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INTERVIEW

Japanese

CULTURES!!!

2022年06月号掲載

CULTURES!!!

Member:佐藤 駆(Vo/Gt) 梅本 聖(Gt/Cho) 田櫓 聡汰(Dr/Cho) 横山 公紀(Ba/Cho)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

自分たちでも繰り返し聴けるほどいいアルバム―― 4人の音が1本になる瞬間が今は気持ちいい


-なるほど。改めて、どんなアルバムになったと思っていますか?

梅本:今回コンセプトというほどじゃないんですけど、海外っぽさであったり、海岸線沿いの景色であったりをイメージして作ってみようというのが、僕の中でうっすらあって。今まではすごく鬱々とした曲とか、すごく明るい曲とか、振り切れていて尖った印象があったんですけど、そうではなくもっと素直な気持ちの部分、真心のようなものが見えてきたなぁと思っています。これは聴きやすいし、いい印象だし、自分たちにとっても嘘じゃないし。自分たちの作品にCULTURES!!!の新たな一面を教えてもらったような感覚です。だから、このアルバムを作ったことによって、かなりプラスの方向に変わっていけたのかなと。

横山:いいアルバムになりましたね。CULTURES!!!のいろいろな面が見せられるアルバムになったんじゃないかと。

佐藤:"今のCULTURES!!!はこれです"というアルバムだよね。

田櫓:うん。もちろんどれも自分たちの曲なんですけど、今までとはちょっと雰囲気が違うから、フレッシュに感じるというか。特に「サマータイムメモリー」や「君の隣」は自分たち自身でも新鮮に感じるんですよね。さっきWEEZERの名前も出ましたけど、『Dreamers Blues』のレコーディング中に、(スタッフから)"CULTURES!!!には海外のパワー・ポップ・バンドのイメージも合いそうだよね"という話をいただいたので、そこからそういう音楽を聴くようになったんです。そしたら、みんなその系統のバンドが好きになって。好きな音楽が変わっていったから、作る音楽も変わっていったのかなと思いますね。

-なるほど。

梅本:それで言うと、1曲目の「サマータイムメモリー」が顕著だと思います。1曲通してリフが続くんですけど、今まではここまでリフで引っ張っていく曲はあまりなかったので。歌の隙間に入ってくるフレーズの感じが若干変わってきているのは、さっきやぐら(田櫓)が話していたような、インプットの違いによって生まれたものかもしれないです。

-そうなると、演奏していて気持ちいいと感じるポイントも変わってくるでしょうね。

佐藤:そうですね。今までは、バッキング・ギターがあって、リード・ギターが上で鳴っていて......とそれぞれのフレーズがバラバラにある感じだったんですけど、今回の曲は、4人の音が1本になる感じがする瞬間があって。それがすごく気持ちいいです。

横山:今回のアルバムの曲はまだライヴではやっていないんですけど、ライヴもすでに変わってきていて。今までは最初の一発目さえ合っていればそれでいいという感覚があったんですけど、最近は演奏中ずっと歯車が噛み合っているような感覚があって、それが心地よく感じるというか。

佐藤:わかる。

横山:リズム隊はお互いをよく見て合わせられるようにもなったし、そういう気持ち良さがありますね。

田櫓:あと、今まではライヴ中、お客さんからの反応が気になっていたんですよ。手が上がっていなかったら"今あんまり良くないのかな?"と思っちゃうとか。だけど今は、曲の良さがちゃんと伝わっているかどうかが一番気になるというか。いい意味で内向きになっている感じはしますね。

-歌詞についても聞かせてください。佐藤さんの歌詞からは"ありのままでいい"、"そのままでいい"といったメッセージが伝わってきます。逆に言うと、そうすることができない自分がいるのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

佐藤:間違いなくそうですね。人からどう見えているのかはどうしても気になっちゃうので......誰かにそう伝えつつ、自分にも言っているんだと思います。そのうち解脱できるかなと思っているんですけど、今のところ、まったくそんな兆しはないです。

-解脱できそうにないにしても、そういう曲を歌い続けていくなかで、ご自身の中で心境の変化はありましたか?

佐藤:ありましたね。歌っていることはずっと変わっていないと思うんですけど、若い頃は根拠が虚勢だったと思うんですよ。"ありのままで"と言いつつ、強い自分を想像して、それがありのままだと思い込むようなことをしていたというか。自分はナチュラルボーンで強い人間なんだと思い込んでいた節があったと思うんですけど、今は、自分は大した人間ではないんだと思えていますね。別にそれは悲観しているというわけでもなくて。わざわざ強がる必要はないのかな、このままでも別にいいし今楽しいし、と思えています。ライヴでも前よりは気張らずに......そう、僕は文字通り肩の力がずっと入っていたんですよ。

-本当に身体に力が入った状態でステージに立っていたと。

佐藤:はい。それで最近、"きちんとした姿勢で立つと、身体の力って全然入らないんだ"と気づいて。フィジカルはもちろん、メンタルも同じだと思うんですけど、きちんとした姿勢で立てば余計な力は要らないんだということを最近実感しています。

-私、今回のアルバムから、"自分を大きく見せたい"とか"カッコ良く見せよう"という意識をあまり感じなかったんです。曲を良くするという共通の目的を見据えつつ、4人とも等身大でそこにいるイメージ。佐藤さんの言葉をお借りすると、それこそ今作は"きちんとした姿勢で立っているから余計な力は必要ない"というアルバムな気がします。

佐藤:あー。

-そういう音が鳴っているし、そういう言葉が歌われている。言葉と音を作った人は違うから、バンドとしてそういうモードなのかなと。

佐藤:たしかに。めっちゃ結びついてる。

梅本:面白いですね。全然気づかなかったですけど、まさにその通りだと思います。

佐藤:そういう話し合いをしたわけではないんですけど、たしかに、そういうアルバムになっていますね。そう考えると、僕らも歳を重ねたのかなって。まぁ、歳をとったなぁって、あんまり思いたくないですけど(笑)。

-リリース後には全国ツアーをまわるんですよね。

佐藤:はい。自分たちでも繰り返し聴けるほどいいと思えるアルバム、好きな曲たちができあがったので、その良さをみなさんにも伝えられればと考えていますし、ツアーを経てひと回り、ふた回りと大きくなって帰ってこられたらと思います。今はとにかくこのアルバムを聴いてほしいですね。いいものができたので、ぜひ。