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INTERVIEW

Japanese

BüG-TRIPPER

2021年12月号掲載

BüG-TRIPPER

Member:Kota Ibuka(Vo) Yuki Hidaka(Gt) Kento Nakashima(Ba) Tsukasa Matsukawa(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-「余滴」もいろいろなジャンルの要素を感じる曲ですね。最初は仄暗いエレクトロ・ポップだけど、どんどんエモーショナルなロックに変わっていって。

Ibuka:これは、雨のときに窓を開けて外をぼーっと見てる瞬間があって。そんなときに心に沁みる音楽があったらいいなっていうので作り始めたんです。曲のテーマは水ですね。その水がどれだけ澄んでいるかを、声や、曲調で表したいなと思ったんですよ。

Hidaka:この曲が一番大変でした。"水の中にいるような感覚だけども、透き通ってほしい"って言われて。

Ibuka:この曲はめっちゃ要求しましたね。

Hidaka:デモの段階からKotaがほぼ完成形に近いものを作り終わってたんです。そのときのギターの音がもうギターの音じゃないっていうぐらい、シンセサイザーに近いサウンドになってて。それが肝だったんですよ。そのギターの音のインパクトが強すぎて、それ以外に合う音を探すのが大変で。久しぶりにパソコンのデータを全部ひっくり返しました。

Ibuka:すごく繊細な曲なんですよね。ひとつが崩れたら全部が崩れちゃうっていう。

Hidaka:でもこの繊細さがBüG-TRIPPERなんだなと思いましたね。

-これは大切な人がいなくなってしまった曲ですか?

Ibuka:そうですね。......これ言わないつもりだったんですけど、「アキカゼ」っていう曲のアフター・ストーリーなんですよ。

-あ、そうなんですか。「アキカゼ」のほうも別れの曲ではあるけど、ふたりで過ごした時間を胸にしまって立ち直ろうとしてるから、繋がるのは意外です。

Ibuka:そうですね。「アキカゼ」はフィクションではあるんですけど。恋愛って仲が良くても別れなきゃいけない事情があったりするじゃないですか。死別とかもそうですけど。そういう好きでも別れる瞬間を描いたのが「アキカゼ」ですね。ただ、別れて悲しいだけじゃなかったっていうところを描きたかったんです。ふたりが出会って楽しいこともたくさん共有してきて、喧嘩もして。それは別れても真っさらになるわけじゃないよねって俺は思ってるので、それを"七つの色"であったり、"イチョウ"の葉だったりに乗って想いが運ばれるっていう言葉で表しています。死別とか、悲しい前提ではあるんですけど、あの子の分もしっかりと生きなきゃとか、前向きに捉えようとしてる主人公を描いてるんです。

-ええ、そういうものとして受け取りました。

Ibuka:で、僕が雨を見ながら思ったのが、心の弱い部分ってひとりになった瞬間に溢れ出ることがあるなということだったんですね。"余滴"って雨が降ったあとにぽたぽた落ちるもののことを言うんですけど。雨が降り終わってしばらく経ってぽたっと落ちる。その感じが、泣き倒したあとにまだ残ってる気持ちに似てるなって。やっぱり悲しいなとか、もっと一緒にいたかったなとか。そういう隠してた感情を「余滴」で表してるんです。

-「余滴」もそうですけど、Ikukaさんの歌詞は"孤独"と向き合うようなものが多いなと思いました。それが曲を作るうえでの原動力になっているところはありますか?

Ibuka:たしかに、そうかもしれないです。もちろん周りに友達もたくさんいて、支えてくれる人もいて、メンバーもいて、人から見ると決して孤独な人間には見えないとは思うんですけど、人がいるから孤独じゃないっていうのは僕の中では全然違ってて。孤独って、人がいるから感じるものなんじゃないかなと思うんですよね。もともと僕はサッカーをやってて、アスリートの友達もいるんですけど。そいつらって学生の頃から飛び抜けてるから、みんなに"すごいね"って言われるんですよ。それが逆にすげぇ孤独に感じる瞬間だったりする。誉め言葉なんですけど、どこか一線を置かれているような。一緒にワイワイしたいのに、なぜか自分だけそこにいないような感じがしちゃって。僕もそういう孤独を感じて生きてきたので、今言われて、たしかになって思いましたね。

