Overseas
OASIS
Writer : 山本 真由
強烈な個性を持ったGallagher(ギャラガー)兄弟というアイコンと、聴く者を選ばない包容力のある名曲の数々
昨年2024年8月、世界中の音楽ファンを驚かせる特大ニュースが舞い込んできた。なんと、"あの"OASISが再結成公演を行うことを発表したのだ。OASISの中心メンバーであるNoelとLiamというGallagher兄弟の長年にわたる確執と、2009年の解散のゴタゴタを考えると、もう修復は無理なのかも......と落胆していたファンも多かっただろう。さらには、解散したことでキャリアが止まってしまうようなアーティストではなく、兄弟それぞれが別バンドやソロ・キャリアを始動し、わりと順調に音楽活動を継続していたことで、再結成は夢物語かと思われていた面もある。また逆に、ずっと仲の悪い兄弟だから、またころっと仲直りする未来もあるんじゃないかという期待もあったろう。今回は、そのだいぶ楽観的だったファンの希望が見事に実現したということになる。
ともかく、実に16年ぶりに彼等がOASISとしてライヴを行うということで、それはまさに世界中のファンが待ちに待った瞬間の訪れ、あの伝説のライヴ、1996年の"Knebworth 1996"と並ぶ歴史的なツアーになるのは間違いないだろう。
Oasis - Live Forever (Live At Knebworth) Taken from the cinematic documentary 'Oasis Knebworth 1996'
そして嬉しいことに、そのワールド・ツアーの日程にはここ日本も含まれている。2025年10月25日と26日の2デイズ、東京ドームにて行われる日本公演は、"FUJI ROCK FESTIVAL'09"以来の来日ということで、もちろん即完売。全席種チケット争奪戦の超プレミア・チケットとなった。そんななか、このスペシャルな再結成ツアーの開催を記念して、歴代シングル曲全てを網羅した"究極の"ベスト・アルバム『Time Flies...1994-2009』が、最新リマスター×限定仕様で再リリースされることとなった。収録楽曲は、24曲が全英TOP10入り、そのうち8曲はNo.1に輝いたという問答無用の名曲揃い。日本でもCMや映画等のタイアップで馴染み深い楽曲が数多く収録されている。また、元SUPERCARのギタリストで、作詞家/音楽プロデューサーのいしわたり淳治による、新訳の日本語訳詞が新たに掲載されていることも、日本のファンにとっては嬉しいポイントだ。OASISの、タイムレスで誰もが共感できるピュアな歌詞の世界観を、テンポの良い口語訳で表現した新訳は、新規のファンがOASISの魅力を発見する手助けになるだけでなく、改めて彼等の音楽に向き合うファンにとっても、新しい魅力の発掘に繋がるかもしれない。
改めてベスト盤を聴いてみると、1曲目、デビュー・シングルである「Supersonic」(1994年)から完成度がすごい。激エモなリフと、キャッチーなのにどこか危うい一面を持った絶妙なメロディライン。この時点でもう世界が熱狂するOASISサウンドは完成されていたのか......と驚愕する。そして、彼等を象徴する楽曲の1つである「Live Forever」もまた1stアルバム『Definitely Maybe』(1994年)収録だという事実にさらに驚く。ギターがメロすぎて泣いてしまう......。え? これがデビュー・アルバム収録曲なの!? いや、改めてNoel Gallagher天才すぎる、と実感した。また、Liam Gallagherのヴォーカルは本当に独特で、めちゃくちゃ歌唱力が高いというタイプではないのに、心揺さぶる説得力がある。ソングライター Noel Gallagherの生み出す、耳心地は良いがお行儀は良くない、英国労働者階級スタイルのロックンロールを阿吽の呼吸で表現できるのは、やはりLiam Gallagherしかいない。彼等の音楽にはインテリチックな政治批判や、偏った思想のマッチョイズムもなく、近寄りがたい偏屈なアート精神もないのだ。あるのは、リアルな人生の中にある詩的な欠片を拾い集めた、普通の人々にぶっ刺さる言葉と、誰もが一緒に歌いギターをかき鳴らしたくなるようなキャッチーなサウンド。彼等はカリスマ的なロック・スターでありながら、誰もが感覚的に共感できるリアルなワーキング・クラス・ヒーローなのだ。
【日本語訳】Oasis - Supersonic / オアシス - スーパーソニック (Official Video)
