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INTERVIEW

Japanese

虎の子ラミー

2023年09月号掲載

虎の子ラミー

Member:マザー・ヤナギ(Vo/Key) ミズキ(Gt/Cho) Risako(Ba/Cho) ケイコ(Dr/Cho)

Interviewer:杉江 由紀

地を疾風のように駆け、鋭い爪で獲物を狩り、自らの意思を示すように激しく咆哮する、虎の子ラミーがここに見参。今年で始動から10周年を迎える彼女たちが、この機に発表するのは満を持しての初フル・アルバム『DRIP OF RAMMY』だ。"立体型サファリロックバンド"虎の子ラミーの名を地で行くように、強い生命力をたたえたそのサウンドは基本的にどれもプリミティヴにしてダイナミック。だが、曲によっては洒落っ気を漂わせたものや、ネタ満載の異世界転生ソング、あるいはじっくりと聴き入ることができるものなど、まさにこの10年を凝縮したような集大成的内容になっているところにもぜひご注目をいただきたい。

-これまで10年にわたり活動されてきた虎の子ラミーにとって、なんと今作『DRIP OF RAMMY』は初のフル・アルバムになるそうですね。

マザー:まさに、満を持してのフル・アルバムです(笑)。

ミズキ:これまで私たちはミニ・アルバムを6作、あとは配信シングルなども出させていただいてきているんですが、今年はいよいよ10周年ということでついにフル・アルバムを作ることになったんですよ。

-ミニ・アルバムとフル・アルバムを比べたとき、作り側として何か違いを感じた点はありましたでしょうか。

マザー:単純にボリュームが大きいぶん、作業量が多くて大変でしたね。レコーディング期間もミニの倍くらいかかっちゃいました。

Risako:ほぼ1ヶ月くらいだっけ?

マザー:だね。ほぼ山ごもり状態でレコーディングしてました。

-そもそも、レコーディング以前に収録してある全13曲を揃えるところからまずは時間がかかったのではないです?

ミズキ:そこに関しては、これまでのミニ・アルバムだと基本的に新曲メインで作っていたんですけど、今回のフル・アルバムはバンドにとって10周年の集大成的な作品という意味もある作品なので、もちろん新曲もたくさん入れたとはいえ、それだけじゃなく配信で過去に出した曲とか、ライヴで大事にしてきた曲の再録とか、それを計3曲それぞれ"2023ver."として入れたので、曲数が足りないっていうことはありませんでした。

-では、今作『DRIP OF RAMMY』は新譜であると同時にベスト的な側面も持ったものに仕上がったわけですね。ちなみに、この13曲をどのようにフル・アルバムとして構成していくことになったのかも知りたいです。曲順はどのように決められたのです?

マザー:いやー、曲順はめちゃめちゃ悩みました(笑)。そこは(虎の子)ラミーの良さでもあるんですけど、このバンドってほんとにいろんなジャンルのいろんなタイプの曲があるんで、曲順によっても聴こえ方とかアルバムのイメージが変わってくるんじゃないかと思ったから、結構いろんなパターンを考えましたね。

-そうしたなか、今作の1曲目を飾ることになったのは「限界突破(2023ver.)」です。この曲を冒頭に持ってきた理由をぜひ教えてください。

マザー:これは、クリックを使わずにメンバー4人の出したノリだけで録り切った曲なんですよ。今回の13曲の中でも一番ラミーのありのままな音になっていて、ライヴ感も強いので1曲目として選ぶことになりました。

-虎の子ラミーでは、これまでにもノークリックでレコーディングした例はあったのでしょうか。

ケイコ:これがほぼ初めてですね。

マザー:曲の一部をノークリックで録ったことはあるんですけど、1曲全部っていうのはこれが初めてです。

-その初体験でみなさんが感じられたのはどのようなことだったのでしょう。

ミズキ:この曲はライヴの定番曲でほんとにいつもやってるので、クリックに縛られず自然体にできたかなと思います。

ケイコ:最初はクリックも使って録ってみたんですけど、エンジニアさんから"ないほうがいいんじゃない?"っていう提案をしていただいて、それで使わないで録ってみたんです。実際、そっちのほうが良かったんですよ(笑)。

