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INTERVIEW

Japanese

T.N.T

2026年01月号掲載

T.N.T

Member:Furutatsu(Ba/Vn) Ryu.(Gt) kyohey(Dr) 手越祐也(Vo)

Interviewer:フジジュン

手越祐也、Furutatsu、kyoheyの3人で結成されたロック・バンド T.N.Tが、初のシングルCD『未来へ/I Don't Care』をリリース。2025年2月結成、4月には横浜 ぴあアリーナMMで行われた"DayDay. SUPER LIVE 2025"で初ステージと、華々しいデビューを飾ったT.N.T。最新シングル曲はどちらも大型タイアップが付き、12月22日には新メンバーのRyu.加入と、結成1年目から快進撃を見せた彼等に、結成から現在に至る経緯、個性豊かなメンバーについて。そして、最新シングルに込めた想いを訊く。

-2025年2月に結成を発表したT.N.T。今年は数々のフェスやイベントに出演して、新メンバーも加わって、1年目から絶好調ですが。2025年を振り返っていかがですか?

手越:1年目から大きな会場でのライヴにたくさん出演させていただいて、今回リリースした『未来へ/I Don't Care』で両方ともタイアップをいただいて。ここまで恵まれた環境で1年目を迎えられるロック・バンドって、なかなかいないと思います。僕自身がもう20年以上芸能でいろんなお仕事させてもらっているからこそ、タイアップが当たり前のことじゃないっていうのをよく知っているので。周りの方のサポートにすごく感謝していますし、素晴らしいスタートが切れたんじゃないか? と思っています。

-バンドとしても、活動していくなかでの成長を感じていますか?

手越:Furutatsuとkyoheyはもともと別のプロジェクトにいたり、新メンバーのRyu.も自分のバンドをやっていたりして。バンドとしてのステージ上での立ち振る舞いとか、演奏の実力だけじゃないものが必要になってくることも理解しているし。自分たちのステージを見返すたびに、バンドとしても、それぞれの個性にしてもステージのオーラにしても、いい経験を積めてきているなっていうのを自分自身は感じています。

-大きなステージでデビューして、音源ができて、数々のステージでしっかり揉まれて、4人目のメンバーが加わってと、順調に階段を登っていっていますよね。

手越:でも、これが当たり前じゃないとも思っています。手越祐也はソロ活動もやっているんですけど、2020年に独立してから5年間、タイアップなんてなかったですからね。どっちも手越がやっていますけど、"T.N.T、いいなぁ!"って思いますよ(笑)。それでもコツコツやっていたら結果は出ますけど、いい楽曲があってそれを歌っても、リーチするプラスアルファのパワーがないとなかなか広がっていかないっていうのはありますし。そういう意味では、今回の機会はめちゃくちゃありがたいと思っています。

-取材にあたって、3人で作った『ZERO』(2025年9月にリミックスして再リリースしたEP)も聴かせてもらったんですけど、それぞれのキャリアやスキルがあった上で想いを1つにして結成されたバンドだから、初音源の段階でもはや完成形に近いプロトタイプができあがっているなと思いました。結成1年目弱でここまで前に進めてきたのって、恵まれた環境もあるけれど、それを活かす力がちゃんとあったからという気もします。初音源も形になっていくのが早かったんじゃないですか?

手越:そうですね、誰のチェックもいらないですから。何かするときに"ちょっと確認します"っていうのが一番嫌いで、"すぐ答え出せよ"と思っちゃうんです(笑)。大人の1時間や1日ってどうでもいいかもしれないけど、俺等には今しかないから。今この熱いものを届けたいって気持ちがあるから、生のバンド、ライヴってものがこだわりとしてあるわけで。EPもそうで、最初は"間に合わない"って言われたんだけど、"いや、間に合わないとかないんだよ"、"間に合わないって選択肢はないから、間に合わせるんだよ!"って。"レコーディングしてまとめりゃ出せるんだから、間に合わないとか言ってないでやろうよ。ちゃんといいもの作るから、頼むよ!"みたいな。

-わはは(笑)。今の話を聞いて、手越さんが思った通りの人だったので嬉しかったです、気持ちいいです(笑)。kyoheyさんは2025年を振り返ってみて、いかがですか?

kyohey:自分が音楽を始めたときに描いたスタートラインに、やっと立てた気がしていて。本当にやりたかったことに向かう第一歩が、今年(取材日は2025年12月上旬)1年の活動だったんじゃないかって思っています。特に印象的だったのは、やっぱり初ステージ("DayDay. SUPER LIVE 2025")ですね。ライヴが終わったときのやり切った感がすごくて。本当に始まったばかりなんですけど、"やって良かった! 手越君と「T.N.Tやりたいです」って言って良かった!!"って思った瞬間でした。
その前に4月頭に初EP『ZERO」をリリースすることになったんですけど、全然時間がないなかで"せっかくライヴやるなら、ミニ・アルバムくらい出そうよ"っていう手越君の一声で、"やるしかねぇ"って(笑)。"無理でしょう"って言うのは簡単なんですけど、そこに向けて一丸となって進んでいくことが楽しくて僕は音楽やっているので。それをたくさんの人の前で披露させてもらって、俺たちの音楽を見せて、お客さんがしっかり受け取ってくれて、そんな幸せなことないなと思った瞬間が、デビュー・ライヴだったんです。

-そういう意味でも自分のやりたかったこと、やるべきことが見えた瞬間だったと。

kyohey:見えました。その後もライヴを重ねるごとに、バンド感が強くなっていくのが分かって。僕たちって、例えば学生時代から"バンドやろうぜ"って集まったバンドではないじゃないですか。もともと参加していたプロジェクトがあって、その中から独立してできたバンドなので、生い立ちもデビューの環境もちょっと特殊だと思うんです。そのなかでいろんなフェスで揉まれたり、自分たちを磨いていくなかで、T.N.Tというバンドが仕上がっていっている実感があった年でした。ウォームアップじゃないですけど、今年の活動を経て、来年に控えたツアーにバンドをいい状態で持っていけたなと思っています。

-Furutatsuさんは2025年を振り返っていかがですか?

