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INTERVIEW

Overseas

MOBY

2013年10月号掲載

MOBY

Interviewer:小田部 仁


-今回のアルバムは拠点をNYからLAに移されて作られたそうですが、LAとNYでは違ったクラブ&エレクトロ・ミュージックの文化がありますよね? 今回、その違いに影響された部分はありましたか?

良い質問だとは思うし、上手く答えられたらいいんだけど、実際僕はあまり夜出掛けないんだ。夜出掛けることがあるとしたら、DJをするか、ライヴをするためで、オフの日や週末は、友人と食事に出掛けたり、友人宅にみんなで集うとかするくらいで、クラブに遊びに行くことはほとんどないんだ。もしかしたら言わないほうがいいことなのかもしれないけど、事実なんだ。

-LAという街自体にはどのような影響を受けましたか?

昔からLAから出てきた音楽の影響は受けてきた。遡ればLAからはCROSBY, STILLS, NASH & YOUNG、THE GUN CLUB、X、MOTLEY CRUE、Dr. Dre、John Williams、THE DOORSといった独自のサウンドをもった音楽がたくさん生まれた歴史がある。LAという街自体も、独特の雰囲気を持った多彩な街であり、LAの音楽もそう。ハリウッドにあるスタジオに行けば、ある部屋でDr. Dreがトラックを作っているかと思ったら、隣でJohn Williamsがクラシック作品を作っていて、別の部屋でパンク・バンドがリハーサルをやっていたりする。その不思議な多彩さこそがLAの日常であり、LAのカルチャー、音楽にも通じている。

-今回「A Case For Shame (with Cold Specks) 」のMVをご自分で監督されたそうですね? 水中の映像がとても美しい作品でした。初めてのMV監督としてのデビューはいかがでしたか? また、どのようなテーマでMVを撮られたのでしょうか?

MVのテーマは、まず冒頭で僕は死ぬんだ。そこから幽霊が住む別の世界に行く。幽霊はみんな自分を恥じているから被り物をしている。その幽霊たちに誘導されて現実からよりいい場所に連れて行かれるという内容だ。監督したのは楽しかったよ。子供の頃から写真を撮り続けていて、映像世界を作ることが大好きなんだ。だから今回も、静止画を集めてそれを動かしている、というイメージで作ったんだ。動画を撮る映像監督というよりも、スチールを撮る写真家という感覚で作った。実際ヴィデオを見てみると、写真を集めて作った動く映像という印象を受ける。

-今、音楽業界全体が縮小傾向にある中で、音楽を作ることには、より強いモチベーションが必要だと思われますが、あなたを未だに楽曲制作に駆り立てているものはなんですか? また、このアルバムで成し遂げたかったことはなんなのでしょうか?

何が僕を音楽制作に駆り立てているかというと、きっと、もっと長く答えることもできるかもしれないんだけど、端的に言ってしまえば、なんで音楽を作るかというと音楽が好きだから、それに尽きる。音楽の自分の感情に訴えかけるところが好きだし、音楽がかかるだけでその場所の雰囲気がガラっと変えてしまうところも好きなんだ。誰でも生きる上で何かに自分を注ぎ込むべきだと思うんだ。僕は凄く若い頃に自分は音楽をやると決めた。今となっては成功や失敗も考えないし、儲かるかどうかを気にすることもない。そういうものは変わりゆくものだから。僕が考えることは、朝起きて、スタジオに行き、音楽を作って、自分が一生音楽をやって生きていくことのできることに感謝することだ。

-なるほど。では、今後、音楽業界はどのような方向に進んでいくべきだと思われますか? またご自身としては、今後どのような活動をしていきたいと思われますか?

矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、一方で音楽業界は崩壊したけど、同時に久しぶりに今健全な状態にあるとも僕は思っている。音楽を作る方法が昔に比べてずっと手軽で身近になった。また音楽を誰も手軽に発信することができる。聴き手もこれまでにないほど幅広い音楽を気軽に聴くことができるようになった。だから僕は音楽業界のことはあまり心配していない。なぜならこの地球にいる人たちはみんな音楽が好きだから。だからこれから先も音楽家は存在するだろうし、音楽が存在し、音楽を聴きたいと思う人たちも永遠に存在し続ける。そこが何よりも重要なことだと思っている。その中で生き残る会社もあれば、消えていく会社もあるかもしれない。消えていく音楽ジャンルもあるかもしれないし、より強くなるジャンルもあるかもしれない。実際それがどうなるかは僕は全く想像も付かないけどね。僕自身は、ただこの先も音楽をずっと作り続け、何処かの誰かが聴きたいと思ってくれるいい作品が作れればと思っている。ミュージシャンとして、毎日自分のスタジオで音楽を作って、作品を発表できれば十分幸せなんだ。