Risako:全然違ったよね! この曲は、今までライヴで培ってきたものをちゃんと生かせたレコーディングができたと思います。でも、レコーディングならではの緊張感っていうのもあって、マザーだけはヴォーカル・ブースが別だったし、楽器隊は隣のブースで3人一緒にやったんですけど、やっぱり"絶対に音を合わせなきゃ!"っていう気持ちがあったんで、お互いの顔をめっちゃ見ながら演奏しました。

-アイ・コンタクトを取りながらの演奏、というのが重要だったのですね。

Risako:みんな目配せしまくりでした(笑)。ここにはそのときのいい緊張感もパッケージされてて、それがそのまま音源になってます。

マザー:この「限界突破(2023ver.)」はこれだけ勢いがあるから1曲目にしたかったし、あとは最後の「パレードはつづく」も最初からこれはアルバムを締めくくる曲にしたいなと思って確定していたんですよね。

-なるほど。ちなみに、今作には13曲も収録されておりますので、ここは各メンバーの見地から個人的推し曲を挙げていただきたいのですけれど、いかがでしょうか。

マザー:いいですね。実は、このアルバムで初めてメンバー全員が作曲を手掛けることになったので、そういう意味でも個々が推したい曲は違うかもしれないです。

ケイコ:私は12曲目に入っている「歩み」を推したいです。これはもともとマザーさんの弾き語りソロ曲だったものをバンド・アレンジしたものなんですよ。いつかマザーさんの弾き語り曲をバンドでやりたいという憧れみたいな気持ちをずっと持っていたので、それをようやく実現できたことが嬉しいですね。曲の最後のほうにはメンバーみんなで歌う場面もあって、そこの明るくて力強い雰囲気も大好きです。

-マザーさんからすると、いずれは「歩み」をバンドでやることになるだろうという想定はされていたのですか?

マザー:なんとなくですけど、きっとバンド・サウンドが映える曲なんだろうなっていう予感はしてました。

Risako:推し曲かー、どれにしよう? 自分の作った「バイバイポムニィ~デブよ大志を抱け~」かなぁ(笑)。

-こちらはタイトルだけでも相当インパクトのある曲ですが、クレジットとしてはマザーさんとRisakoさんの共同作曲名義となっております。作り方としては、どのような形で進めていくことになられたのです?

マザー:これはRisakoがもととなる骨組みのオケを持ってきてくれて、そこからメンバーで詰めていった感じでした。

Risako:そのあと、私は歌詞が書けないからマザーに託したんです。

マザー:でも、"バイバイポムニィ~"のところのメロは最初からあったよね。それで、ここは呪文みたいな歌詞をつけてほしいって言われて、自分なりに意味のない呪文っぽいけどかわいい響きの言葉を当てはめてみたんですよ。

Risako:あそこはライヴでもみんなで唱えられるようにしたかったんです。昔ラミーの前にやってたバンドでは曲を作ったこともあったんですけど、このバンドの10周年のタイミングで初めて自分の曲を出して、それが『DRIP OF RAMMY』っていうフル・アルバムに収録されたっていうのは、自分にとってもすごくいい記念になりました。

-あの"バイバイポムニィ~"の部分は、メロディも不思議なオリエンタル風味で怪しげなところが面白いですね。

Risako:中東っぽいような、インドっぽいような謎な感じを意識して、あのメロはそれっぽいドミニアン・スケール? とかっていうのを探して入れたんですよ。短2度を入れるとああいう雰囲気になるんです。

-なお、こちらの歌詞の内容は"バイバイポムニィ~デブよ大志を抱け~"というタイトル通り、ダイエットをテーマにしたものになっているようですが......。

マザー:それが、ちょうどこの歌詞を書いていた時期に私がダイエットをしていたんですよ。

-マザーさんは、あまりダイエットをする必要はなさそうに見えますけれどもね。

マザー:いや、それがステージに立っていると、たまに人から嫌なことを言われたりもするんですよ。で、そういうときは"はぁ!?"ってなるし、めっちゃダイエットしてたときに感じてたことをここには書きました。

Risako:どんな歌詞が出てくるのかな? と思ってんですけど、ちょっと意外な展開の詞が出てきたので面白かったです(笑)。

-しかも、内容としては非常にポジティヴですよね。

マザー:サビ前に"デブズ・ビー・アンビシャス"というフレーズを持ってきたところが、ひとつのポイントです(笑)。

Risako:そしてサビの"バイバイポムニィ~"はライヴのとき、みんなもぜひ一緒に唱えてください!