Japanese
INF
2025年04月号掲載
インタビュー/文:三宅正一/Shoichi Miyake
INFのネーム・カードとなる"エレクトロ・アシッド・ファンク"が完成したアルバム
INF(読み:アイ・エヌ・エフ/INTERNATIONAL FUCKING AWSOME="世界的にクソヤバい"の略)という謎多きというか、ほとんど謎しかない音楽プロジェクトが、昨年8月リリースのデジタル・シングル「DAWN」を契機に始動した。その後、9月に「GETDOWN LIL' DEVIL」、10月に「Hot!!!!!!!!」、11月に「CATCH THE MONEY」、12月に「HELL BABY」と連続でデジタル・シングルを切ってきた彼等が、この2025年3月26日に1stデジタル・アルバム『DAHONDA』をリリースした。第1形態であるというメンバーは、本プロジェクトの首謀者であるFを含めた3名。全員がフルフェイスの黒いヘルメットを被っている。プロフィールには"「音楽がない」という廃退した多次元宇宙(マルチ・バース)から来たと説明する謎のミュージシャン。この次元の未来のために多幸感溢れるダンス・ミュージックを残すべく『INF』という音楽プロジェクトを西暦2024年に立ち上げ、Tokyoに拠点を置き活動開始"とある。さらに、本稿の執筆にあたりメール・インタビューに応えてくれたFは、バックグラウンドの詳細(?)をこのように語ってくれた。
DAWN / INF(Official Music Video)
F:もともと我々が住んでいた世界では音楽が音楽として消費されることのない閉ざされた空間が永遠に広がっていました。2024年8月、多種多様且つ豊かな音楽が耕されたこの次元をついにハックし、日本の東京を拠点に活動を開始しました。現メンバーは"F"を中心に"NAIL"、そして"IVE"。この大三角形がシンセサイザー、シーケンサー、ドラム・マシンなどのアナログ・マシンを駆使し、ノンPCのヒューマン制御にて空間を創造します。
読者の気持ちは、分かる。その背景からして強めのツッコミを入れたくなるし、アルバム・タイトル"DAHONDA"の読みが、もし志村けんのオチの合図であるあのフレーズと同音であるならば、彼等はそれを求めているのかもしれない。いや、しかしである。本作『DAHONDA』を聴けば、彼等がいかに本気で──そしてフロア・ライクなダンス・ミュージックをクリエイトする音楽的な方法論においては、"ノンPC"、つまり"実機至上主義"という部分も含めてかなり硬派なやり方で──人間が音楽で踊るという行動原理を、本質的且つ革新的に突き詰めようとしていることが分かる。
テクノとハウスを基軸に、サウンド・デザインのテクスチャ全体は、明らかにブラック・ミュージックへの深い造詣と偏愛を感じさせる、ファンクネスが覆っている。あるいは、ネイティヴなラップのスキルの片鱗や、この星で育まれたストリート・カルチャーに対する膨大な知識量も窺える。90年代後半から00年代前半に鳴っていたビッグ・ビートにも通じるような、高揚感に富んだ1曲目「ONE」を皮切りに、Derrick May的なデトロイト・テクノとスペース・オペラ的な世界が融合したようなラストの「CHECK」まで、どの曲もストイックに、ダンス・ミュージックに必須の肉体への訴求力と機能性を見極めていることが伝わってくるが、こすってもこすっても剥がれ落ちない粘度を纏った不可思議なポップネスをも帯びている。いや、これは、もしかしたらもしかするかも。ひょっとしたらひょっとするかも。そんな、漠然とはしているけれど、なぜかドでかい期待を覚えさせる音が鳴り響いているのである。INFが独創的にダンス・ミュージックを追求する熱源、そして『DAHONDA』に込めたコンセプトについて問うと、Fはこのように返してくれた。
F:人間が備える六感というのものは進化の中で生まれた奇跡です。感情の種類の中でも私は特に"多幸感/Joy"にヒントを見いだしました。規則的/連続的に繰り返される各セクションのルーティンが積み重なるダンス・ミュージックのコアには、この"多幸感/Joy"が基盤として敷かれていると考えました。身体の一部が自然と動き出す音楽の超エネルギーの探究心こそが、創作マインドの源となっています。コンセプトはただ1つ。"エレクトロ・アシッド・ファンク"です。これからのINFのネーム・カードとなる『DAHONDA』は、この"エレクトロ・アシッド・ファンク"が完成したアルバムなんですよ。去年8月から連続で発表した5作品も趣向を凝らした素晴らしい内容ですが、このアルバムでようやく境地に辿り着いた感覚です。INF式2025ファンクネスが大いに詰まっています。
