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INTERVIEW

Japanese

BüG-TRIPPER

2021年12月号掲載

BüG-TRIPPER

メンバー:Kota Ibuka(Vo) Yuki Hidaka(Gt) Kento Nakashima(Ba) Tsukasa Matsukawa(Dr)

インタビュアー:秦 理絵

ロック・バンドへの夢をあきらめられず、再びゼロから歩き始めた4人がいる。元バンドハラスメントのKota Ibuka(井深康太)を中心に、過去に一度バンド活動から離れた経歴を持つメンバーで結成されたロック・バンド、BüG-TRIPPER(バグトリッパー)だ。今年1月に「Beat」のミュージック・ビデオで始動した彼らは、2月に渋谷clubasiaで結成を記念した初主催ライヴを開催。東名阪ツアーや自主企画対バンを経て、8月31日には初のワンマン・ライヴも行った。猛スピードで成長するBüG-TRIPPERが早くも完成させたデビュー盤が『TOY BOX』だ。それぞれ異なる方向に舵を切った全6曲は、彼らが決してひとつの枠にとらわれないことを物語っている。再びロック・シーンに戻った4人の想いとは。メンバー全員に初インタビューを行った。


喜びをわかち合えるバンドが良かったんですよね。隣でメンバーが"俺、このステージに立ってるわ"って震えてるのが見たいので


-まず、バンドを始動させた経緯から聞かせてください。

Ibuka:最初から新たにバンドを始めようって決まってたわけじゃなかったんです。ソロか、バンドか。とりあえず音楽をやろうとは思ってはいたんですけど、あんまり表に出る気はなくて。音源を作ってネット上であげていこうかなって思ってたんですよ。

-顔出しをしないで、いわゆるネット・シーンだけで活動していくような?

Ibuka:そうです。まさにそんな感じで活動しようと思ってて。どっちにしろ曲を作らなきゃってなったときに、誰か一緒に作るメンバーが欲しいなっていうことで、知人から紹介してもらったのがYukiだったんですよ。で、話をしてるうちにお互いに"あれ、これ一緒にやったほうがいいんじゃね?"的な流れになって。

-バンドを組んだほうがいいんじゃない? って。

Ibuka:はい。彼も、バンドをやるつもりがなかった人間だったんですけど。音楽を作っていくうちに、それがバンドである必要があるなって。メンバーを集め始めました。次に入ったのはドラムのTsukasaで。Yukiがもともと働いてる職場の生徒だったんです。ドラマーに関しては募集もしたんですけど、その中で比べてみても、やっぱりTsukasaに魅力を感じたのでお願いをしました。

-ベースのNakashimaさんは?

Ibuka:Kentoに関しては、僕が高校の同級生で初めてバンドを組んだメンバーだったんですよ。友達なので、東京から地元の岐阜に帰るときによく飲みに行ってたんです。そこで"新しくバンドを始めるんだよね"っていう話をしてて。(Nakashimaは)就職してたので、ただ"やるよ"っていうことだけ伝えてたんですけど、僕が(東京に)帰って1週間後ぐらいにメッセージが来たんです。"ちょっとバンドをやりたいわ"って。"お前、就職してんじゃない?"って言ったら、"いや、辞めて行くわ"って言ってくれたので、その覚悟は確かだなぁと思って受け入れて、今の4人になった感じです。

-それぞれ加入したときはどんな心境だったんですか?

Hidaka:今だから言えるんですけど、当時(Ibukaが)バンドハラスメントのメンバーだったって言われても"誰?"って感じで。でもすごく仲のいい知人の仲介だったので、とにかく会って話をしてみたら、すごく面白くかったんです。音楽にいろいろな可能性を感じたっていうか。だんだん人間的にも惹きつけられて。で、ある程度、仕事以外の話もできるようになったぐらいのタイミングで"お茶に行こう"って誘われて、そこで"バンドやろう"って言われたんです。

-一緒に活動を始めてから何ヶ月後ぐらいだったんですか?

Ibuka:いやいや、全然そんなに経ってないですよ。

Hidaka:初めて顔を合わせてから1週間ぐらい。

-そんなに急ピッチだったんですね。

Ibuka:僕が直感型の人間なんですよ。やると決めたら突っ走っちゃうタイプなんです。あのときも、ソロでやんの違ぇなっていう直感があって。しかも、そんなに時間があるわけではないって思ってるので。やるんだったら早く集めないとっていう感じでした。

-Matsukawaさんは、Hidakaさんとは生徒と先生の関係だったと。

Hidaka:Kotaと初めて会ったとき、僕が専門学校の先生をやっていて、(Matsukawaは)初めて見送った生徒なんです。いい学生だなって、とにかくずっと記憶に残ってたんですよ。

Matsukawa:僕は専門学校を卒業してからは(音楽から)離れてたんですよ。で、就職してから半年経たないぐらいのときに(Hidakaから)連絡が来て。当時はバンドハラスメントも知らなかったし、"別にいいかな"って何回か断ってたんです。

