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INTERVIEW

Japanese

ボンジュール鈴木

2020年01月号掲載

ボンジュール鈴木

Interviewer:吉羽 さおり

繊細なレースを重ね合わせたヴェールのように、クラシカルな厳かさとドリーミーで幻想的な音を幾重にも纏った、美しくエアリーなサウンドを作り出すボンジュール鈴木。普段は作詞作曲、アレンジやミックスなども自身で行う彼女が、TomgggやYunomiら気鋭のクリエイターとのタッグで生み出したのが、3rd EP『Sweetie Sweetie』だ。彼女の描く砂糖菓子のような甘美な世界観をモダンに解釈した作品となっているが、そこにはドキッとするようなめくるめく世界やむせ返るような甘さも、かわいらしさも毒っぽさも潜んでいて、音をめくるたびに魅惑的なウィンクを返されるサウンドになっている。ふんわりと美しく包まれたそのヴェールの向こうに、ボンジュール鈴木が秘めているものについて話を訊いた。

-今作は4名のアーティストやトラックメイカーが編曲に参加していますが、みなさん面識はある方なんですか?

Yunomiさんは以前一度作品でご一緒させていただいたことがあって、Tomgggさんはライヴやフィーチャリングで歌わせていただいていました。TAKU INOUEさんとJun Kurodaさんは初めましてでした。

-これまでは、こういったコラボというのは経験が?

いつもは自分ひとりで作詞作曲、ミックスやマスタリングまでという0から100までをやる作業をしていて、アニメなどでトラックメイカーさんの曲をフィーチャリングで歌わせていただく機会は何度かあったのですが、自分が作った曲を、トラックメイカーさんやアーティストさんに編曲だけお願いするということはあまりなくて、いつかお願いしてみたいと思っていました。特に、私は音作り的にファンタジーになりすぎてしまって、薄ピンクと薄紫っぽい、夢のような感じになってしまう傾向にあるので、それを個性的なトラックを作っていらっしゃるアーティストさんにお願いをしたときに、今までの自分とは違う意味での世界観を引き出していただけるのではないかと思いオファーさせていただきました。今回素晴らしい才能を持った4人のアーティストさんたちが素敵な編曲をしてくださって、とても光栄に思います。

-一番変化があって面白かったなというのは、どの曲ですか?

すべての曲が新鮮で、自分が表現できない未知な世界を作っていただきました。Tomgggさんは、ひとつひとつの音の粒がとても美しくて素晴らしい作品を作っていらっしゃる独特な世界観を表現されているアーティストさんで、もともと私がファンだったんです。数年前からフィーチャリング作品やライヴなどでもご一緒させていただく機会があり、Tomgggさんでしか表現できないとても美しく繊細で素敵な作品に仕上げてくださいました。

-Tomgggさんの「僕がいるよ」はすごく美しい曲ですよね。物語性がサウンドでも浮き上がってくるような曲になっています。Yunomiさんも面白いですよね。

Yunomiさんは、1小節でYunomiさんとわかる個性的で素晴らしいアーティストさんなのですが、持っていらっしゃるポップで圧倒的にかわいい世界観のカラーの中にも、心地いい私の空間も作ってくださり、とてもかわいいトラックを仕上げてくださいました!

-MVになった「Sweetie Sweetie」も面白い曲ですし。Yunomi&Jun Kurodaさんとの「Ding Dong」は、生楽器っぽさも生かしたファンタジックな曲ですね。

Yunomiさんのかわいい世界とJun Kurodaさんの繊細で絶妙な美しい音作りが重なり、大好きな曲になりました。おもちゃ箱の中にいるような不思議な感覚になります。この曲はあまり考えないで作ったというか......子供のときから作曲の勉強はしていたのですが、作る曲が3拍子や6/8拍子の曲なんですよね。

-自分が心地いいのがそのリズムなんですね。

一番自然にできる曲のリズムなんです。この曲も早くできちゃいました。日本じゃ売れないよって言われるんですけどね(笑)。

-そうですかね。

ただ、今回は今までよりも、J-POPのメロディを意識して曲を作りました。これまではトラックを作ってからメロディを作ることが多かったので、自分で歌う作品で日本的なコード進行を意識しながら考えて作ったのは初めてでした。どうしてもJ-POPをやってみたかったのもあったんです。自分の中で"J-POPできたー!"って初めに手応えがあったのは「Tululu」なのですが、ポップなメロディでかっこいいグルーヴ感の溢れる作品にしたかったので、どうしてもTAKU INOUEさんにお願いしたくて。初めましてだったのですがオファーさせていただきました。作っていただけてとても嬉しかったです。

-小さい頃から作曲の勉強をしていたということですが、どういう感じで音楽と触れていたんですか?

私は、母親が音楽をしている人だったので、小さいときから"音大に入りなさい"と言われてきたんです。母がヨーロッパ好きなので、海外でピアノの勉強ができるようにということで、フランス語とピアノはやりなさいと言われていて。

-英才教育だったんですね。

それでずっとやっていたんですけど、骨折をしてしまって。あまり手が動かなくなって、音楽もやる気がなくなっちゃったんです。それでピアノの先生に相談したら"声も変わっているし、音楽の仕事に就きたいなら音大じゃなくて、普通の大学を目指して自分で音楽をやってみたら?"って。"音大だけがすべてじゃないよ"と言ってくれたんです。そこで、あ、そうなんだって思って。

-小さい頃からその道に行くんだってインプットがあるわけじゃないですか。そこでケガをしてしまうって大きな出来事ですよね。

正直、ピアノは才能がないこともわかっていたので。実は安心した部分もあったというか、逃げ場ができた感覚がありました。

-それまで親の決めたことに反抗するようなことはなかったんですか?

ないですね。父も母もすごく厳しいようなお家だったので。でも、母も家の厳しさに耐えられなくって、ある日出ていってしまったのですが(笑)。反抗の仕方もわかりませんでした。でも抜け場所を探していて、留学すれば親の目が届かないと思ったので留学できるきっかけを探していました。親戚も海外の方が多かったり、父も海外での仕事をしていたので、父からの薦めもありあっさりと留学が決まり、初めて自由になれた気がして嬉しかったです。