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INTERVIEW

Japanese

藤巻亮太 × 橋本絵莉子("Mt.FUJIMAKI")

 

藤巻亮太 × 橋本絵莉子("Mt.FUJIMAKI")

藤巻 亮太
橋本 絵莉子
インタビュアー:石角 友香 Photo by 清水舞

-今回の"Mt.FUJIMAKI"は3年ぶりの現地開催で。2回開催されてコロナ禍に入っちゃったから、現地で開催するっていうことに対する思いが今年は強いでしょうね。

藤巻:さっき言ったように自分の感性を作ってくれたのは地元だなって、40近くになってきた頃に本当に気づいてきて。ここまで音楽ができているのも、地元には何もないように見えて実はたくさん貰っていたんだなと。音楽で例えば地元の人が楽しめるとか、あとは県外の人が来て"山梨、いいとこだな"って思って、"ここすごく気持ち良くて最高に楽しかったな"って言って帰ってもらえたら、それはそれで1個の自分なりにできる形かなと思って始めたんです。2018、2019と現地でできて去年、一昨年とコロナの影響で現地開催できなかったんですが、今年はいよいよできるかなと思っていて。ちょうど秋の頭、10月の1日、2日はあそこの標高が1,000mぐらいあるので涼しいんです。寒い冬でもなくて暑い夏でもなくて、本当に空気も澄んでいて。夏は結構上昇気流があって富士山が隠れちゃうんだけど、その頃はわりと富士山も見えるんです。

橋本:冬のほうがくっきり見えますよね。

藤巻:野外で音楽を楽しむには、演者さんも気持ち良く歌ってもらえるし、観てくださる方も本当にのんびりと観てもらえていい場所だなと。"Mt.FUJIMAKI"のいいところってロック・フェスっていうよりも家族連れとか、老若男女楽しめるところで。前のほうで、一緒に盛り上がってくれてもいいし、後ろのほうでシートとかに座りながら、ぼーっと観たり、子供が走り回ったり。音楽フェスって若者だけのものでもないと思うし、普段音楽に慣れ親しんでない人も来て、"音楽ってなんか楽しいな。ここ気持ちいいな"みたいな感じで。"山梨にまた行こう"って最終的に思ってもらったり、そういうお手伝いができたらいいなと思っているので、楽しんでいただきたいですし、橋本さんが出てくださって本当に光栄です。

橋本:いやいやいや。

藤巻:もう1個裏テーマがあって、自分でフェスを主催することで、会いたいアーティストさんに声が掛けられるっていう。こんなに嬉しいことはミュージシャンとしてないなって感じています。自分の想いを伝えて来ていただくうえに、例えば今日みたいにお話しすることができるとか。そして、ステージに立っているとこを想像するとか、逆にステージから降りて客席のほうでビール飲みながら聴きたいなみたいな想像を(笑)、しちゃうぐらい気持ちのいい場所です。好きな音楽を自分の言葉にしてご本人に伝えることもできるし、改めて影響を受けているんだなって本当に思います。

-橋本さんは、今回はレコーディング・メンバーのバンド・セットですか?

橋本:そうです。一緒にアルバムを作ってくれたメンバーさんと一緒に出演させてもらいます。

-橋本さんのステージが一番ロックンロールになりそうな気が。

橋本:それはどうでしょう? すごい方たちばっかりですよ? 名前見てください、これ(笑)。 すごいですから本当に。最初オファーしてもらったときも、私基本本当に臆病者っていうかビビリなんですよ。なので、大丈夫かな? っていうのをすごく考えました。毎回毎回考えちゃうタイプなんです。出たら出たで楽しいってわかってるのに、すごく考えてしまう。緊張しいってのもありますから。でも、すごく楽しみになりました、今日。

-おふたりともご自分の名前で立って音楽をしていらっしゃる感じがすごくするので、楽しみですね。

橋本:アコースティックもやられてますもんね。それすごいですよ。

藤巻:どうしても僕らの世代だと、ソロになって弾き語りって(奥田)民生さんのイメージがすごく強くて。自分ではなんか真似してるな、なんて思いながらも、憧れもあるんです。弾き語りのために曲を作ったことは1回もなかったので、ひとりで、アコギで歌うっていうのがある意味恥ずかしくて(笑)。でもこの間、民生さんともお話をして、"(弾き語りは)うまくいけばバンドみたいなものじゃなくて、その曲の本質みたいなもので勝負できるからそれはいいところじゃないの?"と。でも民生さんが誠実な方だなと思ったのは"うまくいけばね"っておっしゃってて(笑)。決して"弾き語り、いいよ"とは言いきらないところが怖いなと思いながら。でもたしかに"あ、こういう歌なんだな"っていう再発見はすごくあるんです、身体の中を通っていくような感覚が。

