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INTERVIEW

Overseas

MYSTERY JETS

2012年05月号掲載

MYSTERY JETS

Member:Kapil Trivedi (Dr)

Interviewer:平野 スミオ


-先日、新メンバーにPeter Cochrane(Ba)とMatt Park(Pedal Steel)加入のアナウンスがありましたが、今作のレコーディングには参加されているのですか? 彼らとの出会いや加入への経緯もよければ併せて教えてください。

Mattはロンドンのストレッタムでのレコーディングに参加したよ。ペダル・スティールを加えたくてプレーヤーを探していたら、DanがMatt Parkを紹介してくれたんだ。会ってみて、ライヴに欠かせない存在になるって確信して、加入してもらったよ。Peter はTHE PEPPERNOTESってバンドのフロント・マンで、僕らがアルバム『Twenty one』を作っていた頃しょっちゅう観に行っていたんだ。ベース・ヴォーカルだったKaiが脱退して、フロント・マンで真っ先に頭に浮かんだのがPeterだった。連絡したらコスタリカの火山だかなんだかを登山中とか言って......なんとか無事に戻ってUKツアーに参加して貰ったよ。

-今作リリースに先駆けてバンドのホームページにて公開されていた「Someone Purer」は美しいメロディやキャッチーなコーラスがファンならずとも引き込まれる一曲だと感じましたが、この曲をリード・トラックに選んだ理由は?

既にMYSTERY JETSのファンって人にもそうじゃない人にもアルバムを聴いて貰う取っ掛かりになるって点で、ファースト・シングルを選ぶって重要なことなんだ。今回のアルバムに関して言えば、とにかく一番ピュアな曲がいいだろうって思ったんだよね。アメリカみたいな広大な国にいるとダークで孤立した気持ちに陥るけれど、この曲にはそうした側面とそれを補う明るくて軽快なコーラスが同時に存在するんだ。2年ぶりに僕らの音楽を聴くファンにも伝わるエネルギーを持つ曲だと思うよ。この2年の間、僕らが何をやっていたのか、ファンに正しく伝えることができる曲だね。

-女性ヴォーカルを大胆にフィーチャーし南国のような甘い雰囲気を持つ8曲目収録「Roses」は、今までのバンドのイメージに全くなかったタイプの楽曲で驚きました。このような曲を作りたいと思ったキッカケや完成までの経緯を教えて下さい。

この曲はWilliam Rees と Sophie Rose Harperの共作だよ。初めて耳にしたのはKaiの結婚式で、最初はTHE BEATLESの未発表曲かなんかだと思ったくらい、とにかく名曲だね。結婚式の席で、二人ともナーバスになっていたのかな......いきなりWilliamと Sophie に"ドラムを叩いてほしい"って頼まれて、飛び入り参加したのを覚えているよ。特別な想い出のある曲だね。

-シンプルな弾き語りスタイルで収録されている「Luminescense」で力強くも儚く作品を締める流れに今作の真髄のようなものを感じたのですが、あえてこの曲を最後(ボーナス・トラックは除く)にした狙いは何だったのでしょうか?

アルバムの曲順は曲自体が自然に決めるもので、だから僕らは悩まなくて済む......正直そう思っていたいんだよね。「Luminescence」をバンド編成で演奏したこともあるけれど、やっぱり一番いいのはヴォーカルとギターのシンプルな構成だと思うんだ。そう確信したのはテキサスにいた頃、友達のFledがラッドランズに遊びに来てビール片手にBBQをした時のことで、Blaine (Vo, Key & Gt)が「Luminescence」を演り始めて、そこにFledがドブロを併せて弾き始めたんだ。前庭のポーチでロッキング・チェアに揺れながら、クリケットの観客たちに向かってジャムっているみたいだったよ。そのまま何の手を加えずにレコードしたのさ。

-もはや実験的なサウンドとも受け取れるほどジャンルを特定できない作品であり、それがバンドの狙いだという意志も同時に感じました。それでも"MYSTERY JETSらしさ"を失わない自分たちの強みは何だと思いますか?

僕らはトレンドに関知しない......だから自由に表現できるんだと思うよ。アイディアや曲に制約を加えたりするべきじゃない、もっと感情に頼って音楽を作っていいと思っているんだ。自分たちが良しとするなら、何にでもトライするべき。それがバンドの姿勢だし、これからもそれを貫いて行きたいね。

-FUJI ROCK FESTIVAL2006にて初来日ライヴを果たされてから、これまでの活動を通して日本でも熱狂的なファンが多いのですが、日本のファンへ抱いている印象や他の国のファンとは違う特長などがありましたら教えて下さい。

日本は僕らが行った国の中でも抜群に美しくて魅力的な国だと思う。どの国に行っても最初は自分の国との違いが気になるよ。例えば空港やホテルでファンが待っているとか、街を歩いていると追いかけられるとか。でも何回も来ていると、実は共通点があるってことに気付く......イギリスと日本、こんなに離れているのに似たところがあるんだ。それが日本の魅力だね。

-そして今年6月開催の"Hostess Club Weekender"にて再来日ライヴが決まったとのことで今から大変楽しみにしております。これまで数多くの海外ライヴを経験なさっていますが、もし日本でのライヴだけで特別に心がけていることや取り入れている工夫などがありましたら教えて下さい。

どのライヴも常に110%の力で全力投球が僕らのポリシーさ。ツアーじゃセットリストも毎回変えて、ファンを飽きさせないようにしているよ。ファンだけじゃなくて自分たちにもサプライズを用意してるしね。例えばこの間は誰かが虫入りテキーラを差し入れしてくれたんで、40杯、虫入りで注いでオーディエンスにも配ったんだ。日本でも試したいファンがいれば、何本か持ち込んでもいいよ。

-今作は80'sリヴァイバルと呼ばれたサウンドから自然体でありながら芸術的な進歩を果たしてみせた非常に素晴らしい作品であり、これからの音楽シーンにおいてバンドの独自な立ち位置を示した非常に意義深いもだと感じていますが、今後の野望や目指している理想像を教えて下さい。

次はアメリカの別の顔、つまりえげつないくらいの物質主義と都会の喧騒についてのアルバムになるかも? 今一番聴いているのはヒップホップだし......今後のことなんて分かんないや。

-最後に新作を待ち望んでいた日本のファンと、今作との出会いをキッカケに新しくMYSTERY JETSのファンになる方々へメッセージをお願いします。

コンニチワ!!!みんな大好き、愛してるよ! 早く日本で会えるのを楽しみにしてます。オフに富士急ハイランドに行きたいんで、一緒に行ってくれるって人がいたら声かけてね! アリガトウゴザイマス!!!