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INTERVIEW

Japanese

まなつ

2020年06月号掲載

まなつ

Member:いたやボーイ(Ba/Vo) アリー(Gt/Cho) ほたて(Dr/Cho)

Interviewer:石角 友香

トレンドを飛び越えて、3人のメンバーのある種マンガっぽいキャラクターの強さにドーン! とやられる。まなつはそんなバンドだ。オーセンティックなR&Rやメロコア、ポップ・パンクな演奏の上に乗る歌詞は正統的な日本語ロックの叙情をも醸し出す。つまり、ロックンロール・バンドが未だ奇跡的に自由で、青春感を表現できることに感銘を受けてしまう、そんなバンドなのだ。目下2月から3ヶ月連続でデジタル・シングルをリリース中で、今年中に世に出る予定の1stフル・アルバムも制作中。東京郊外の町田から、マイペースにオリジナルな磁場を作り出す凸凹3ピースに初インタビュー。果たしてどんな3人なのか?


仲良し混成バンドみたいなの嫌いなんですよ。3人だけのほうがキャラがあるし


-まなつは3人のキャラクターが立ってますね。バンド名も意表を突く名前だし。

いたやボーイ:あんまり意味はなくて(笑)。この人(アリー)がくるりを好きで、そういうひらがな3文字がいいねって。最初はひたすら8ビートでひたすら3コードみたいな曲ばっかりやっていて、単純な音楽だったんで、名前も単純にしようっていう理由ですね。

-(笑)いたやボーイさんとアリーさんで結成したのが2015年ですか?

いたやボーイ:そうですね。僕はライヴハウスによく通ってて、好きなバンドを観に友達とかとよく一緒に行ってたんですけど、そのときにライヴハウスを出た向かいのラーメン屋で友達とラーメン食べてたら、友達の知り合いが食べにきてて。"なんだこいつ?"と思ったんですけど、それが最初ですね。

アリー:僕も"なんだこいつ?"と思ったんですけど、そっから"バンド組むか"ってなって今に至る感じですね。

いたやボーイ:僕は本厚木のThunder Snakeっていうライヴハウスでバイトしてて、そこで組んではやめ、組んではやめを繰り返してて。

-すごくレペゼン町田感が出てるんですけど、町田界隈のバンド・シーンってどんな感じなんですか?

いたやボーイ:実は町田で活動してるバンドは多いんですけど、シーンが全然根づいてなくて、それより全然、八王子とか厚木のほうが、高校生が憧れてる地元バンドがいて、シーンがあるんです。町田ってジャンルもやってる人もバラバラで、あっちゃこっちゃでやっては町田に帰ってくるみたいな。

-じゃあ、あくまでも"町田在住"ってことなんだ。ほたてさんが入ったのは?

アリー:2年経ったぐらいですね。

-3人になってフル・アルバムもミニ・アルバムもリリースしてきていますが、基本シンプルなロックンロールで。いたやボーイさんとアリーさんのルーツって?

いたやボーイ:共通で言ったらザ50回転ズ。それがたぶん一番バンドの軸になった。それが核になって、それ以外は全然バラバラですね。

-たしかにメロコアとか、ポップ・パンクもあるけど、根本にはオーセンティックなロックンロールがあるのかなと。

アリー:そうですね。ロックンロールは好きです。

いたやボーイ:メロコアはここ(ほたて)が。

ほたて:SHANKとか、Hi-STANDARDとかをよく聴きます。

-クレジットはバンド名義ですけど、楽曲はどうやって作ってるんですか?

いたやボーイ:最近はちょっと変わりましたけど、ほとんど僕がメロディとコードだけ持ってって、とりあえずワンコーラスだけ作ってってことが多いですね。最近はアリーさんがコードとメロディを持ってきて、それを僕が練り直すみたいなのが多いです。

-曲として完成度が高いというか、いろんな音は入れていないけど、コード進行や展開、メロディがポップなので、覚えちゃいます。

アリー:それが一番嬉しいですね(笑)。

-まなつみたいなバンドっていそうでいない。

アリー:ここ最近そういうことを言われるようになったかな。『ファンファーレがきこえる』(2017年リリースのフル・アルバム)の前にもデモとかはあったんですけど、早けりゃいいみたいな感じで、もうコードは少なめ、ビートは早め。で、うるさければうるさいほどかっこいいみたいな感じだったんですけど、そこからちゃんとアルバムを出すにあたって、普通のポップ・ソングみたいな感じもいけるなってなってからは、"まなつみたいなバンドいないよね"って言われるようになったと思いますね。

いたやボーイ:日本人っぽいっていう。僕がほとんど洋楽を聴いてこなかったんで、メロディに洋楽成分があんまりないんですね。それはレコーディングしててエンジニアさんにも言われたりします。そりゃあ日本人が聴けば邦楽の昔の感じを懐かしく感じる。たぶんそうだと思うって話をしてて。

-なるほどね。いたやボーイさんのヴォーカルが、だんだん素直でまっすぐな感じからシャウト&ソウルな感じになってきてるのは?