【日本語訳】Oasis - Live Forever/ オアシス - リヴ・フォーエヴァー (Official Video)
そしてもちろん、世界で2,500万枚以上を売り上げた、彼等の最大のヒット・アルバムである『(What's the Story) Morning Glory?』(1995年)収録の名曲の数々も収録。中でも特に「Wonderwall」は、そのシンプルな楽曲構成から多くのアーティストにカバーされているだけでなく、この曲をきっかけにギターを始めるキッズも数多く存在する"ザ・OASIS入門"的な楽曲だ。ちなみに、この"Wonderwall(不思議の壁)"というおとぎ話の一節のような語感のタイトルは実は造語で、THE BEATLESのギタリスト George Harrisonが手掛けた、1960年代のサイケデリック映画"Wonderwall"のサウンドトラックに、インスパイアされたものらしい。"OASISは現代のTHE BEATLESだ"と評するロック・ファンも多いが、Gallagher兄弟がTHE BEATLESを敬愛していており、音楽的にも影響を受けていることを考えると、まさに彼等こそ世界に愛される大衆的ロックの象徴、THE BEATLESの正当な後継者と言っていいだろう。
Oasis - Wonderwall (Official Video)
その他にも、2ndアルバム『(What's the Story) Morning Glory?』とKnebworthでの成功を受けて、多大なプレッシャーのなかリリースされた3rdアルバム『Be Here Now』(1997年)や、解散前最後のアルバムである『Dig Out Your Soul』(2008年)等、全7枚のスタジオ・アルバムからの楽曲を網羅。個人的には特に、一時期Noel自身があまり気に入っておらず、ライヴのセットリストにもなかなか入らなかった『Be Here Now』収録曲も、実は粒揃いで最高なので推していきたい。バンドの創設メンバーでもあったPaul 'Bonehead' Arthurs(Gt)とPaul 'Guigsy' McGuigan(Ba)が抜けて、メンバー編成の変わった後期のアルバムも、6thアルバム『Don't Believe the Truth』(2005年)収録の「Lyla」等、王道なライヴ・アンセムとなる楽曲があり、約15年常にロック・シーンを牽引するトップ・バンドとして君臨し続けた彼等の、安定した創造性に感動させられる。
Oasis - Lyla (Official Video)
そしてこの夏、ついにそんな名曲の数々が再結成ツアーで再び華開くのだ。日本では10月に開催されるこのツアーのラインナップは、Gallagher兄弟のほか、オリジナル・メンバーであるBoneheadの復帰も報じられ、ファンを歓喜させている。それからOASIS解散後もNoelやLiamと共に活動していた、お馴染みのメンバー Gem Archer (Gt) とAndy Bell(Ba)ももちろん参加。さらに、Thom Yorke等とATOMS FOR PEACEとして活動していたJoey Waronkerが、ドラマーとしてツアー・メンバーに加わる予定とのこと。まさに盤石の布陣。
あとは本当に本当に、何事もなくツアーが実現してくれれば......。頼みますよ、Gallagher兄弟。相変わらず口は悪いけれど(笑)、昔と比べるとだいぶ丸くなっているようだし、しばらくは兄弟仲良くバンドの再スタートを楽しんでほしい。そして、素晴らしいライヴをファンに届けて、気分が乗ったら新曲も、視野に入れてくれたら嬉しく思う。OASISには、もうすでに一度や二度のライヴで披露しきれないくらいのヒット曲があるが、なんとなく彼等には、ベスト盤のプレイリストを披露するだけのセミリタイア・バンドにはなってほしくない。いつまでもちょっと尖っていて、常に最前線で現役バリバリの無骨なロック・スター然としていてほしいのだ。
RELEASE INFORMATION
OASIS
BEST ALBUM
『Time Flies...1994-2009』
2025.06.13 ON SALE
SICP6695~6/¥4,000(税込)
[Sony Music Japan International]
・3面7インチ紙ジャケット仕様
・歌詞・対訳付:全曲いしわたり淳治氏による新訳
・歴代ロゴ・ステッカーシート封入
・新規ライナーノーツ
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