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DISC REVIEW

Overseas

2018年10月号掲載

Give Out But Don't Give Up  - The Original Memphis Recordings

1993年当時、自分がAlan McGee(バンドの所属レーベル"Creation Records"のボス)じゃなくても、この失われたメンフィスの名門スタジオ録音の音源にGOは出さなかっただろう。なんというか、手練れのアメリカン・ルーツ・ミュージシャンの演奏と、妙にお金がかかった印象のクリアな仕上がりは、アメリカ南部サウンドをテーマに据えた面白さや試行錯誤は垣間見えるが、音像に彼ららしさが窺えない。そこから四半世紀。オリジナルが存在し、歳月が過ぎたからこそ「Rocks」や「Jailbird」のアレンジやミックスを聴き比べる面白さがある。ただ、当時Bobby Gillespie(Vo)が心酔していたマッスル・ショールズのサウンドやゴスペルを、今聴くことは無意味じゃない。もちろん、アーカイヴとして貴重な2枚組だ。(石角 友香)