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INTERVIEW

Overseas

Leah Kate

 

Leah Kate

Interviewer:山本 真由
Translator:安江 幸子


自分の愛が報われない、想いが返ってこないなと感じたら"おっ、これは歌になる"って思う(笑)


-今作『Alive And Unwell』は全体的に、日常に不満があっても爆発的な大きな怒りではなく、その感情とうまく付き合っていくようなイメージの楽曲が多く、そういった感情表現がすごく今っぽい印象を受けました。今は世の中にいろいろな良くないことがありますが、それに前向きに対処していくことは大事ですし、だからこそ共感できる内容になっているのだと思います。ご自身では、テーマというか意識して表現しているのはどのようなことなのでしょうか?

タイトル"Alive And Unwell(生きていて気分が優れない)"は人生がパーフェクトじゃないってことを表しているの。ここ最近の私は人生最高の日々を過ごしていて、初めてヒット曲を出すとか、いろんな素敵な出来事が起こっているけど、それでもパーフェクトな人生ではないし、人生のハイ&ローにハイライトを当てて、"パーフェクトになることなんてあり得ない、いつだって大変なことは起こりうるけど、それに対して重く考えないようにする必要がある"ってことを歌っているよ。私のリスナーたちには、"あなたはひとりじゃない"ってわかってもらいたいし、大変な時期を乗り越えるためのパワーを得てもらえれば嬉しい私にとって今年は今まで以上に"Alive"だったけど、"Unwell"でもあった年だった。でもそう感じることに問題はないの。大変な時期を乗り越えるために自分自身にパワーをあげて、他人に邪魔はさせないことが大事だよね。とにかくリスナーにパワーをあげたいと思っているよ。それがこのEPの全体的な意図だったの。

-ちなみに今年の"Unwell"というのはいったいどういったことだったのでしょうか。嫉妬されたとか?

ネット上のヘイトがいっぱいあったんだよね。しかもエクストリームなレベルで。なかなかハードなものがあったよ。でもそれを通じて強くなれたし、光を見いだすこともできた。最終的には笑い飛ばすことでジョークに変えたの。それが口コミになってね。私のリスナーはもしかしたらネットいじめには遭っていないかもしれないけど、別のつらい目に遭っているかもしれないし、その状況をひっくり返して、つらい時期を大丈夫にするというのは大事だと思う。

-まぁ、嫉妬はいつの時代もつきものですよね。そういう人はたいてい表層的なこと、例えばあなたの成功しか見ていなくて、水面下の努力には目が行っていないのだと思いますよ。

100パーセントその通り! みんなこの状態にどんな労力が込められているのか気づかないからね。

-あなたのこれまでの軌跡を見てみても、成功したのはごく最近かもしれませんが、決して一夜にして成し遂げたことではありませんからね。努力がようやく実りつつあるのは、はたから見ていても感動的です。

Oh my god! ありがとう! 一夜じゃないことは確か。何年もかけてやっとここまできたから、頑張ったことが実りつつあるのは本当にエキサイティングなことなの。本当に長ーい時間がかかったからね(笑)。

-たしかに結構な年月がかかっていますよね。そうして成功しつつあるこのEPですが、収録曲の中でも特に、話題となっているシングル曲「10 Things I Hate About You」は、多くの女性が共感できるような内容となっているのではないかと思います。"なんであんな人好きになっちゃったんだろう"みたいな(笑)。ある意味カタルシスを感じる内容です。箇条書きのように表現された"嫌いなところリスト"は非常にキャッチーで、SNSとの相性もいい楽曲だなと感じました。この曲のアイディアはどのように思いついたのでしょうか? 非常に興味深いのですが。

うわぁ、ありがとう! これはね、ある男を引きずっていたのをやめようと思って考えついたものなの。彼について嫌いなところを挙げられるだけ挙げれば、付き合っていてつらかったときのことを自分にリマインドできると思って。別れたときは楽しかったときのことばかり思い出していたから、そういうふうにすれば乗り越えるのに役立つだろうと思ったんだよね。最初リストは100項目くらいになって(笑)、最終的に10に絞ったんだけど......。

-(爆笑)100ですか!

みんなすごく共感してくれたみたいで(笑)。

-それだけ挙げられれば、どうして彼が運命の人じゃなかったのかさすがにわかりますね(笑)。歌詞はリアルな恋愛体験にもとづいた内容が多いのでしょうか? 時にはお友達のエピソードからアイディアを貰うこともあるのでしょうか? 作詞の方法について教えてください。

友達のストーリーからヒントを得ることもあるけど、最終的には自分自身が経験した感情に落とし込む必要があると思う。自分に関係ない曲だとどうにも好きになれないし、その歌詞とコネクトすることができなかったら正直な感じがしないの。自分がコネクトすることがマストだから、たいていの場合は自分自身の体験について書いているね。他人のストーリーにインスパイアされることもあるけど、自分のものにして、自分に起こった出来事になぞらえて考えているの。

-なるほど。自分自身の経験でなくても、シンガーだから意味を込めて歌わないといけないということですね。

その通り。自分にとっても意味をなすようにしないとね。自分でフェイクに感じたら歌うことはできないの。

-アーティストによってはネタ帳のようなものを持ち歩いていたり、スマホに向かってアイディアや歌詞の断片を歌って録音したりすることがあるそうですが、あなたもそんな感じなのでしょうか。

ええ、随時更新中のメモ帳がスマホに入っているよ。アイディアとか歌詞とかメロディとか、常に書き留めているの。人生のすべてが詰まっているような感じ(笑)。

-それは絶対スマホを失くせませんね(笑)。

ええ、絶対に失くせない。そうなったら大被害(笑)!

-あなたは恋愛だけでなく、ご家族やお友達ともいろいろな人生経験を重ねていることと思います。幸せな体験よりも、ネガティヴな感情やつらい恋愛のほうが、作曲のモチベーションには繋がりますか?

ハッピーなことはネガティヴなものほどインスピレーションにならないんだよね。どうしてかはわからないけど、頭に来たとかそういうことのほうがなるの。そういうのを歌詞にすると私にとってはヒーリングになるというか。ハッピーなときはただただハッピーで、その感情をどこかにぶつけるわけじゃないしね。私はラヴ・ソングをあまり書かないの。それより自分の愛が報われない、想いが返ってこないなと感じたら"おっ、これは歌になる"って思う(笑)。

-曲や歌詞を書くというのは、あなたにとってはセラピーやカタルシスへのプロセスなのでしょうか。そう感じることはありますか?

Oh my god! まさにそれよ。私にとってはすごーくセラピー的なことなの。何か嫌なことがあっても、それについて曲を書けばいつだって気分が楽になれる。そこが曲作りの好きなところ(笑)。

-ハッピーなときはそのハッピーな状態に集中して満喫しているんですね。そしてネガティヴなことは曲にしてそこからパワーを貰うと。

その通り。

-いい"サイクル"と呼んでいいのかわかりませんが......。

100パーセントそれよ! 最高のサイクルだと思う。ソングライティングの醍醐味ね。