-だからこそ、楽しいことも悲しいこともちゃんと共有できるメンバーとバンドを組みたかったのかもしれないですね。

Ibuka:そうですね。必然的にそうだったんだと思います。

-最後の「Faint Light」と「バグトリッパー」は疾走感のある剥き出しのロックで、自分たちはこんなバンドなんだというのをストレートに歌っていますね。

Ibuka:やっぱり僕らはバンドが好きなので、こういう曲をやりたいんですよね。僕らが憧れてた世代のバンドの音楽って、自分たちの楽器だけで成り立ってるんですよ。あんまりシンセとか入れずに。そこに心を揺さぶられる部分があるんです。ちょっと不安定というか、すべてができあがりすぎてない。そういう曲も好きだったりするから、僕らなりにストレートに何かを伝えられる曲を作りたくて作ったのがこの2曲なんです。

Matsukawa:こういう曲って、聴いてくれる人にも、直で音とか想いが伝わりやすいのかなと思うんですよ。この2曲に関してはドラムも一発一発に想いを込められるぐらいストレートに叩いていて。自分でも気持ちが熱くなれる曲だなと思います。

-「余滴」なんかと比べると、曲作りもスムーズでしたか?

Hidaka:あ、そうですね。「バグトリッパー」に関しては......。

Ibuka:1日ですね。

Hidaka:時間に換算すると、2~3時間で完成してる。

Ibuka:どういう曲を作ろうかって悩んでる時間が長くて。これだって決まってからはマジで速かったです。「バグトリッパー」っていう曲を作り出した経緯としては、僕らは"BüG-TRIPPER"っていう名前でバンドを始めたけど、まだバンド名に込めた意味とか、どういうヴィジョンを描いてやっていくのかっていうことを、伝えきれてないなと思ったんですよ。それを歌にしたいっていうところがあったので。旅っていうイメージとか、これからに希望を持てるようなアレンジをすごく意識しました。

-改めて"BüG-TRIPPER"というバンド名はどういう想いで付けたんですか?

Ibuka:響きで選んだ部分はあるんですけど。Bが男の子、Gが女の子を表してて。

-BoyとGirl。

Ibuka:その真ん中のüがにっこり笑ってる。将来でっかいステージに行ったときに、男とか女とか入り乱れてるような会場で、笑顔のあなたさえいてくれたらいいなっていう。そういう全員を引き連れて旅をしたいってイメージで付けました。僕らのヴィジョン的にはいつか旅行会社的なツアーをしたいんですよ。だから、すべてのツアー・タイトルに"プラン"っていう言葉を付けてて。その会場に来てくださいってだけじゃなくて、好きな人たちで一緒にバスで移動するというか、お互いに同じ音楽を好きだって言い合える人たちで旅をしたら面白いんじゃないかなと。

-なるほど。

Ibuka:あとは、"TRIPPER"って観光客って意味もありますけど、つまずくっていう意味もあるんですよ。それって人生っぽいなって思ったんです。旅の中でつまずいて、でも楽しい瞬間もあって、いろいろな景色を見たくて。そういうこのバンドとしてのヴィジョンが詰め込まれたのが、"BüG-TRIPPER"って名前なんです。

TOUR INFORMATION
1st MINI ALBUM 『TOY BOX』
RELEASE TOUR 2021
~初期衝動パッキングプラン~

12月2日(木)Shibuya eggman
w/ VOI SQUARE CAT / Bentham
12月16日(木)岐阜 柳ヶ瀬ants
w/ THREEOUT / Mez-zo-forute
12月17日(金)大阪LIVE HOUSE Pangea
w/ ALL iN FAZE / Mr.EggPlant
12月24日(金)名古屋ell.FITSALL
w/ Pulse Factory / リアクション ザ ブッタ
OPEN 18:00 / START 18:30

[チケット]
前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500(D代別)
■一般発売中
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