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INTERVIEW

Japanese

LiVS

 

LiVS

Member:コンニチハクリニック スズカス・テラ ミニ・マルコ ランルウ

Interviewer:宮﨑 大樹 Photographer:伊藤 洸太

"私アイドルじゃないです"――大森靖子が書き下ろした衝撃的な一節は、既存の枠に収まらない彼女たちの等身大の叫びだった。"ただ かっこよく生きたい"と願い、"人間最高"と"Life is Very Short"という言葉を掲げ、ステージで泥臭いパフォーマンスを見せるLiVS。Skream!初登場の彼女たち全員に、活動への想い、楽曲、ライヴについて等、たっぷりと語ってもらった。

-本誌初登場なので、まずはグループの紹介をお願いします。

ミニ・マルコ:LiVSは"人間最高"と"Life is Very Short"という言葉を掲げて活動中です。"人生は短い"なかで、どう全力で泥臭くアイドルをやって、音楽を届けていくか、というコンセプトでやらせてもらっています。

-各メンバーのグループでの立ち位置、強みはなんですか?

コンニチハクリニック:私はお喋りで、お調子者キャラです。

スズカス・テラ:私はいつも適当なことを言って、毎回メンバーに突っ込まれている気がします。適当に生きているんですけど、"一生懸命担当"なんですよ(笑)。LiVSに関しては一生懸命、とにかくがむしゃらな感じでやるけど、私生活は適当な感じです。

ミニ・マルコ:私は自分のことがあんまりよく分かっていないんですけど、ファンの方からは"ライヴのときと喋っているときでギャップがあるね"と言われるので、ギャップ担当なの。あとは"いたずらっ子"、"悪ガキだね"と言われます。自己紹介をするときは"著作権ぎりぎり担当"です。

ランルウ:私は日によって性格がとても変わりやすいので、LiVSという形があったときに、ポンとはまる日があったり、ちょっとはみ出たりしています。

-ちなみに今日はどういう性格ですか?

ランルウ:今日は人に寄り添える性格かな(笑)。柔らかめでいこうかなと思います。

-世の中に多くのガールズ・グループがいるなかで、LiVSの"ここだけは負けない"というポイントはどこですか?

コンニチハクリニック:"Life is Very Short"の通り、ライヴに関して本気で取り組んでいるところだと思います。つい先日も全曲ライヴ("LiVS全力ツアー")をしたんですけど、そのときも声が枯れちゃうくらい本気で挑みました。一瞬一瞬にかける想いとか、ライヴの熱さは負けません。

-その全力は、どういう感情から出てくるんですか?

ランルウ:お客さんの人生もLiVSの活動の一部だと思っているから、そこを一番大事にしたい気持ちかな。LiVSの活動を見てくれている人たちが、どういうものを受け取って感情が変化したり、生き方が変わったりするかを考えながらライヴをしています。

ミニ・マルコ:私たちは頻繁にライヴをやっているんですけど、楽曲は同じでもその日しかない声があったり、メンバーもお客さんもその日しかない表情を見ることができるのがライヴのいいところだなと思うんです。だから"今日のこの景色を目に焼き付けておこう"と思いながら全力でライヴしています。

スズカス・テラ:ライヴって生ものだと思うし、お互いに音楽を通してぶつかり合えるものだなって思うんです。裸でぶつかり合っている感じ。

-LiVSは最近、所属事務所を株式会社アトリーベに移籍しましたよね。

ミニ・マルコ:前は言われたことを納得できないままやったりもしたけど、今は納得していない部分をメンバー同士でも社長とかにもちゃんと言える環境になりました。

コンニチハクリニック:信頼できる運営の人といい関係を築けているのかなと思います。運営とメンバーという関係だけど、もっと一緒に良くなっていけるのかなと。

ランルウ:なので、みんなが思っているより、みんなLiVSのことが大好きです。

-そんなLiVSの音楽を一言で表す、キャッチフレーズのようなものを付けるとしたら?

ランルウ:"アチアチのオードブル"です。

-オードブル?

ランルウ:高級ではないけど超美味しいオードブル(笑)。みんな人間らしさがあって、着飾ってもいないからフルコースとかではないけど、まず"アチアチ"というのが大事で。それに、いろんな曲調の曲があるんですよ。熱い人生観の曲だけじゃなくて、かわい子ぶったり、叫んだり、いろんな曲があるから、1つの料理じゃなくてオードブルかなと思います。

-その中で、"まずはこの曲を聴いてほしい!"という1曲は?

