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INTERVIEW

Japanese

HATE and TEARS

2023年06月号掲載

HATE and TEARS

Member:KAYO UI MISA

Interviewer:山口 哲生

"自分が最高"とか"自分たちの音楽が一番だ"って思えることが 自分が音楽をやる起点になると思った


-先ほどUIさんが"準備期間が長かった"とお話しされてましたが、KAYOさんは、表舞台に出るまでの期間はどういう気持ちで過ごしていましたか?

KAYO:最初にお話を聞いたときは、ライヴとかリリースの話がわりと多めにあったんですよ。でも、そのタイミングでコロナが来てしまって。ライヴもできなくなってしまったし、ライヴができないのであれば曲ももっといいものを作ろうということになって、リリースも先延ばしになったりして、完成しているものが何もない状態が続いてたんです。だから、自分たちが何に向かっているのかわからない時期でしたね。そこはコロナのことが大きかったと思うし、音楽業界全体がそうだったと思うんですけど、気持ち的にはやっぱり不安でしたし、この先自分たちには何ができて何をしていけるんだろう、何を届けられるんだろうとか、まったくわからない状態でした。そういうなかでずっと手探りをしていて。

MISA:うん。やっぱりあの時期は不安しかなかったです。めっちゃ不安で、一時期は本当にやめようか迷ったぐらいだったし。マイナスな気持ちしかなかったです。

-出演されているテレビ番組の動画を拝見したんですが、UIさんが"HATE and TEARSはいつも惜しくて、悔しい思いをすることが多かった"というお話をされていたんですよね。それは番組の内容を受けての発言だとは思うんですが、それを抜きにしても、活動していくなかでそういう感覚が強かったりもしたんですか?

UI:HATE and TEARSに入る前の私って、そういう勝負事みたいなことをあまりしてこなかったんですよ。ただただステージに立つのが好きで、自分の音楽を届けたいという気持ちだけだったんですけど、入ってからは、自分たちの名前を知ってもらうためにそういう場所に参加する機会がすごく増えたんです。でも、やっぱりそういうのって最初からそんなにうまくいかないじゃないですか。負け続けてしまったり、あと1歩のところで勝てなかったりして、それが常だったんですよね。そういうなかでやっと初めて勝てたのが、テレビ埼玉の"クイーン オブ アイドル's"だったんです。そこでようやく1歩進めた気持ちがすごくあって。正直、劣等感もあったし、どうしたら前に進めるんだろうという気持ちがずっとあったなかでの、あの言葉でしたね。

-"あと1歩足りない"と思い続けていたところからの新曲のタイトルが、"ONE STEP FORWARD"(=1歩前へ)って、めちゃくちゃエモーショナルですね。

一同:(※無言で深く頷く)

-ものすごく深く頷かれましたけど。

一同:ははははははは(笑)!

-(笑)KAYOさんとしてはいかがですか? 自己肯定感が0というお話をされていましたけど、悔しさとか、そういう気持ちもあったりしますか?

KAYO:自己肯定感0なのに、負けず嫌いだったんですよ(笑)。私は逆に、勝負事ばっかりしてきた人間で、習い事とかで大会に出ることが多かったり幼稚園、小学校からずっと受験をしてきたり。合格/不合格もいわゆる勝負じゃないですか。そんな勝負事ばかりの人生だったので、負けたくないって気持ちはわりとずっとあったと思うんですけど、ただ勝負事をやっていると厳しい環境で育つというか、結構滅多刺しに言われることが多くて。それで自己肯定感がなくなっちゃってたんです。

-なるほど......。

KAYO:でも、HATE and TEARSに入ってからは、エゴイズムっていうんですかね。"自分が最高"とか"自分たちの音楽が一番だ"って思えることが、自分が音楽をやる起点になると思ったし、"「自分が最高」って思っていないと、むしろ応援してくれている人に良くない"とか、そういう話を聞いて、たしかになと感じて。そういうところから考え方が徐々に変わっていきました。

-ただ、自己肯定感0のところからエゴイズムを獲得していくのって、かなり大変な作業ではあると思うんですけど。

KAYO:そうですね。やっぱり謙虚とエゴイズムって真逆なので、そこの橋を渡るのはそんなに簡単なことではなくて。だけど、そこを音楽が繋げてくれたような気がします。例えば、「it's my pleasure」(2022年配信リリースの4thシングル)に"ストリート上がりのプリンセス"という歌詞があるんですけど、そこらへんで歌っているところからプリンセスになったってことは、要はその人は最高ってことだと思うんですよ。それを自分が歌うとなると、その気持ちにならなきゃ伝わらないじゃないですか。だから変わらないとっていう。歌うことで自分の価値観も変えていくという変わり方でしたね。

-KAYOさんとは昔から仲が良かったMISAさんから見て、KAYOさんのエゴイスティックな部分は昔と比べて強くなってきている感じはします?

MISA:たしかに性格は変わったなって、今話を聞いていて思いました。

UI:今かい(笑)!

KAYO:これまでもうちょっとあったやろ(笑)。

UI:ラグがすごいな!

MISA:ははははははは(笑)。でも、謙虚さもちゃんとあるんですよ。だから、プライベートのKAYOと、活動しているときのKAYOで切り替えてると思う。

KAYO:たしかに普段はそのままかもしれない。でも、ステージの上では変わっていいかなって。

-MISAさんも、悔しかったり歯痒さを感じたりすることは多かったですか?

MISA:悔しさがないと言うと嘘で、やっぱりあるんです。例えば、配信を通してイベントに出たときとか。自分とメンバーがいて、そこにファンの方とか、いろんな人たちが関わっている場所で、あと1歩のところで負けちゃうとか、あと少し頑張ればというところで逆転されちゃうとか。そういうときはやっぱり悔しかったですね。だから、もし次があるならそのときは頑張ろうって思ってました。

-この悔しさを、悔しいままで終わらせるわけにはいかないという。

MISA:そうですね。やっぱり表舞台に立つうえで、そのままにしておいたらダメだと思うので。これがプライベートだったら別にどうでもいいんですけどね。自分はもともとそこまで負けず嫌いじゃなくて、切れるところはあっさり切れるんですけど、やっぱり活動していくうえで、その思いは強くなってきたと思います。負けず嫌いというか、負けて悔しいから次はこうしようって思うようになってきました。