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INTERVIEW

Overseas

THE ENEMY

2012年06月号掲載

THE ENEMY

Member:Liam Watts (Dr)

Interviewer:新谷 洋子


-今言ってくれたように、あなたたちがデビューした2007 年と比べれば、最近は明らかにイギリスのギター・ミュージックは元気がないですよね。そういった状況について思うことはありますか?

落ち込んだりはしないけど、時々フラストレーションは感じる。でも人々は聴きたい音楽を聴くわけで、チャートは人々がどの作品を買っているかを単純に反映してるから、そのこと自体にあれこれ言っても仕方がないよ。ただバンドとしての僕たちは、ラジオで、楽器を弾いているアーティストたちの音楽を聴きたい。実際にギターをかき鳴らし、ドラムを叩いている人たちの音楽が聴きたい。ラジオを聴いていて、生の楽器の音を一切聴かないまま20 分が経ってしまうのは嫌なんだよ。

-今の話の象徴的な出来事として、OASIS の解散っていうのは非常に大きなトピックでしたよね。市井の人々の声を代弁するバンドとしてのアティチュードや、音楽的なスケール感の大きさも含めて、THE ENEMY はこの20 年間OASIS が座っていた王座に、KASABIAN と並び新たに座ることのできるバンドなんじゃないかと私は期待しているのですが、自分たちはどのように思いますか?

確かにOASISが解散したことでシーンには大きな穴が開いてしまったわけだけど、僕たちとKASABIANに関して言えることは、お互いにファン層は似通っているものの、音楽性が全く違うってことなんだよ。それは素晴らしいことだと思う。それぞれに自分たちの個性を伸ばすスペースが十分にあるからね。ただ単にOASISの穴を埋めようと四苦八苦する必要はないと思う。そして僕たち自身も、これまで通りに自分たちらしさに忠実に活動するだけさ。今更どうこうできるわけじゃない。もっと売れるために自分たちを変えようなんてことは、考えていないよ。自分たちらしい音楽を鳴らすだけ。それにしても、なんとかロック・バンドってものがカムバックしてくれたら最高だよね。ここ数年、KASABIANが大活躍しているのを見ていて、すごくエキサイティングだったよ。彼らがあんなに頑張ってくれていなかったら、チャート上のロック・バンドの存在感はもっと薄れていただろうから。今や、ラジオを聴いていてバンドの音が聴こえてくるだけで、ありがたい気持ちで一杯になる。ああ、まだいてくれたんだなって(笑)。ロック・ミュージックって本当に大切なもので、『Ⅹファクター』だとかのオーディション番組の類とは全く世界が違うんだよ。ロックはリアルなもので、あっちは人工的に造られたものだからね。とにかく僕はそんなものに興味はないんだ。

-では最後に、イギリスと日本は遠く離れていますが、本作を聴くと、就職難などで不安を抱えている日本の若者たちと、イギリスの若者たちには共通する部分が多くあることを感じますし、何より、このアルバムはそんな若者達に対して「自分に誇りを持て」と呼びかけているようで勇気づけられます。将来に不安を持ちながら暮らしている日本の若者たちにメッセージをお願いします。

みんな何か人生に目的を見出すことが凄く重要だと思うんだ。若い時は、周囲の物事に対して、怒りを抱いてしまいがちだよね。ただ、怒っていることにも限界があって、どこかで決断を下さなくちゃいけない。自分にとって正しいことは何なのか、自分は何をするべきなのかってことをね。その決断を下したら、一歩人間として前進できる。君たちを取り巻く状況も、少しマシになるはずさ。もちろん、自分たちの力だけではどうにもならない政治的な事情もあるわけなんだけど、ほんの小さな一歩を踏み出すだけで、君の人生はずっとハッピーなものになる。そして、そのあとできっと努力は報われるよ。