ランルウ:「ONE」(2023年リリースの1stアルバム『NEW ERROR』収録曲)かな。

スズカス・テラ:私も。「ONE」は絶対に聴いてほしい。LiVSが初期からずっと大事に歌っている曲なんですけど、"どうして報われないんだろう"っていう歌詞とか、人としてみんなにある感情が言語化された曲なのかなって。人の心にも自分の心にも寄り添ってくれる曲だと思っているから、ぜひ聴いてほしいです。

ミニ・マルコ:私は「Preserved」(『NEW ERROR』収録曲)という曲がいいなと思います。歌詞に"音楽というタイムマシーン"という部分があるんです。人はいつか死ぬけど、その曲は残る。私たちがいなくなっても、曲がタイムマシーンに乗って、私たちのことを知らなかった人に届いたらいいなという気持ちで歌っています。重い感情を込めているけど、ライヴ中はみんな楽しんで笑顔になれる曲だから好きです。

コンニチハクリニック:私は「始まりの歌」(2024年リリースの2ndアルバム『Don't Look Back』収録曲)という曲です。ライヴでやるのが好きで、メンバーもお客さんも肩を組んで一緒に歌うところがあるんですよ。そこはライヴをしていて本当に幸せだなと思うんです。お客さんも幸せな顔をしながら大声で歌っているんですよ。この幸せな時間を一緒に作れるというのがすごくいいなと思います。

-客観的に見て、今は"Kawaii"音楽に勢いがありますよね。そのなかで、ロック、熱さを出していく皆さんは、シーンの現状をどう見ていますか?

スズカス・テラ:多様性だなと。昔だったらキュルキュル系が主流だったけど、"Kawaii"系のアイドルだったり、"楽曲派"と言われるアイドルだったり、いろんなアイドルとしての幅が増えましたよね。今は戦国時代と言われた時代ではないけど、このシーンはまた面白くなっているんじゃないかなって。

-その中で勝ちにいこうとしている?

スズカス・テラ:勝ちに行けるなら勝ちに行きたい。"Kawaii"に飽きてきた人たちが乗る、次の波になれたらいいなと。

-野心はある。

スズカス・テラ:鬼あります!

ミニ・マルコ:東京ドームに立ちたいんです。そのためには、人を呼び込む力がまだ全然足りていないなと思う。知ってもらわないとスタート地点にも立てないから、SNSであるとか、そういう拡散能力も付ける必要があるのかなと思っています。

-そんな皆さんの新曲「私アイドルじゃないです」は、大森靖子さんからの提供です。

スズカス・テラ:嬉しかったです。書いてもらいたいねという話はずっとしていたので。大森さんが楽曲提供しているアーティストを見てみたら名だたる方ばかりだったので、"LiVSが今お願いしてもやってくれるのかな......"というのはずっとあったから、驚きと嬉しさがあります。

ランルウ:私は中学生のときとかに大森さんのZOC(現ZOCX)の曲を聴いて、本気で"アイドルっていいな"と思い始めたんです。それまで全くアイドルに触れてこなかったんですけど、最初のきっかけになったのが大森靖子さんでした。自分が今ここにいるきっかけになった人に曲を書いてもらえるなんて、正直言うと実感がなかったんです。だけど、ステージで歌って、大森靖子さんのことを好きで知ってくれた人が"めっちゃ曲良かったよ"みたいに言ってくれたことで、"私はあのときに見ていたアイドルのように、心を動かすことができているんだ"と実感できてすごく嬉しかったです。

-大森さんの楽曲の魅力って、どんなところにあると思いますか?

スズカス・テラ:そのときの心情に寄り添ってくれること。人に言えない感情を、音楽を通して肯定してくれるなって。自分がひきこもっているときも、大森さんの音楽が自分の心の支えでした。

ランルウ:明るい気持ちだったり、気分が乗らずに上手く生きられないときだったり、どの感情とも向き合ってくれる音楽だなと思っていて。明るいときも暗いときも、生活を彩ってくれて感謝しています。貰った曲の歌詞の中に"死んだ私をあげるだけだよ/昨日の夜に 嫌いになったの"というところがあるんです。そこは、朝起きたときと寝る前のことを思い浮かべながら歌うんですけど、ステージで自分の想いを再確認できるいい曲だなと思います。