Japanese
UEBO
2025年12月号掲載
Interviewer:石角 友香
アコギ弾き語りによるリラクシンなサーフ・ミュージックに、ポップスやソウル、ロックやエレクトロニックな要素もミックスした"ネオ・サーフミュージック"を掲げるシンガー・ソングライター UEBO。自身のトラックメイキングや15MUS、macicoとのコラボ・ナンバー等アウトプットの幅を広げた3作目のアルバム『BitterSweet』は彼のアーティストとしての特徴が明快になった一枚だ。まずは現在のスタンスに至る経緯からインタビューを始めてみた。
-UEBOさんが"ネオ・サーフミュージック"というスタンスにたどり着いた経緯はどういうところなんですか?
それまでも音源をリリースしてたんですけど、コロナ禍で決まってるイベントが全部飛んで1回リセットされたような感覚になったんで、それまでと地続きでやるっていうよりも一区切りするいいチャンスなのかなと思ったんです。自分のルーツはアコギの弾き語りでジャカジャカやるタイプ、John MayerやJack Johnson、日本で言うと山崎まさよしさんとかなんですけど、結構いろんなものが好きなんですよ。じゃあどうしようかなとなったときに、ただサーフ・ミュージックだとくくり切れないので、その時々で自分の中でホットなもの、例えばトラックっぽいものやちょっとロックっぽいものを、コアにあるサーフ・ミュージックに肉付けすることで"ネオ・サーフミュージック"と呼ぶのがいいんじゃないか? となっていった感じですね。
-今回アルバムとしては3作目ですが、フル・アルバムにはどんな思い入れが?
1つ前の『Calendar』は、それこそコロナ禍に"ネオ・サーフミュージック"を構築するっていうので1ヶ月に1曲出していったのをコンパイルしたものだったので、アルバムを作ったというより1年の記録みたいなものだったし、その前の1枚目は(2016年リリースの『GOOD MUSIC NEVER DIE UEBO EARLY YEAR'S BEST』)前の事務所に入るまでに作ってた曲をちゃんとレコーディングする、みたいな作品だったのでこれもコンパイル作品みたいな側面が強くて。今回も既発のシングルをある程度まとめてはいるんですけど、"BitterSweet"というテーマが決まってから作った曲もあるので、そういう意味では自分の中では今回が一番アルバムとしての思い入れがありますね。
-"BitterSweet"というテーマは途中から発生したんですね。
「都合良すぎるよな」っていう曲をシンガー・ソングライターのtonun君のアレンジで作ったんですけど、もともとは弾き語りで作ったアレンジを、コードもビートも自由にアレンジしてくださいってtonun君に投げたら今の感じで返ってきて。それがすごく良くって。聴いた瞬間"「BitterSweet」っていうテーマがいいな"って思いました。その言葉でしか表せないようなトラックだったので、そこから膨らんでいった感じがあるかもしれないですね。
-トラック・サウンドなんだけど、歌とギターが際立つ曲ですね。
tonun君に頼んだ甲斐があったなと。さっきアコースティック・ギターの弾き語りと言ったけど、エレキも大好きでライヴではよく弾くんです。なのでtonun君が考えてくれたフレーズを僕がまた弾き直したところもあったりして、やり取りを重ねながら作っていきましたね。
-この曲で特に思ったんですけど、UEBOさんのヴォーカルの温度感は歌い上げすぎるわけでもなくてすごくいいですね。ヴォーカリストとしての影響はどんなアーティストから受けていますか?
John Mayerはトータルに影響を受けていますけど、もともとは久保田利伸さんとか秦 基博さんみたいなところもありつつ、最近はもうちょっと力を抜くようにしてて。そういうスタイルに関しては最近のアーティストから影響を受けていることが多いかもしれないですね。例えばJeremy ZuckerやLaufeyっていうアーティストだったり、最近はちょっとジャズっぽい抜くニュアンスだったりを意識的に取り入れてます。だからその都度アップデートしつつという感じでしょうか。
-アルバムのオープナーを「今夜」にした理由は?
これはセルフアレンジなんですけど、トップの曲とラストの曲をアルバム制作の最後に作ったんです。だから明確にオープナーとして作った曲ですね。ライヴに来るときこれ聴いてきてほしいな、みたいな、"嫌なことたくさんあるけど、マジで楽しみにしてるライヴだから今日だけは譲れませんよ"という内容にしたくて、「今夜」をオープナーにしました。最後の「Days」も、ライヴの終わりともリンクさせられるように曲調やリリックを意図して作ったところはありますね。全体が一日に寄り添うように意識もしました。
-アルバムの中の流れとして、この辺が特に好きっていうのはありますか?
どの曲を単曲で聴いても気持ちいいと思うんですけど、意外と10曲全部聴いても39分とかなんでツルッと聴ける長さだし、一日のタイミングに合わせて聴いてもらうのも面白いかもしれない。出掛けるタイミングで「今夜」を聴いてもいいし、「今、アルバムで言うと何時ぐらいだから2曲目ぐらいかな」みたいな選び方にしてもらってもいいし、疲れた帰り道にいきなりラストの「Days」から聴いてもいいし。どこを切り取っていただいてもいいものができたんじゃないかなと思っております。
-一日に寄り添うという意味で言うと、日常の中でどういう状況が曲を作りやすいですか?
もう最近は"作る!"つって作るっていう感じですね。あんまり"浮かぶ"って感じじゃないかも。僕はテーマとモチーフがあるとわりと早いんですよ。ラヴ・ソングでもなんでも、例えば人生応援歌っていうのがテーマだとして、モチーフはエスプレッソとか環状線とか走馬燈とかのワンアイテム、1つのもの/こと/感情だったりが上手く組み合わさると一瞬で出てくるんですよ。だから悩んで出てこないときっていうのは、どっちかが欠けてたり取り合わせが悪いときなんですよね。土台作りが悪いとパッと出てこない。作りやすい状況だとお風呂の中とかってよく言いますけど、僕は散歩中かもしれないです。歌詞とか特にそうですね。ワンコーラス作って2コーラス目どうしようかなっていうときに口ずさみながらブラブラすると、意外と出てくるみたいなことはあるかも。
-なるほど。純粋にいい曲だなと思ったのが「Juvenile」なんですけど、この曲はどういう発想で出てきたんですか?
これは自分にとってのギターについて、というか。本当に趣味として、エレキ・ギターを見るのも弾くのも大好きなんです。John Mayerの心の師匠でもあるStevie Ray Vaughanだったり、Eric Claptonやジミヘン(Jimi Hendrix)みたいな、いわゆるブルース・ロック的なギターが一番好みで。今そういう音楽をやってるわけじゃないけど、そういう音楽のフレーズを弾くのは高校生から今までずっと子どものようにやっているんです。そういう、ジジイになってもやってるんだ、俺はそれが好きなんだっていうのが、アーティストとしてサクセスしたいみたいなこととは全く別軸として自分の人生にあるよなってことを歌いたいなと思ったんですよね。で、そこと聴いてくれてる人の人生が交差するとなると、どういうところかなって。
-歌詞そのものは、ちょっと疲れちゃってる友だちに声を掛けるような感じですね。
うんうん。そういうニュアンスが近いかもしれない。
-でも自分のことでもあったりする?
この曲に関しては、基本的には僕自身のことでしかないですね。"君"とは言ってますから呼び掛けてもいるんですけど、そこの温度感の調整はすごく気を使いました。"こうしなよ!"みたいには絶対聴こえないようにしたかったというか、そんなこと言える立場でもないですし。サビで開放感を出すために"君"っていう言葉を使ってるけど、基本的には自分ごととして書いてますね。
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