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LIVE REPORT

Japanese

東京初期衝動

2025.10.05 @東京キネマ倶楽部

Writer : フジジュン
©キングレコード

インディーズでの十分な活動を経て、9月にアルバム『東京初期衝動』でメジャー・デビュー。"自分たちの初期衝動は出し切った"としーな(Vo/Gt)が語り、今新たなフェーズに突入しようとしている東京初期衝動が、"みなさんッッ‼️さよなランデブゥ〜🐽‼️これガチね⁉️"と意味深なタイトルを付けたワンマン・ライヴを開催した。

この日の会場となる東京キネマ倶楽部でのワンマンは、2023年以来約2年ぶり。あの頃と比べて明らかにたくましさを増した感のあるステージ上の4人。ジャカジャーンと音を合わせて轟音を鳴らし、フロアを埋める観客がステージに押し寄せると、甘く切ない歌声で始まったOPナンバーは「Becauseあいらぶゆー」だ。

気迫さえ感じる歌と演奏で、ド頭から観客の心をガッツリ掴むと、「高円寺ブス集合」ではしーながダイブして、フロアに熱炎が上がる。さらに、あさかのたくましいベースで始まる「メンチカツ」と最新アルバムには収録していない曲が続いた。"あんまり喋りすぎると、契約違反のこと言っちゃいそう"なんて言うと、ブスだうんこだと歌う曲はここに置いてって、メジャーに行って変わっちまうのか!? 等と考えてしまったが、なおの抜けのいいドラムや、まれの乾いたギター・サウンドもカッコいい新曲「愛うぉんちゅー」で、衝動的な熱量と観客との一体感を生む姿を見て、バンドの進化や意識の変化こそあれど、根っこの部分は何も変わってないなと一安心。

「Baby Don't Cry」や「恋セヨ乙女」と、"ここまでの集大成"と語る最新アルバム収録のライヴ定番曲も多く演奏されて、フロアを大いに沸かせた中盤戦。進化や変化を特に強く感じたのは「マァルイツキ」や「中央線」といった、彼女等のピュアでセンチな面が際立つ楽曲だ。「中央線」を歌い出したしーなが"懐かしいわ"と思わず呟いたように、彼女等の現在の気持ちが込められていたこれらの曲。表現力もグッと上がった歌と演奏に景色や心境風景がより鮮明に映り、切なくエモーショナルに響く。

「春」で始まった後半戦は「STAND BY ME」の勇ましい歌と演奏に熱い手拍子が起き、まれのかき鳴らすギターからの「世界の終わりと夜明け前」でアグレッシヴなパフォーマンスを見せて、クライマックスに向けてフロアをヒートアップさせた。"残り3曲、猛烈にやらせてもらいます。皆さんどうぞご自由にお楽しみください!"としーなが告げ、始まった曲はスリリングで緊迫感のある曲調が新鮮な印象を与える「LSD」。続く「再生ボタン」で再びしーながフロアに飛び込み、強烈な一体感と最高潮の盛り上がりを生むと"ロックンロール!"と繰り返し叫び、本編ラストとなる「ロックン・ロール」へ。
激情的なサウンドで始まると、感情剥き出しのヴォーカルに観客が熱い拳と掛け声で応え、彼女等のロックンロールを体現した。変わっちまうのか!? なんて、最初に抱いた不安はもはや皆無。たとえ、バンドを始めたばかりの頃のような、言葉にならない興奮や感動は得られなかったとしても、ロックンロールを鳴らしている限り、彼女等はそれに代わる興奮や感動をいつだって抱くことができるはず。本編を終え、興奮や感動が収まらないといった感じのしーなは一人一人に届けるように投げキッスを送り、"東京キネマ倶楽部、ありがとうございました!"ととびきり大きな声で叫んだ。

東京初期衝動の最新型を見せた「さよならランデヴー」で始まったアンコールは、彼女等の初期衝動をギュッと詰め込んだ「東京初期衝動」でフィニッシュした。12月に"東京初期衝動 ツアー2025"を開催することも発表した東京初期衝動。初期衝動の向こう側へと辿り着いた、彼女等のさらなる飛躍に刮目せよ!

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