こうなると、どのようなスタイルでライヴ・パフォーマンスを見せてくれるのか、気になる。
F:INFではステージ・プロットのことをコックピットと称します。複雑な役割分担とスウィッチング、キーボード/シンセサイザーやドラム・パッド、ヴォーカリゼーションの実演を折り重ね、そこにエクスペリメンタルなアドリブが走ります。DJワーク的アプローチではなく、実機を駆使した生演奏という内容です。ヴィンテージ機材のみというこだわりはなく、最新機種〜マニアックな機材も多く使用しています。
そして、やはりと言うべきか、ヘルメットを通して見据えるヴィジョンは、日本のみならず、海外にも向かっている。
F:国内外の名だたるフェスティバルで実演したいです。ダンス・ミュージックというジャンルの特性はありますが、ライヴハウス・シーンとクラブ・シーンを行き来できる存在になりたいです。楽曲ストックも多くあるので、音源も余すことなくドロップしてゆきます。INFのフル編成のライヴはもちろんのこと、テクノを主軸にノン・ヴォーカルでパフォーマンスするF's TECHNO WORKや、INF DJセットでのブッキングもお待ちしております。Hello, world. 初めまして、INFです。ヘルメット集団によるダンス・ミュージックをお楽しみください。
こうなったらもう、とことんINFに踊らせてもらおうじゃないか。そう思わせる求心力が、INFの1stデジタル・アルバム『DAHONDA』には、ある。
【INF】2025.3.26 (WED) 1ST ALBUM『DAHONDA』TRAILER
1st DIGITAL ALBUM
『DAHONDA』
NOPA-6672
[HEROIC LINE]
NOW ON SALE
1. ONE
2. FOREVER|TEENAGER
3. GROOVE BOY
4. FLYDAY NIGHT
5. AH!
6. CATCH THE MONEY
7. ASHWILDERS
8. THE CHOCOLATE MAN
9. TALKIN WALKIN SMOKIN
10. CHECK
『DAHONDA』に3名のライターが迫るディスク・レビュー
Writer:高橋 美穂
無機質なヴィジュアルで、肉体性を感じるダンス・ミュージックを生み出す――まずはそのギャップが気になる。コンダクターの"F"は国籍も年齢も謎、メンバーの"I"(IVE:女性)、"N"(NAIL:男性)も素性は不明というミステリアスな3人が、ファンクをルーツとした開けた演奏で魅せているのも面白い。さらにライヴでは、エレクトロなジャンル感を貫きつつ、PCを使わずに、アナログ・マシンとヴォーカルを駆使したパフォーマンスをしているというのだから、見事な徹底ぶりだ。情報をすっ飛ばして踊らせる。でも、そこには情報では操作できない技術や知性が宿っているという、存在そのものが時代へのメッセージのようなINFの第一歩となる作品。
Writer:山本 真由
正体を明かさない謎に包まれたアーティストということで、その出自や音楽的背景は分からないが、本作から感じられるのは、ダンス・ミュージックに対する並々ならぬこだわりとその造詣の深さだ。テクノ・ポップやフレンチ・ハウス等、いわゆるEDMが爆発的にヒットする前の古典的なディスコ・サウンドをベースとした、渋めなダンス・ミュージックという印象で、土台と骨組みがしっかりとしたサウンドが心地よい。また、日本語も交えた歌詞を用いつつ、ビートに溶け込む歌の主張は激しくなく、無国籍で不思議な雰囲気を作り出している。どこか懐かしいのに未来的なレトロ・フューチャー感と、人類の共通言語とも言える根源的なビートに踊り出したくなる衝動をかき立てられる作品。
Writer:山本 剛久之
真っ黒なヘルメットを被ったヴィジュアル、ハウスやテクノ、エレクトロといったダンス・ミュージックに傾倒した音楽性からは、自然とDAFT PUNKを想起させられる。四つ打ちを基調としたミニマル・フレーズの反復に重なるアナログ・マシンが華やかさを彩る本作。他の惑星に連れ去られるような、トランシーなシーケンスに包まれた「ONE」の高揚感に身を委ねたら最後、フロア・ライクで軽快なアップビートに乗った僕等は徐々に開放感に満ちていく。JAMIROQUAIを彷彿とさせるファンク要素が詰め込まれた、「TALKIN' WALKIN' SMOKIN'」のヴァイブスも明るく心地よい。まるで20世紀末のクラブ・シーンを再燃させるような、時代や世代を超えて夢中で踊らせてくれる音楽。彼等がそんな音楽で見せてくれる景色は、僕等の未来かもしれない。
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