。Gotchも引用可能な音楽のレンジは広いが、メンバーも相当、柔軟だ。そして意外にもシンプルな8ビートで軽快に聴かせる「Lost」あたりからステージ上もフロアもグルーヴが増し、USインディー・テイストをオリジナルの「Nervous Breakdown」とWILCOのカヴァーで聴かせる辺りもなかなかに粋だった。
ラストのブロックの前"ソロやってる人は、孤独なんだなっていうのがわかった"と、改めてGotchが発言すると不思議に思える一言が。それは暗にASIAN KUNG-FU GENERATIONという巨大な存在を俯瞰する機会を得たということでもあるだろうし、物づくりの発端はいずれにせよ孤独なのだということでもある、そんな風に聞こえた。
本編ラストはグッド・メロディがナチュラルなバンドのダイナミズムにしっくりくる「Sequel to the Story」、プリミティヴなビートとメンバーのコーラスがやさしい「A Girl in Love」。"僕らはまた 来世で都合良く 会えたりしない 出会ったりしないよ"......ここで、冒頭の思いがここまでの思いの集約として浮かんできた。いつまでも若いままではいられない、人はいつか死んでしまう。それはもうあらゆる理由で。あなたが感じたひらめきやときめきは永遠ではない。だからこそ今、その思いを輝かせよう。そんな示唆を感じるエンディングに、カジュアルそうに見えたこの急ごしらえのバンドの、いや、むしろ急ごしらえにも関わらず、そんなメッセージが成立する全員の人間性が奏でる音楽に感極まってしまった。
ライヴの進行とともにバンドが生き生きと成長する様を目の当たりにしたオーディエンスから大きな歓声と拍手が起こり、再登場した7人、そしてホーン隊も呼び込んでの「Wonderland」は、音源でのシニカルさもナマのダイナミズムで笑い飛ばし、新たな曲になったような印象すらあった。そしてアンコール2曲目にはツアーと並行して作ったという新曲「Baby Don't Cry」もプレイ。ジャンルではなく、気持ちの熱量という意味でソウルを感じる、早くも新しい側面を見せるこの曲に、Gotchのソロ、そして後藤正文の今を垣間見た思いだ。
メンバー全員、満面の笑顔でステージを後にしても鳴り止まないアンコール。客出しBGMにはBob Dylanの「風に吹かれて」が流れる中、もう普段着に着替えた7人がダブル・アンコールで再々登場。Gotchのアコギ、みんなはおのおの鳴り物を携えて「A Girl in Love」をフロアも巻き込んでシング・ア・ロング!決して完璧に緻密に組み上がったものだけが強いわけじゃない。未完成な部分も多く残したまま、旅に出てしまえるタフなバンド。そしてそれを可能にしたGotchの作品が持つ素の強さを再確認したライヴだった。
いや、これはFUJI ROCK FESTIVALでも決められたステージだけと言わず、神出鬼没なバンドとしてこの夏をざわつかせてくれないだろうか?と、淡い期待を抱いている。
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