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LIVE REPORT

Japanese

Another Diary

2025.12.30 @下北沢シャングリラ

Writer : 山口 哲生 Photographer:陳泓旭 Hung Hsu Chen

K-POPアイドル・グループのメンバーとして活動していたYUNA(Vo/Ba)、コスプレイヤーとして活動しているCOCO(Gt)、元ステミレイツのメンバーでモデルでもあるGOMI(Dr)の3人で結成された3ピース・ガールズ・バンド、Another Diary。2025年3月に始動し、5月に初お披露目ライヴを行った彼女たちは、そこから約半年後に全国6ヶ所を回る1stツアー"Enchanted"を実施。12月30日に行われたツアー・ファイナルの下北沢シャングリラ公演は、この1年で築き上げてきた全てと、ここからさらに広がっていくバンドの未来を見せつけるステージとなった。

この日のライヴは、3人にとって始まりの曲である「タイトル一緒のダイアリー」からスタート。フロアからオイコールが上がるなか、瑞々しいバンド・サウンドを高鳴らす3人。先に行ったインタビュー(※2025年8月号掲載)で、YUNAとCOCOはAnother Diaryを結成してからそれぞれのパート楽器を本格的に始めたと明かしていたが、そうとは思えない程に堂々としている。YUNAとCOCOがステージ前まで飛び出して音を鳴らすと、そんな2人に視線を送りながらGOMIは楽しそうにビートを刻んでいた。曲を終えると、煽り担当のCOCOが"緊張している人いるんじゃない?"と焚き付け、GOMIが"楽しむ準備はできてますか!?"とフロアを盛り上げると、YUNAは"足つっちゃってるんだけど(苦笑)"とマイペースながらも笑いを交えつつ、「My Name Is Malguem」(QWERカバー)へ。笑みを浮かべながらフロアに音を届けると、間髪いれずに怪しさを纏った「くちばし」になだれ込む。YUNAが凄まじい勢いで言葉を畳み掛けていけば、途中でCOCOがGOMIのところまで駆け寄ってキメを合わせるという、力強いパフォーマンスでも魅せていた。

この日は、9月にリリースされた1stミニ・アルバム『Enchanted』には未収録で、音源化されていない新曲も続々と披露された。ダンサブルでありながらも楽曲の持つクールな表情を、赤と青のライティングがグッと高めていた「赤い月」や、作詞を担当したYUNAがキャッチーな振付を交えながら届けた「迷子のままのラブゲーム」等、どちらもこれまで発表してきた楽曲たちとは異なる表情を持っていて、Another Diaryがここからどんな音楽を世に放っていくのか楽しみになる仕上がりだった。また、新曲「シンデレラ・ビート」では、YUNAがメイン・フレーズを鍵盤で奏でる場面も。1ヶ月でキーボードがどこまで弾けるのか練習を重ねたそうで、柔らかで温かみのあるサウンドに色を添えていた。本編ラストは、「#INEEDU」。ポップ・パンク系統のエネルギッシュなサウンドで、オーディエンスの声を求めながら勢い良く駆け抜けていくこの曲もまた、彼女たちのライヴに欠かせない曲になっていくだろう。

MCでは3人共、自分たちの活動を支えてくれているファンやスタッフに感謝を述べつつ、何よりも今、バンドをしていることが楽しいというピュアな感情と衝動が迸り続けていたステージだった。中でも"自分が本当に心から好きと思える曲をやれることが嬉しい"と話していたYUNA。そんな彼女の思いは、アンコールで披露された「忘却術」の最後に、原曲通りのメロディ・ラインではなく、叫ぶように歌い、ロング・トーンを力強く放っていたところによく表れていたと思う。ラスト・ナンバーとして改めて届けられた「タイトル一緒のダイアリー」を涙で声を詰まらせながらも歌い上げるなか、COCOとGOMIもここまでの日々を噛み締めるように音を鳴らし、ツアー・ファイナルであり、Another Diaryの始まりである1年を締めくくっていた。

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