Furutatsu:激動の1年ではもちろんあったんですが、僕はとにかく幸せで楽しかったなと思っていて。いろんなステージやタイアップを用意していただいたし、そのためにスタッフさんが奔走しているのも見ているので。そしてなにより、ライヴをやってお客さんが喜んでいる姿とか泣いている姿を見て、"僕たちの音楽って、お客さんの心にちゃんと届いてるんだな"って実感できたのが嬉しかったですね。それが自分たちの自信にもなったし、原動力にもなって。新曲を書くときも、誰のために書くか? なんのために書くか? っていうのをすごく意識するようになりました。

-そして、新メンバーのRyu.さんですが、6月の"八王子魂Festival&Carnival2025"からサポートとして参加していました。ここまで一緒に活動していくなかで、このバンドに感じたことはいかがですか?

Ryu.:"八王子(魂Festival&Carnival2025)"のときから思ってたんですけど、音を聴いただけでどんな人か分かるくらいメンバーの個性が強くて。例えばkyohey君のドラムを聴いたら、目立ちたがりなだけじゃない、自分の芯がカチッとある人だなとか。手越さんの歌を聴くとすごい貫いてくる感覚があったり、Furutatsu君の"支えてやろう"という気概が根底にあったり、聴いててすごく面白かったんです。最初お話をいただいたときはびっくりが勝ってド緊張しちゃったんですけど、終わってみるとすごく楽しかったから"またやりたい、もっともっとやりたい"って気持ちがガンガン出てきて。その後ありがたいことに2本、3本とお手伝いさせていただきました。でも僕から"入れてください!"って言うわけにはいかないので、加入のきっかけは自分からアプローチしてという感じではなかったんですけど。

kyohey:"入れてください"とは言わなかったですけど、"入りたい"って気持ちはひしひしと伝わっていました。"僕等と同じくらい、T.N.Tのこと思ってくれてんじゃん!"っていうのをすごく感じたし、こう見えてすげぇ熱い心を持ってて。僕とFurutatsu君と3人で飲みに行く機会があったんですけど、"今ギターを探しているんだけど、ちなみにRyu.君はT.N.Tやりたい?"ってちらっと聞いたら、"そんなのやりたいに決まってんじゃん!"ってすごい食いついてきて。まだやるって決まったわけじゃないのに、"俺の人生賭けてやりたい!"くらいの勢いで(笑)。それがプレイにも出ていて、やっぱりいいギター弾いてくれるし、誰よりも熱い想いを持っているやつだったんで。それが加入のきっかけになったんだと思います。

-話を聞いていても、T.N.Tへの愛や思いが伝わってきます。すごくいいメンバーに恵まれたと思いますし、気持ちも新たに前に進めそうですね。メンバーの個性というところでは、みんなが作詞や曲作りができたり、Furutatsuさんはヴァイオリンも弾けるんですよね?

Furutatsu:はい。ライヴだと毎回、ベースからヴァイオリンに持ち替えてやらせていただいてます。やっぱりお客さんもアガってくれるし、メンバーからも好評なので嬉しいですね。

-曲作りってところでは、この個性的なメンバーだからこそ生まれてくる発想やそれぞれの魅力を活かした作り方をしているんですか?

kyohey:僕の場合はそんなことを考えるまでもなく、楽曲が浮かんでくるんです。実は今、ツアーに向けて新曲を作っていっているんですけど、この4人でどんな音楽がやりたいか? って考えたとき、インスピレーションがどんどん湧いてくるんです。それは普段のライヴだったりリハーサルだったりで一緒に過ごすなかで、メンバーそれぞれがくれる刺激や形にしたいなと思ったものを曲に落とし込めているからだと思います。僕は作家さんみたいな作り方ができなくて、そのときの感情や想いを曲に乗せたいし、歌詞にそれを反映したいと思っちゃうタイプなので、今僕が曲を書けているのは、僕を刺激してくれるメンバーがいるからなんですよね。

-1人でやっていたら、絶対に生まれなかったであろう楽曲が作れていると。

kyohey:はい。今T.N.Tでやっている曲もこれからやるであろう曲も、T.N.Tがなかったらたぶんできていない曲で。僕にとってのメンバーは、それくらい個性豊かで大切な存在だし、刺激を与えてくれる仲間でもあり、ステージの上ではライバルでもあり、みたいな感じなんです。みんなを引っ張っていってくれる存在で、フロントでドシっと構えて歌ってくれる手越君がいて、"俺は一生ついて行くっす"みたいな可愛い弟分のFurutatsuがいて、ちょっと不思議ちゃんっぽいけど熱い心を持ったRyu.君がいて。

-みんな、すごく頼もしいですね。

kyohey:頼もしいですよ。ステージにいて不安がないって、すごく大切なことじゃないですか。4人で"さぁ、行くぞ!"って足並み揃えてライヴに挑めるのは、やっぱり頼れるメンバーがいてこそ、それぞれの個性が立ってこそだと思うんで。このメンバーに出会えて、本当に感謝しています。