いたやボーイ:いろんなアーティストに影響を受けて(笑)。『夢でみたような』(2019年リリースの2ndミニ・アルバム)を作ってるぐらいからウルフルズ、トータス松本さんみたいな歌い方を意識するようになりましたね。どハマりしたんです。

-あとはサンボマスターやandymoriのニュアンスも少し感じます。

いたやボーイ:andymori、サンボマスターはドストライクの世代です。

-どういう部分に影響受けてると思いますか?

いたやボーイ:このへん(『ファンファーレがきこえる』)とかandymoriですね(笑)。めっちゃ言われました。だから、逆に離れようとしましたね。

-そして、ほたてさんが入って3ピースになって。3ピースへのこだわりってありますか?

アリー:でも、それこそandymoriやサンボマスターの影響はあるかもしれないですね(笑)。ザ50回転ズもそうだし。3ピースなんかかっこいいっていう脳みそはありました。

いたやボーイ:ほたてが入る前、ドラムも男の子だったら僕は4ピースも考えてて。結構自分がその頃ベース&ヴォーカルに限界を感じ始めて、"ベース弾きたくねぇ"と思ってたんです。でも、女の子が入ってきてパッと3人並んだときに"あ、3人のほうがバランスいいな"と思って。仲良し混成ロック・バンドみたいなの嫌いなんですよ。それにジャケットをオークラ(ケースケ)君の絵にしたときもアニメ・キャラっぽいんですよね。ほたてありきの3人のキャラだと。

-アリーさんのルックスもいつの時代の人かわからないというか、往年のロックンロール・ギタリストっぽくて。

アリー:見てくれとか、ああいうのって生き様じゃないですか(笑)。っていうのは出せればなと思ってやってますね。僕、Johnny Thundersが好きでっていうか、真似してて。最初Twitterのアカウントは"アリー・サンダース"にしてるぐらい意識してやってました。

-そういうバランスだからこそ、面白いんでしょうね。リスナーは若い人が多いと思うんですけど、見る人によっては"あ、このバンドわかってるな"と。

アリー:そうなってくれたらめちゃめちゃ嬉しいですね。

-ほたてさんはまなつの前もバンドはやってたんですか?

ほたて:バンドはやってなくて、違うジャンルの音楽をやってました。クラシックをやってて、上京してもやってたんですけど、聴くぶんにはすごくバンドが好きで、久しぶりにライヴに行きたいなと思って調べてたら出会ったのがこのふたりでした。

いたやボーイ:打楽器集団にいたんですよ。でも、"今すぐやめろ。やめてこい"って言って。

ほたて:そこはすごく厳しくて、女の子が私ぐらいだったので、いじめがすごかったんです。でも、地元に帰れないみたいな気持ちもあって、そのときはライヴハウスにも行けない状態になってたんですけど、ベッドの中でスマホを見てたらふたりを見つけて"いいな、うらやましいな"と思ったんです。それで救ってもらいました(笑)。

-ほたてさんはまなつの何に惹かれたんですか?

ほたて:一番いいなと思ったのは"すごく自由やな"ってところ。おんなじぐらいの歳なんですけど、こんなに青春を謳歌してる人たちってまだ存在するんやって気持ちになって。

いたやボーイ:(ほたてからの)メッセージがすごく業務的な文で、スパムメールだと思って1週間ぐらいシカトしましたね。

-(笑)なかなか最強な3人って感じがします。

アリー:僕らからしたらわりと最弱ぐらいのイメージなんですけどね(笑)。3人ともめちゃめちゃ弱いし、これしかない人間だから。一個人としては弱いと思ってるんですけど、まなつは強いです。自信はありますね。

-オークラさんのイラストにしても、"こういうふうに描きたい"と思わせるものがあるというか。アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)と中村佑介さんの関係を思い出させます。

アリー:もうほんとに目指すはそこだって話をしていました。これだけは続けていこうねってことはチームを組んだときに言っていただいて。