Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube

LIVE REPORT

Japanese

[LIVEHOLIC presents. "恋せよ男子2026" supported by 激ロック & Skream!]

2026.02.08 @下北沢6会場

Writer : 中尾 佳奈、藤村 太智、中島 颯士 Photographer:小野百恵

バレンタイン・デーを間近に控えた2月上旬、今季最強の寒波により朝から雪が降り積もった東京 下北沢。寒さに凍えながらも、珍しい東京の雪に少し浮足立つこの街で、サーキット・イベント[LIVEHOLIC presents. "恋せよ男子2026" supported by 激ロック & Skream!]が開催された。女性アーティストにフォーカスを当て"恋せよ男子"と銘打った下北沢LIVEHOLICの名物企画。サーキット・イベントとしては3年目の開催となるが、今年もガールズ・バンドやシンガー・ソングライター、アイドル等を中心に多種多様なアーティストが集結し、各々のスタイルで寒さを吹き飛ばす熱狂のライヴを繰り広げた。

この日がGOMI(Dr)を含む3人体制最後となるAnother Diaryを見届けるためCLUB251へ。メンバーが1人ずつ登場するとそのたびに大歓声が上がり、1曲目「#INEEDU」からオーディエンスの掛け声はバッチリ。YUNA(Vo/Ba)はチャーミングに魅せ、COCO(Gt)が声出しを煽ると"オイ! オイ!"コールもさらに熱が入る。ポップな楽曲から一転クールでスリリングな「くちばし」ではキレッキレのドラムが炸裂し、最後の「忘却術」でも力強いドラム・プレイが躍動。そんなGOMIの勇姿、そしてこれからも2人で続けていくというバンドの未来へ向けて、惜しみない拍手が送られた。

続いては、"ブラス・ロック"を掲げる管楽器4人組ガールズ・グループ MOSのステージ。"Music Omotenashi Sisters"の名の通り、言語の壁を取っ払うパワフル且つハッピーなブラス・サウンド、ダイナミックなパフォーマンスはホスピタリティに溢れ、外国人のオーディエンスをも躍らせている。スカ・ロック・チューン「Everybody's Crazy about the Game」ではソロのたびに歓声が上がり、パンク・ロックなトラックに乗せた「CLOVER」から「Just another day」や「Shadow Ace」ではシンガロングも多く盛り込まれ、拳を掲げさらに活気付くフロア。生楽器の迫力と観客の声が合わさりエネルギーが増幅する、ライヴハウスの新たな姿を目撃した。

うたたねzzzのステージは「スーパージャンキーエンペラーホリデー」からスタート。メンバーそれぞれがインフルエンサーやタレントとしても活動している4人組だが、彼女たちの華に負けず劣らずカラフルなサウンドの威勢の良さはオープナーにもってこいだ。彼女たちの個性は、1曲の中で4人全員が代わる代わるヴォーカルを担うというスタイル。その強みは「夢色コンパス」において顕著だったが、Aメロだけ取っても、1番と2番ではヴォーカルの色調が異なるため、4人の動向に意識が吸い寄せられる。実にライヴ映えするアプローチだ。そしてこのスタイルのもう1つの魅力、つまりサビで4人一斉にヴォーカルに参加することで生まれるハッピーな迫力は、ラスト「リフレインステップ」でことさらに光っていた。初々しい多幸感が充満したFlowers Loftを後にし、CLUB251へと急ぐ。

到着すると同時に、IneedSのライヴが始まる。この日が2026年初ライヴだという3人、しかしその仕上がりっぷりはとてもそうは思えぬ盤石ぶりだ。間違いなく、この日のハイライトは1周年の集大成として書かれた「I need U!!!」からのバラード「ささくれ」。「I need U!!!」では平成中後期のアニソンを連想させるキャッチーさとまっすぐなリリックでぐっと歩み寄ってみせ、続く「ささくれ」での静寂や余韻がフロアを力強く抱きしめる。ライヴの運びとして見事と言うほかない。3人もその出来栄えに自信があったのか、最後に演奏した「Endless Blue」で満足げな笑みを浮かべていたのが印象的だった。高揚感を漲らせたラスサビ(とりわけ太田雄大(Ba)の仕事ぶりが心憎い!)もお誂え向き、その魅力を余すことなく出力したステージだったと言えるだろう。

続いてCLUB251にて、「Parole」のイントロが流れるなか颯爽と登場したsajou no hanaは、その妖艶な佇まいで瞬時にステージを掌握。突き抜ける歌声は言わずもがな、その一挙一動でも観客を虜にしてしまう。ヘドバンやクラップが巻き起こった冒頭3曲を終え、ここまでの印象とは裏腹に茶目っ気のあるMCでは、コートジボワールでのライヴ帰りで、帰国して間もないことを報告。彼の地で日本人がライヴをするのは史上初とのことで、どこか誇らしげな様子だ。そしてこの事実を改めて噛み締めたことが功を奏したのか、続く「コバルト」や「極夜」ではさらにパフォーマンスのボルテージが上がる。観客一人一人を見つめるようなステージングから、このブロックではより射程を広げ、カリスマチックな存在感を放っていた。

近松のトリに、スパンコールが煌めくトップスを身に着けたARISA(Vo/Gt)が率いるロック・バンド DOLL PARTSが登場。ねぶるような大人な表情で「金曜日のベッド」、「That's enough!」を披露し徐々に会場のボルテージを上げていく。Courtney Love(HOLE/Vo/Gt)等に影響を受けたと過去に語る通り、パフォーマンスはよりロックに、よりパンクに加速。さらに衝動的に駆け抜けた「FAKE」はこの日の白眉だったと言える。MCでは"恋する楽曲を持ってこなきゃと思っていた"と話していたARISA。続く「Wait!!」、「My place」も重いビートに乗せどっしりと歌い上げる、"恋せよ"と言うにはあまりにもロックで胸に突き刺す楽曲だったが、これが彼女なりの恋に落とす手段だったのかもしれない。アンコールの「夢の底」では"恋をする あなただけ"と会場に愛を伝え、ステージを去った。

LIVEHOLICを揺らしたのは、LiVSの圧倒的な全力、どこまでも1対1なパフォーマンス。様々なスタイルのパフォーマンスを一日で体感できることはサーキット・イベントの醍醐味ではあるものの、その全力っぷりでひときわ強烈なインパクトを残してくれた。円陣を組み、その勢いのままステージに上がるLiVSの4人。エクストリームなトラックから直球のロックまで、多彩な楽曲のポテンシャルを最大限に引き出すのは、ひとえに彼女たちのがむしゃらさ。一切の温存を感じさせず、観ているこちらが心配になる程だが、恐るべきことにその輝きはライヴの進行と共にひたすら増幅していく。7曲目「He meets」でその熱量は最高潮に......と思いきや、クライマックス「Knew it.」でさらにもう1つギアを上げてみせたLiVS。筆者のメモに"THE BLUE HEARTSかよ"と走り書きがあったのは、決してライヴの熱にあてられたわけではないはずだ。

先述の通り、多様なアーティストが集結し、色とりどりのライヴを展開した今回のサーキット・イベント。そこに共通していたのは、愛らしさやたおやかさ、そしてタフネスといった、旧式のステレオタイプとしてのそれでは断じてない、彼女たちの内から放たれる女性らしさの輝きだ。その輝きに触発されたオーディエンスは各会場で沸騰し、その熱を受け取ってステージはますます光を強める......いざ終わってみれば、[LIVEHOLIC presents. "恋せよ男子2026" supported by 激ロック & Skream!]が巻き起こした熱狂の前には、あの大寒波ですら生ぬるい程だった。

  • 1