-なるほど。

藤巻:この前、橋本さんと真心ブラザーズさんと唐津のフェス("Karatsu Seaside Camp 2022 in 玄界灘")でご一緒させてもらって。ウクレレの音色で、たまの「さよなら人類」をカバーされていて、めちゃくちゃ素敵な声で。弾き語りといえどもちゃんとその人らしいものがきっとあるんでしょうから、僕は(橋本さんの弾き語りを)聴いてみたいです。

橋本:弾き語りって難しいと思っちゃうんですよねぇ。

藤巻:なかなかいいなと思うのは自分のペースでできることころで。

橋本:そうですね。テンポ感とかね。

藤巻:そうそう。曲順も変えてもいいし。あと、曲ってリリースのときに"こんな思いで作りました"みたいなことを喋るけど、リリースが終わっちゃうと曲について喋ることなくない?

橋本:そうですね。その機会はないです。

藤巻:バンドでやるときってそんな喋る必要ないと思うんだけど、弾き語りだと"この曲を作ったときはこんな感じだったんだよね"とか、"こんな景色見ながらだったんだよな"みたいなことを話しながら一曲一曲やると、お客さんにとっても新鮮みたいで。

橋本:喋りからひゅっと歌に繋がる感じでいけますもんね。

藤巻:新しく来てくれたお客さんとかに、"あぁ、そういう曲なんだな"って知ってもらえるチャンスでもあるかなと思って。弾き語りでのライヴはちゃんと喋るようにしています(笑)。

橋本:素晴らしい。喋るの苦手だから、どうしていいかわかんなくなっちゃう。相づちがないと喋れなくなっちゃうから。それができたら弾き語りはすごく貴重な時間になると思います。

-最後におふたりの今後の活動やリリースについてお聞きします。藤巻さんはちょうど"マイナビ農林水産ジョブアス"のCMで、「千変万化」という新曲が流れていますね。

藤巻:まだ15秒版、30秒版でしか曲は公開できないんですけど、こだわってるひとつは山梨と言えば桃とブドウが有名で、今最盛期なんですよ。実家で作ってて。

橋本:え?

藤巻:農家の長男なんです(笑)。継がずにミュージシャンをやっているんですが。

橋本:藤巻農園みたいな感じなんですか?

藤巻:出荷をしています。小さい頃から親の仕事を見ながら育って、桃畑やブドウ畑しかない場所なんですよ。だからこの景色を僕が残したいっていうか、農業をやってるわけじゃないんだけど応援したい気持ちもあって、農林水産業を応援するCMの曲を作らせてもらったんです。

-その曲のタイトルが"千変万化"。移りゆくけどそれを生かして作るみたいな世界じゃないですか?

藤巻:今、時代が目まぐるしいじゃないですか。人間の感性がついていけないぐらい目まぐるしいけど、やっぱり変化していくなかでも農林水産業の重要性は絶対変わらない。さっき橋本さんの話ですごく強いなと思ったし素晴らしいなと思ったのが、キャリアの中でAかBか、どっちに行ったらいいんだみたいな迷いはたくさんあったと思うんだけど、楽しいほうに、自分がワクワクするほうの道を選んでこられたって話をされていて。決めていくのは自分なので、千変万化していく世の中だけど、大事なものを見失わないでいけたらいいなって思いで作った曲なんですけど、今日改めてそうだなと思いました。

-フル尺をお待ちしております(笑)。橋本さんは秋に「宝物を探して」のリリースと初のツアー("燃やして探してツアー 2022")もありますね。

橋本:はい。すごく久しぶりのツアーなので楽しみです。めっちゃ久しぶりです、本当に。

-"日記を燃やした"あと"宝物を探して"っていう繋がりがいいですね。

橋本:ちょっとね、嫌な気持ちというか、つらい気持ちになることが多かったじゃないですか、最近本当に。だけどそんななかでも私は特に、つまんない気持ちもメロディに乗せて歌ったら、予想外の響き方をするなって常々思ってて。それってまさに今、探してる感じがするから、"宝物を探して"はそういうタイトルですね。いいツアーになればいいなと思ってます。


EVENT INFORMATION
"Mt.FUJIMAKI 2022"

10月1日(土)、2日(日)山梨 山中湖交流プラザ きらら
10月1日(土)出演者:奥田民生 / 岸谷 香 / 竹原ピストル / 中島美嘉 / 橋本絵莉子 / 藤巻亮太(acoustic)
10月2日(日)出演者:真心ブラザーズ / MONGOL800 / Salyu(×salyu) / 小山田壮平 (band set) / Saucy Dog / 藤巻亮太(band set)
チケット一般発売中

橋本絵莉子
TOUR INFORMATION

"橋本絵莉子「燃やして探してツアー 2022」"
10月17日(月)大阪なんばHatch
10月22日(土)愛知DIAMOND HALL
10月27日(木)東京EX THEATER ROPPONGI
■チケット一般発売:9月17日(土)~
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