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INTERVIEW

Japanese

陽南子

2023年03月号掲載

陽南子

Interviewer:藤坂 綾

私の曲が聴いてくれた人の生活の一部になってくれたら嬉しいです


-まさに「love」は日常の風景を切り取ったような等身大の歌詞で、居心地のいい曲だなと思いました。

居心地いいですよね。鍵盤で始まるところもちょっとおしゃれで、バンド時代にはなかった感じ。この曲は天晴君がコーラスで参加してくれてて、ラスサビ前の"New day/new my world"のところなんですけど、夫婦で初めての共同作品になりました(笑)。

-えー、素敵です。

それも個人的には嬉しいし、歌詞もほんといいんですよね。こないだお風呂に入りながらずっと聴いてたんですけどすごく気持ち良くて、もうこの歌詞全部共感できちゃうんですよね。陽南子の"ひ"が太陽の"陽"なんですけど、サビに"愛は陽のひかり"って自分の名前が入ってるところも嬉しいし、ここのサビを聴くと心が温まります。

-"ひだまり"って出てきますけど、ほんとに"ひだまり"のような歌詞ですよね。

そうですよね。私はこのサビと最後の歌詞が大好きで。"ただいま おかえり/今日は疲れたね/「ねえ」「なに」"までは、バックに音があるんですけど、"「あのね」"は自分の声だけになるんですよ。ここがかなり好きですね。結婚して、一緒にいるだけで心が温まったりすることが多いから、この曲は恋人だったり旦那さんだったり、パートナーに向けての曲ではあるんですけど、人によって大事な人って変わってくると思うんで、自分にとっての大切な人を思いながら聴いてもらえたら、心が温まるんじゃないかと。誰でも大切な人って必ずいると思うから。

-家族とか。

そう、家族とかめっちゃ温まる。"許し許されて/生きようよ二人"とかも大好きです。自分で聴いててグッとくるし、ほんとそうだよなって思います。

-「Always」は先ほど実体験が書かれているとおっしゃってましたが。

それはですね、"喧嘩するたびに 変わらずに/いくつもお菓子くれる君"っていうところです。

-あー、ここでしたか。

そう、ここ、かわいいでしょ(笑)。

-かわいいです。お菓子くれるんだ! って思いながら聴いてました(笑)。

喧嘩っていう喧嘩は正直しないんですけど、私がちょっと機嫌が悪いとか、もめそうな空気を感じ取った瞬間にお菓子とかアイスとかジュースとか、私の好きなものを買って帰ってくるんです。で、私はそれを食べてケロッと忘れるっていうことが日常的にあって。何回言っても好きじゃないお菓子も買ってきたりするんですけど、それでも笑って許しちゃうみたいなエピソードをこうやって取り入れてくれてるので、歌ってても聴いてても、彼のことを想ってしまいますね、ここは。

-かわいいけど、歌はすごく力強くて、強い意思みたいなものも感じました。

嬉しいです。この曲のAメロは最初歌詞が違ったんですよ。でもちょっと違うなと思って。Instagramで写真を撮ったり載せたりしてるから、そのエピソードを送ってまた取り入れてもらいました。そうしていくなかでこういう自分に寄せた歌詞になったんで、ちゃんと自分の言葉になったのかなと思います。あと、"泣いてる時も笑う時も/いつも隣にいてほしい"、ここも好き! っていうか全部好き(笑)。

-あはは(笑)、きっとそうですよね。そして「JUMP」はハッピーな曲になりました。

ハッピーですよね。これは仲良しのスタイリストさんの4歳の娘ちゃんと、その友達とか、今回楽曲を提供してくださった小名川(高弘)さんの娘さんとその友達も来てくれて、"サンサンサン"とか"ランランラン"とか声を入れてくれたんです。あ、天晴君と妹のひよりも入れてくれてて、ひよりはハモりも入れてくれてるんですよ。だから、そういうみんなで作った感じもあって嬉しいし、すごく元気の出る曲だなって。「みんなのうた」とかで流れてきそうな感じなんで、ぜひお願いします(笑)。

-あはははは(笑)。これは聴いたあとサビが頭に残ります。

ずっと残りますよね。あと、"元気切れてしまったら/カラフルなドーナツで補給しよう/ため息もあの雲に変わるよ"って、ここがすごくかわいくないですか? 私わりとポジティヴで、おいしいものを食べたりしたらすぐ前向きになれるんで、こういうのすごくわかるし、好きだな。

-切り替えが早いんですか?

めっちゃ早いです。小さい頃のほうがもうちょっと悩んでたかもしれないけど、いつの日かこうなっちゃってました。バンドとかモデルとかいろいろやってるうちに、悩んでても仕方ないなって思うようになって。だから今では寝たら元気になるし、ごはん食べたら元気になるし友達と会ったら元気になるし、たまに落ち込むけど、すぐケロッと忘れちゃいます。

-元気になるアイテムを知ってることも素晴らしいと思います。改めてこの3曲、陽南子さんにとってどんなものになりましたか?

この3曲に今の自分が全部詰まってると思います。それくらい、どの曲も自分らしい曲になったなと。私、「love」を聴いてると自分の曲なのに泣きそうになるんですよ。たぶん曲調もあるし歌詞もなんですけど、夫婦になって感じたことが、最後の"ただいま おかえり"の部分にすごく表れてるなと思ったんです。"ただいま おかえり"のあとにいろんな話をする感じ、でもその話を実際に書くわけじゃなくて、"「ねえ」「なに」「あのね」"っていう表現の仕方をしてて。この部分のこういうさりげない日常がすごく素敵だなって思うんです。ほんとに自分らしい3曲になったなって思います。今まではバンド・サウンドだったのでお腹から声を出す感じの歌声が多かったんですけど、今回の楽曲では語り掛けるような優しいアプローチもあって、レコーディングは難しかったけど、できた作品を聴いてハスキーな声と相まっていいなと感じました。

-新しいご自身の発見もあったと。

はい。あとは、CDのクレジットにスペシャル・サンクスでうちの歴代の猫たちの名前が書いてあるので、それもぜひ見てほしいです(笑)。

-肉球も書いてあってかわいいです(笑)。久しぶりに音楽をやられて、やりたいこととかさらに出てきたんじゃないでしょうか。

もちろん音楽も好きだし、服も興味があるので作りたいし、あとはいろんなところで頑張って猫を救えたらなと思います。最終的には猫を救うのが目標かな(笑)。でも、私アニメや漫画が好きなので、いずれアニソンを歌えたら嬉しいですね。

-それは楽しみですね。

実際約2年半ぶりの音楽活動だし、こうやってCDを出すのは久しぶりなので、待っててくれたファンの方にはありがとうって気持ちでいっぱいです。少しでも私の声がファンのみなさんの支えになったら嬉しいなと。音楽って聴いただけで心が動くというか、頑張ろうって気持ちになったり、自分の状況によって歌詞の聴こえ方も違って、その人の生活に寄り添うと思うので、私の曲が聴いてくれた人の生活の一部になってくれたら嬉しいです。