Japanese
Aki
2026年01月号掲載
Interviewer:山口 哲生
ミュージック・ビデオやジャケット写真等のクリエイティヴ・ディレクションも自ら行っているシンガー・ソングライター Aki。2022年から様々なジャンルのカバー動画をSNSに投稿し始めたところから活動をスタートさせ、1stシングルの「秘密の」は"Amazonプライム広告:アーバンジャングル"CM楽曲に大抜擢。その儚くも透明感のある歌声は多くの注目を集めた。2025年はドラマのタイアップ楽曲を始め、新たな表情を覗かせる楽曲も発表してきた彼女に、音楽を始めることになった経緯や、最新曲「これも愛としよう」について等、幅広く話を訊いた。
-AkiさんがSNSを通して音楽活動をしてみようと思ったきっかけというと?
活動をしてみようというよりは、記録みたいな感じでした。一回社会から離れたくて、誰とも喋りたくなくて、家で何をするかとなったらSNSで。その頃はTikTokに全然触れていなくて、Instagramのほうが身近だったんですけど、そっちだと知り合いがいる。そういうなかで自分の曲を上げ続けるというのは、環境的にというか、気持ち的に恥ずかしかったので、知り合いが誰も見ていないところで、気楽に、記念みたいな感じで上げてみて。その動画が1つ跳ねたら、だんだんコメントも付いて、視聴数も上がって、人の反応も見えて......という感じでしたね。
-スタート地点としては、自分のことを誰も知らないところで何かをしてみたかった。
そうです。結局残ったのが、"歌うことが好き"ということだったので。趣味はわりとあるほうなんですけど、自分の中でやりきっていないというか、まだ出てくるのが歌でしたね。
-そもそも音楽が好きになったきっかけはなんでしたか?
音楽自体は小さい頃から好きで、NHK「みんなのうた」とか、"天才てれびくん"のカバーをやるコーナーとかを真似ていたのが一番古い記憶としてあって。そこから小学生の頃に、Berryz工房と℃-uteにドハマリしました。YouTubeを漁りまくって、オーディション番組も全部観て。なので、音楽に触れ始めたのは小学生のときのハロプロ(ハロー!プロジェクト)でした。
-ハロプロのどんなところが素敵だなと思いました?
"きらりん☆レボリューション"とかがガッツリ世代なんですよ。土曜日、日曜日のアニメ枠をハロプロが担当していて。それで、℃-uteの「大きな愛でもてなして」とBerryz工房の「ギャグ100回分愛してください」を、たぶんレコードだったら擦り切れるぐらい聴いていたんですけど。
-もうひたすらに。
私はCDとかではなくYouTubeで音楽を聴き始めたので、MVを観ていたんですけど、コンセプトが印象的だったんですよね。かわいい女の子たちが着飾って表現してる。しかも振り切ってるんですよ。最初はそこにドハマりしたんだと思います。だからその頃はアイドルになりたいと思ってましたね(苦笑)。早い段階でなれないなと分かったんですけど。私ではないと思って。
-ハロプロが好きだったところから、ご自身で音楽を作ってみようとなっていったのは?
中学に上がってから、まずRADWIMPS、その次にONE OK ROCKを知って、バンドというものに触れるようになって、高校で軽音部に入ったんです。そのときはヴォーカル志望だったんですけど、流れに流されて、ベースとドラムをやって2年間を過ごしてしまって。
-それは流れに流されましたね(苦笑)。
他に誰もいなかったんですよ。それで無理やりドラム・ヴォーカルでたまに歌ったりしていたんですけど、私はメインで歌いたいんだったということに後になってから気付いて、高3からアコースティック・ギターを始めました。演奏してくれる人がいないのであれば、自分で弾きながら歌えばいいと思って。独学でコードを見ながら、中学とか高校のときに書き留めていたメモを歌詞にしたりして、なんとか形にしてました。
-歌いたいのにベースとドラムをやることになったときって、ちょっと絶望しますよね。
昔から、必要とされているところに流される癖みたいなものがあるんです。本当にわりと最近になって、流されないようにしなきゃって気付いたんですけど、昔から"遅咲きだ"って何事に対しても言われてたので、だから絶望というよりは、ドラムの枠が空いている。"やって"と言われた。やってみたら"もうちょっとレベル上げて"と言われて、じゃあ習いに行こう! みたいな。すっごい流されてますね(苦笑)。習いにまで行っていたので。
-たしかに流されているのかもしれないですけど、求められたら嬉しいし、期待に応えたいという気持ちもあるでしょうし。
そうですね。褒められて伸びるタイプでした。
-独学だったのもあって、最初に曲を作ったときは大変でしたか?
