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INTERVIEW

Japanese

熊川みゆ

熊川みゆ

Interviewer:石角 友香

-「夜の舞踏会」はまたタイプの違う曲で。これはどういう作り方をしたんですか?

これはちょっとかっこいい曲作りたいなっていうのが最初で。で、どういう曲にしようかな? と考えて、恋の歌にしようと思ったんです。かっこいい曲って言ったら、夜のイメージがあって、舞踏会に行くっていうのもいいなと。この曲、最初はシングルで出すっていう感じはなくて。というのも私の中ではもっとディープな感じの、夜というか、ちょっと危険な感じの舞踏会にふたりでこっそり行くみたいなイメージがあったので、シングルになると、みんな表題曲を聴くじゃないですか。こっそりにしようと思ってたのにバレちゃうみたいに思ってしまって(笑)。でも最後にラテンぽい、自分でかっこいいと思える曲を出せたのは良かったと思います。

-歌詞にユーモアがあって。"お酒はno no/20歳になってからね"みたいな、部分部分にクスッと笑えるところが。

(笑)

-あとはヴォーカルの高低差が自然で聴いてて気持ちいいです。日本語と英語の切れ目のない繋がりは最初になんちゃって英語で作るとおっしゃってましたが、それが功を奏してるんですかね。英語と日本語に違和感がないので。

それもあると思います。最初に英語の曲として考えるのはやっぱり違和感がないかなと思います。

-あと、メロディと転調が好きなのが「Blue Bird」で。この"青い 青い"のところいいですね。

あぁ~、嬉しいですね。そこはちょっと爽やかというか、パって変えたいところはありました。

-しかも、この曲のアレンジはちょっとトロピカルハウスっぽいというか、EDM的なアプローチですね。最初からこのアレンジなんですか?

いや、GarageBandで私が作ったときは全然違って。1番はアコースティックな感じで、2番からどんどん盛り上がっていくっていうのは同じだったんですけど、アレンジャーさんに頼んだことでもっと深みが出たというか、それこそEDMっぽいというか。さらに鳥が飛んでいくようなイメージができるようなアレンジになってて、良かったなと思いますね。

-生音でそういうふうに構築していくのが今っぽいなと。でも真ん中には熊川さんの歌があるし。聴き疲れしない。でも盛り上がる。

あぁ、超嬉しい。

-アレンジャーさんと話しながらやるのは、ひとりで作ってたときとは違うけど、どうですか?

会話をして一緒に作り上げていくというよりは、私の場合はGarageBandである程度、自分のイメージをもう注いで(笑)、アレンジャーさんに"私はこういうイメージです"っていう感じで託す! とみたいな、話すというよりはデモで伝える感じなんです。

-そして、ラストの「わたしね、、」の歌詞が独特だなと思ったんです。"伝えられないままの黒"の"黒"。色に例えるところが面白くて。

色で例えるのすごく好きですね。この曲を作ったぐらいから、曲にもそれぞれ色があるなと思うようになって。感情とかもそうですけど、色で表現すると視覚として音を伝えられるなと。

-たしかに"黒"って言われると誰でも思い浮かべるものは一緒だから。

サビの前にパッ! て、真っ暗になるようなイメージで、コードもそういうイメージで作ったので、そこからサビでちょっと広がっていく感じというか。ちょっと暗すぎるかなとも思ったんですけど、"黒"にしました。

-"伝えられないままの黒"ってないじゃないですか? 黒い感情とかじゃないのが面白いなと。

うんうん。黒い感情とかだったら自分の黒い気持ちなんですけど、私のイメージだったら電気が全部消えちゃうような"黒"。どうすればいいのかわからないって感じをスパッとBメロの最後に出したかったというのはあります。

-この"黒"もなんですけど、この曲の主人公は伝えたいことがあるんだけど、最適な言葉がなかったら言わない感じですね。

そうですね。私もそうかもしれないです。

-一番大事な言葉が言葉にできないんだったら、同じものを見た気持ちになろう、とか?

うんうん。そうですね。言葉も大事だと思うんですけど、誰かと過ごすこととか、一緒に景色を見るとか、そういう色のイメージ。言葉だけじゃない、その繋がりっていうのを歌詞にしたかったっていうのはあるかもしれない。

-例えば、友達とか恋人とかでもいいですけど、一緒にしんどい思いをしたとか、めちゃくちゃ寒いところにいたとか。

同じ場所で同じ時間を過ごすと、長ければ長いほど深いものになるし。お互いの中身をわかってなくても、一緒に見た景色が同じなら、そういうのを別に知らなくてもいいんじゃないかなとか、そういうことを思ったりします。

-それって音楽も最たるもので。同じライヴを観るのもそうですね。

うん。それこそライヴでパフォーマンスするっていうのも、観てくれる人の時間を使ってるわけで。一緒に同じ空間で時間を過ごせる。その人のことを知らなくても、私の作った曲とかパフォーマーの人が作った曲を通じて、一緒に想像することができる。お互いのこと知らなくても、お互いのことがわかるというか、そこで繋がっていける、そういう点ではやっぱりライヴってすごいなって思います。

-奇しくも熊川さんが言葉にするとちょっと違うなと思うこと自体が音楽なんでしょうね。

そうかもしれないですね。今納得する、みたいな(笑)。

-この「わたしね、、」は伝えたい、でも言葉にすると違うかもっていうのがすごいわかる。

たしかに、普段誰かに伝えられないというか、自分のこともわからない、でも外に出したい、表現したい"言葉にできないもの"があるときに音楽を作りたくなるので。そう思います。

-そして、ミニ・アルバムのタイトルは"ファンタズム"って言葉自体もあるんですか?それも空想とか?

空想の産物とかそういう意味で辞書には載ってたんですけど、この言葉は単純にかっこいい言葉だなと思ったのと、音楽を作るうえで、想像する、空想することがすごく好きというか、物語を音楽で紡いでいくことを大事にしてるので、聴いてくれる方も私が想像したものをまた違う見方で空想してほしいという思いでこのタイトルにしました。それこそライヴとかでも、想像、空想することで繋がったらいいなと。

-まさに。5月にはワンマン・ライヴ"First Live 「Phantasm 」~from Beginning of the story~"がありますね。

これまで、ライヴは弾き語りでサポートの方とふたりでやってたんですけど、今回は初めてバンド編成でのライヴなんです。ワンマン・ライヴは初めてなので、より多くの人に楽しんでもらえるように、まずは私のことを知ってもらえるように、素敵な空間にできたらいいなと思ってます。