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神谷志龍

 

神谷志龍

令和元年に始動したシンガー・ソングライター、神谷志龍。楽曲の総再生数は300万超えで、ウォルピスカーターやSou、halcaらへの楽曲提供/編曲でも注目を集める彼が、昨年11月に配信限定で発表した1stアルバム『GHOST AID』を、このたび3月23日にCDとして待望のリリース。"心の暗い部分"を歌に昇華する"ネガティブ・モンスター"の、葛藤や切実な想いが詰まった全11曲について、神谷自身に解説してもらった。各楽曲のテーマや制作のきっかけなど詳細に語っているので、ぜひ作品を聴きながらのサブテキストとして楽しんでいただきたい。


1. 独白

この曲は、神谷志龍として初めて投稿した楽曲です。自分には「人間関係リセット癖」があるのですが、そうやって他人を淘汰し続けた結果、一人ぼっちになってしまったという楽曲です。孤独は怖いです。人間が苦手ですが、それでも一生孤独なのは絶対イヤです。だからそれを踏まえた上で、他人を大切にできればなあと自分の中で転換期となった楽曲です。


2. 嘘ツキノウタ

人間誰しも嘘をついたことはあると思います。僕は人間関係がとても苦手で得意じゃなくて、他人と接するときにどうしても本音を隠してしまうことが多々あります。そういった本音を隠すことで特に何かを得られるわけでもなく、むしろ失うことのほうが多いのに、なんで嘘をついてしまうのだろうと自問自答をしている曲です。


3. 蓄積する毒

生活している上で、どうしても溜まり溜まった毒というのが存在すると思います。そういった思いの捌け口を見つけられずに、悶々としている状況を嘆いた楽曲です。そういう苛立った状況の中で僕がすることといえば、まず寝ることです。寝て明日の自分に、数時間後の自分に責任の所在を持ち越します。とにかく現状から逃げたい、そういったダメ人間の楽曲です。


4. 正気じゃいられない

昔のことを思い出して、よく「あの頃に戻れたらなぁ」と思うことがあります。それで本気でタイムリープについて研究をしていた時期があります。その時のことを歌った楽曲です。昔よく遊んだ団地や、よく飛び越えた水たまり、母親の声や夕方のチャイム、そういったノスタルジーに思いを馳せた楽曲です。


5. 不安天来

自分は、生きていく上で、とにかく過剰なほど不安と焦燥に襲われます。他人からしたら瑣末事だと思うようなことで本気で落ち込んだり、悩んだりします。そういった不安と焦燥から俺を解き放ってくれよという願いを込めた楽曲です。心配性過ぎて、日常生活に支障をきたしています。


6. borderline

自分は、とにかく失うのが怖いです。他人に捨てられるんじゃないか、愛想を尽かされるんじゃないか、見捨てられるんじゃないかという強い不安とともに生きています。borderline という単語には「境界線」という意味合いがあります。他人に捨てられても自己を保っていられるように自己と他者の境界線を強く線引いています。結果、他人に捨てられることはなくなっても誰かと親しくなることができなくなりました。予防線とも言えるその境界線が果てしなく高い壁になってしまって、他者の心に踏み入ることができなくなりました。そんな自分を憂いた曲です。


7. 悪党

自分を守るためについた嘘、他人と関わり合いにならないためについた嘘、そういった嘘を重ねに重ねて気がつけば自分は善人から程遠い人間になっていました。ですがそもそも、現代社会における善悪の境界線ってなんなんでしょうか。その人にとって都合の良い事柄を「善」、その人にとって都合の悪いことを「悪」と定義してるように思えて、結局他人ありきでものさしが変化するんだと気づいた楽曲です。


8. 空っぽに満ちた獣

僕はとにかく人生が空虚に思えて仕方ないです。常に虚しさ、空虚さを感じています。穴の空いたコップに水を注いでるような、暗闇に包まれた大きな空洞で一人ぼっちでいるような、そんなイメージが付きまとうのです。自分という人間には多くの欠落があります。それを抱えた上でどう生きていくかが「人生」というものだと頭では理解していますが、誰からも愛されない、誰にも必要とされない、事実かどうかは置いておいて、そう思ってしまう自分が虚しく思えて仕方ないのです。


9. 楽園へ

人間の善悪の定義について自分の見解を上述しましたが、それと同じで「天国」と「地獄」について考えることが多々あります。自分にとってとても過ごしやすい、住心地がいい、そういった場所を楽園とするなら、そしてそんな世界が存在するなら、そこへ連れて行ってくれよという、なんとも自分勝手な楽曲です。恐らく、楽園なんてのは存在しなくて、現状という名の奈落をどうやって生きていくかが人生において重要なんだと思います。頭ではわかってるけれど、そんなポテンシャルと余裕がないのが辛いです。


10. ネガティブマシーン

ここまでセルフライナーノーツを書いてわかるように、自分はとてつもなくネガティブです。ネガティブさを優劣の条件に据えた世界があるとするなら、自分は世界中の誰よりも優秀だと思います。それだけ自他ともに認めるネガティブ人間です。そんな自分が今もこうやって生きているのが奇跡すぎて、それに感動して作った曲です。


11. 美しき無常

盛者必衰というのはこの世の一つの理だと思います。生物すべて、死に向かって生きていきます。生まれたその瞬間から、死へ向かうことが約束されています。しかし死へ向かう過程で、家族を愛し、友愛を育み、思い悩み、明日を生きるため今日を乗り越えんとします。どうせ生物みんな死んでしまうのに、死んだらすべて無に還るというのに、色んなものを育もうとします。そういった損得勘定ではない行動理念がとても美しいと思って作った楽曲です。


現代社会を憂いながらも、そこで生きていかなければならない。いや、"それでも生きていたい"という願いを捨てきれはしない。そんな不器用な生き方を、神谷自身の心の内を曝け出すことで肯定する本作。胸に抱えたもやもやとした想いを、無理に光にしなくてもいい。聴き終えたときにはそんな気持ちもあっていいんだと認められるような、聴き手と同じ目線に立ち寄り添う彼の楽曲たち。そのダークで繊細な世界観により深く浸ってみてはいかがだろうか。



▼リリース情報
神谷志龍
1stアルバム
『GHOST AID』
kamiyashiryu_album.jpg
配信:NOW ON SALE
CD:2022.03.23 ON SALE
SLRL-10086/¥2,750(税込)
TOWER RECORDS
[Shiryu Kamiya]
※7インチ・サイズ デカ紙ジャケット 両面8P仕様
※TOWER RECORDS、ECサイト"ROCKET-EXPRESS"限定

■豪華盤
ga.jpg
ロンT(サイズ:M/L/XL)/ステッカー
特典:神谷楽曲紙袋 ※デザイン後日公開

1. 独白
2. 嘘ツキノウタ
3. 蓄積する毒
4. 正気じゃいられない
5. 不安天来
6. borderline
7. 悪党
8. 空っぽに満ちた獣
9. 楽園へ
10. ネガティブマシーン
11. 美しき無常

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