最初は趣味というか、部活内での楽しい感じだったので、本当に完全に自己満足だったんです。だから苦労したとか、悩んだりすることもほとんどなくて。多少は考えていたとは思うんですけど、本当に記憶に残らないぐらい、サラッと考えていたんだと思います。作って、歌って、いいねってちょっと言ってもらえたら嬉しいみたいな感じでした。
-社会から距離を置きたかったというお話がありましたけど、世の中との折り合いがあまり上手く付けられない感覚が強かったんでしょうか。
小学生ぐらいの頃から人とコミュニケーションは取れてはいたんですよ。でも、"誰かとペアを作ってください"とか"グループになってください"って言われたときに、本当に誰一人思い当たる人がいない。友達がいないというわけでもないんだけど、向こうから友達って言われないと私からは友達って言えないな、みたいな。そういうことを大人になるにつれてより複雑に考えるようになって。たぶんいろいろなことをマイナスなほうに考えるんですよね。それで糸が切れたというか。脳も心もシャットアウトしたかったですね。
-そこからTikTokに動画を上げ始めて、知らない人からリアクションが来たときにどんな感情がありましたか?
嬉しいっていうのは素直に思いましたね。自分のオリジナル曲を上げて反応があったときは嬉しかったし、私は認められたいっていう欲がまだあるんだなと思って。そこからちゃんと考えて曲を作り始めました。
-リアクションとして、"いい声だね"と言われることも多かったですか?
多かったんですけど、声が低いし、日常生活で褒められたことが一回もなくて。むしろ聞き取りづらいって言われたり、何を言ってるか分からないし、店員さんを呼んでも来ないし。たぶん声の周波数が本当に通らないところにあるんだろうなと思っていて。それが歌になった瞬間に褒められたので、最初は何がいいのか分からなかったんです。
-ご自身としては"あ、私の声っていいんだ?"ぐらいの認識?
もっとハテナがいっぱい付いてる感じでした。"いいのか?????"みたいな。今もどこまでいいって言ってくれるんだろうって思うところもあって。探りながらやってます。あと、ここ1年で歌声が若干低くなったんですよ、人と喋らなかったので(笑)。なので、「秘密の」(2024年リリースの1stシングル)を聴くと"若いねぇ"って。たしかに若いんです。
-低くなった理由が、人と喋らなかったからというのがまた(笑)。
話すとしても、コンビニの人か、制作のときにサウンド・プロデューサーの上口(浩平)さんとラリーするか。そのときも"ん?"とは言われるんですけど。だから、今日の話もこれに乗ってる(ICレコーダーに入ってる)のかなって。
-大丈夫です、ちゃんと反応してますので(笑)。徐々に視聴数が増えていくことによって、知り合いにバレたらどうしようと思ったりはしませんでしたか?
ある時点で、これは気にしていても意味がないなって思ったんですよね。人の目なんかどうだっていいというのは、心の中では分かっていたんですけど、TikTokに上げ始めて反応が徐々に来たときに、自分の中でちょこっと飲み込めたところがあって。もう少し広めたいなと思ってからは、自分に言い聞かせながら、まずは自分が楽しいと思う方向に行くようなことをしていましたね。
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