Ibuka:そうだね、最初は断ってたね。

Matsukawa:でも、やっぱり何回かお誘いがあると気になっちゃって。KotaさんのことをTwitterで探して動画を観たら、すげぇいい声を持ってる方だなと思って、そこから逆に意識をするようになっちゃったんです。

Ibuka:気持ち悪っ(笑)。

Hidaka:片思いだ。

-ずっとフってたのに途中から逆に好きになっちゃった、みたいな(笑)。

Matsukawa:そうです。そしたら最後の最後にKotaさんから直で電話をいただきまして。(メンバー募集のオーディションを)受けるだけ受けてみようっていう感じでしたね。

-会社を辞める怖さはなかったですか?

Matsukawa:正直、不安も怖さもあったんですけど。もう一度やる価値があるっていうか。この人となら上を目指せるなと思えて。そう思えること自体がなかなか人生にないことなので、チャレンジしてみようと考えましたね。

-最後に加わったNakashimaさんは自分から加わったんですよね。

Nakashima:はい。当時は岐阜で働いてたので、やるってなると上京しなきゃいけないし、正直めちゃくちゃ悩んだんですけど。やっぱり音楽をやりたいっていう気持ちがずっとあったり、僕は学生時代からIbukaの活動を見てたので、応援してる気持ちもあったりしつつ、心のどこかでずっとうらやましさもあったんです。で、Ibukaと飲みに行ったときにそういう気持ちが強く出てきて。それで僕から連絡を取った感じですね。

-Ibukaさんがメンバーを集めるときに、現役のミュージシャンで固めることもできたと思うんですけど、あえて一度離れた人たちを集めたのには何か想いがあるんですか?

Ibuka:おっしゃる通り、最初からプロのメンバーも集められたと思うんですけど。つまんないと思っちゃったんですよね。ゼロから何かを追おうとしてるのに、最初から保険を掛けてるようで嫌だなって。そういうプロの人たちと将来デカいステージに立っても、"立てて当然だよね"っていう状況になってしまう。それよりかは純粋にこのバンドとしてゼロから何かを作り上げることに価値があるなと考えてて。バンドに限らず、何か夢を追ってたけど、1回区切りつけて働いてるとか、そういう人たちって世の中に溢れてると思うんです。そんな人たちにも、"いつからでも遅くないよ"ってメッセージを伝えられるというか。僕らがそれを体現することで少しでも希望になれたらと思いますね。

Hidaka:一回一回のライヴに対して一緒に悩んでくれたり、一緒に喜んでくれたりする人がいいっていうふうに、Kotaは常に言ってくれるんですよ。だから僕らも帰りの車で発狂するぐらいに悩んだり、喜んだりしながら活動をやらせてもらってます。

Ibuka:喜びをわかち合えるバンドが良かったんですよね。隣でメンバーが"俺、このステージに立ってるわ"って震えてるのが見たいので。

-じゃあ、バンドを組むって決めてから猛特訓ですか?

Matsukawa:そうです。僕は最初のスタジオとかで一切叩けなかったですから。

Hidaka:最初はそうやったな。ブランクをめっちゃ感じたな。

Matsukawa:ひたすら昔の感覚を取り戻せるようにがんばりました。

Nakashima:最初らへんは死に物狂いでやってましたね。

-逆にHidakaさんは、音楽活動自体は続けていたからスムーズでしたか?

Hidaka:いや、サポート・ミュージシャンとして求められることをやるっていう状態だったので、意識は違いました。バンドってなるとやっぱり自分らしさや、Ibukaらしさ、Nakashimaらしさ、Tsukasaらしさを引き立ててあげるようなギターを弾かなきゃいけない。BüG-TRIPPERのギタリストのHidakaって仕事もしなきゃいけないというのを、すごく考えましたね。だから僕もバンドとしてはゼロからのスタートだったんです。

-さっき"将来デカいステージに立ったら"という言葉もありましたけど、今の時点でそこまで見据えているんですね。

Ibuka:せっかくやるなら武道館には立ちたいですよね。僕はイメージできてないと叶わないと思ってる人間なので、逆にイメージできてることは努力次第で叶うと思ってるんです。そのために今何をしなきゃいけないんだろうって動いてる感じですね。

-会場の目標とは別に、目指したいバンド像はありますか?

Ibuka:世間の今のブームに寄せると、もちろん売れるスピード感はあると思うんですけど、それって本当の意味で届いてるのかなっていうのは考えますね。逆に下地をしっかり固めたほうが、後々どんなことがあっても崩れることはないのかなって。パンッて出てパンッて終わる人たちもいっぱい見てきましたし、そうやって消費されることで空しくなりたくないって気持ちもあるので、信念を持ってやれることをやっていきたいなって考えていますね。とにかく今やるべきことはバンドとして音楽を届けることかなって。