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INTERVIEW

Japanese

陽南子

2023年03月号掲載

陽南子

Interviewer:藤坂 綾

2020年に解散したアイドル・バンド、凸凹凸凹(ルリロリ)の陽南子が、シングル『love』をリリース。モデルやインフルエンサーとしてはSNSを中心に現在も活躍中だが、音楽活動は実に約2年半ぶり、流通盤のCDリリースで言うと約8年ぶりになるというのだから、待っていたファンにとっては嬉しいニュースに違いない。バンド時代とは打って変わり、まるで彼女の生活を切り取ったかのような、ぬくもりある全3曲。バンドから今回のソロ活動までの心の変化について、そしてこの1枚に込めた想いを訊いた。

-音楽活動はどれくらいぶりになるんですか?

2020年の10月24日に凸凹凸凹(ルリロリ)が解散して、そこから音楽はずっとお休みしていたので、約2年半ぶりくらいですね。もともとは姫caratっていうダンスとバンドのグループをやっていて、そのときにメジャー・デビューしてるんですけど、そのあと改名して凸凹凸凹(ルリロリ)になってからは、レーベルを通してCDをリリースするということはしていないので、ちゃんとしたリリースということで言えば8年ぶり、それくらい空いてると思います。バンドで自主制作では出してたんですけど、ちゃんとしたものを出すのは今回すごく久しぶりです。

-その久しぶりの音楽活動、CDリリース、どんなお気持ちですか。

8年前はスタッフやメンバーが一緒だったこともあるし、自分のやりたいことがまだ定まっていなかったのもあって、自主的にというよりはこんな流れだからこう動こう、こんな曲にしようみたいな感じが強かったんです。でも、歳も重ねて今28歳なんですけど、こんな音楽をやりたいなとか、こんな歌詞がいいなとか、当時に比べると少しそういう部分が出てきたんじゃないかと思います。

-それは、ご自身の中でやりたいことがはっきりしてきたのか、それとも周りの方に自分の意見や考えを言えるようになってきたのか、どちらが強いです?

どっちもあるかなと思うんですけど、周りのスタッフさんがとってもいい人なんですよ。バンドを卒業する時点で、私的には音楽はもうやり切ったぞ! という感じだったんで、もう音楽はいいやって想いがあったんですけど、そのときに今回のプロデューサーさんが声を掛けてくださって。

-そうだったんですか。

はい。私はいつもわがままばかり言ってるんですけど、それを全部優しく聞き入れてくれて、ちゃんと私の意見も取り入れてくれるので、すごく楽しくやらせてもらえてるんです。そう考えると、やっぱり自分の意見や考えを言えるようになったっていうことが大きいのかなと思います。バンドをやってるときって、もうほんとに毎日バンドをやってて、バンド以外のことを考える時間が全然なかったんですよ。ただ目の前のことをこなすのでいっぱいいっぱいというか。おまけにバンドの最後の頃は毎月ワンマン・ライヴをやって、そのたびに新曲を出してて、曲自体は私はそんなに書いてないんですけど、メンバーでアレンジをやったりしていて。そんな感じだからライヴの前の日に歌詞ができあがるなんてことも多くて、それを覚えて歌うのにほんとに必死すぎて、自分が何をやりたいのかっていうことを考える余地もなかったんですよね。だけど今は、時間もあるし、自分なりにこういうことをやりたいなとかも言えるようになってきたので、それを表現できたのが今回の3曲なのかなと思います。

-自分のことを考える余裕ができたのは大きいですね。

そうなんです。この3曲ができるまでもいろんな曲を歌わせてもらっていて、どんな曲が自分に合うのかなとか、いろいろ曲調を探ったり自分の音域を探ったり、そういうことを2年間くらいコツコツやらせてもらって。そのなかでこれいいねって3曲がこうして形になりました。

-バンドを解散したときに音楽はもういいかなと思ったのは、やり切ったという感じだったからですか。

そうですね。高校3年生の頃からバンドを始めて、やめるときが25歳くらいだったんですけど、バンドって結構動くじゃないですか。その中でも私は激しく動くほうだったのと、バンドと一緒にダンスもやるグループだったので、体力面に不安が出てきてたというのもあったし、何よりメンバーのことが大好きだったので、この子たち以外と音楽はやりたくない! って気持ちもあって。だから解散のときは、音楽はもうこの子たちとすべてやり切った! っていう感じだったんです。でも2019年くらいかな。松田(芳明/プロデューサー)さんに声を掛けられて、会うだけ会って、私はやりません! って断ったんですよ(笑)。

-え!

まずはお断りから始まりました(笑)。凸凹凸凹(ルリロリ)も解散するし、これからやりたいこともあるし、ソロ活動とか考えられないからって。でもせっかく声を掛けてくれたから、会うだけは会っておこうと。でもそれからもいろいろとお話していくなかで、私のやりたいようにやらせてくれるというか、こんなことをやりたいってこともしっかり聞いてくれたりして。このCDを出すときも、これでいくかっていう別の曲があったんですけど、最後のほうになって"いや、これはちょっと違うな"と私が直感で言ったんです(笑)。でもそういうこともちゃんと聞いてくれるし、反映してくれるんですよ。

-それは嬉しいし、やりがいというか、やる気もますます出てくるでしょうね。

そうなんです。最初にこれでいこうってことになった曲は、曲調がちょっと昔っぽいというか、姫caratが歌謡ロックみたいなコンセプトだったんで、そことちょっと離したかったんですよね。だからこれは違うなと思って、この曲は今じゃないって言って(笑)。いっぱい足踏みしながらやっとここに辿り着いたという感じです。

-だから今回納得のいくものができたと。

はい。

-陽南子さんの中では具体的にどういう音楽をやりたいと思ってらしたんですか。

凸凹凸凹(ルリロリ)のときは、恋愛がタブーというわけではないんですけど、どっちかというと男性のファンが多かったので、恋愛ソングというよりは自分たちを鼓舞するような曲が多かったんです。気合もあったし、若かったし、そのときはそれで合ってたんですけど、去年結婚して、恋愛観もよりリアルに伝えられるようになってきたかなと思って。前は、自分の実体験を入れるとリアルになりすぎちゃうからやってこなかったんですけど、今回例えば「Always」は実体験を歌詞の中に入れたりしています。

-それはご自身で入れてほしいと。

そうです。私の実体験をバーッと書いて、それを歌詞に組み込んでもらって。なので、3曲共そうなんですけど、よりリアルな歌詞になったかなと思います。

-すごくリアルだし、今回はどちらかというと女性に届きやすい曲になってるかなと。

そうなんです! そっちを目指したい! もちろん今までのファンの方も大切にしつつだけど、Instagramに夫の(齋藤)天晴も出てるので、こういう曲のほうがよりいっそうリアルに伝わるところもあると思うんです。これを機に等身大の自分を出していけたらなって思ってます。