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INTERVIEW

Japanese

HONEBONE

2019年04月号掲載

HONEBONE

Member:EMILY(Vo) KAWAGUCHI(Gt)

Interviewer:石角 友香

器の小さい人間がやってるバンドなので、日常にあるほんとのことを書こうかなと思いました


-そして今回のアルバム『13』では、1曲目を聴けば、もう何も聞く必要がないぐらい、曲が全部を説明してくれてて(笑)。これは最後に決めたんですか?

KAWAGUCHI:それは最初に決めてたんです。普通にお客さんの声というか"おしゃべりを入れてくれ"っていうのがあって、じゃあ入れようかって。

EMILY:いろんなパターンを用意して、ほんとに芸人さんにネタを考えてもらったりして。いろいろと試したんですけど、難易度が高すぎてやめて、自分らで用意したやつにしたんです。あそこも結構、協議の時間があったよね。"これはほんとに面白いのか?"とか、わからなくなったりして(笑)。でも、やっと1曲目に入れられたよね。前は最後の曲の冒頭部分ぐらいにしてたけど、ガッツリ入れたのは初めてで、それも込みでやりたいことをやってる感じです。

-きれいごとゼロみたいな感じで、こういう曲ばかり収録しようという気持ちはあった?

EMILY:いつもアルバムを作る近辺に、悲しい出来事や怒り狂う出来事とかが起こってたんですが、ありがたいことに今回はそんなことがなくて。で、アルバムを作るときに、"書くことねぇぞ"と思って困ったんですよ。私、器がすごく小さいし、自分のことをいつもそう思ってるんですけど、HONEBONE自体も器の小さい人たちがやってるバンドなので、そんな大きい出来事を書く必要もないし、日常にもうちょっと怒り狂うことがあるんじゃないか? と思って。そこで考えてみたら、よく行く韓国料理屋さんの歌も作りたかったなとか、東横線に住んでる人とは気が合わないっていうのも日頃から言ってたので、それも曲に入れてみようとか、スケールは小さくなったけど日常のほんとにあることを書こうと思ったんです(笑)。ただ、"そんなん誰が聴きたいんだ?"って気持ちもありました。

-でもバランスがいいですよね。「やっちゃった」は自己嫌悪というか、みんな本心を言ってないなとか、空気を読みすぎて自分で自分の考えてることがわからなくなるとか、そういうシリアスな面もあるし。

EMILY:意外とそういう面もあります。ビデオをいつも撮ってくれてる映像集団がいるんですけど、今回のアルバムの曲も撮ってもらいたかったから、そいつらが燃えるような曲を作りたかったんですよね。彼らはいつも、私が何を喋っても"それも嘘でしょ"っていじってくるんで、"私は嘘つきです"って曲を書いたら好きそうだなと思ったんです。そしたらまんまと引っかかって"MV撮る"って言ってくれて。

-なんのために嘘を?

EMILY:人に嫌われないためでしょうね。嘘が下手なんですよ。めっちゃついてるんですけど、生きるのが下手で。空気はめっちゃ読んでますけどね。怖いじゃないですか。生きるうえで人から嫌われるのが嫌なんです。私は自分が嫌いな人からも嫌われたくなくて、嫌いな人に"嫌い"って言われるのも嫌なんです。私は嫌いなんですけど、"お前は私を否定するな"と思うんですよね。

-嫌いな人に嫌われても良くないですか? しんどくないのでしょうか?

EMILY:みんなはそうやって生きてるじゃないですか。私はずっとそれについて考えてるんです。だから悩みが倍ですね。何もかも切り捨てられない。"私の何が嫌なんだ"とか考えてて、めっちゃめんどくさいですよ(笑)。そんなこと言ってると、"また言ってんの?"って、もう誰も聞いてくれなくなるじゃないですか。だから日記をずっと書いてるんです。

-それは人のことが好きだからそうなっちゃうんですか?

EMILY:そうだと思います。最近気づきました。人間が好きであり、大嫌いみたいな。半分半分。誰に対してもそうで、大好き、大嫌い。全然好きじゃない人に対してもそう思うんです。

-感受性が豊かというか。

EMILY:敏感? 病的? なのかな。私の情緒不安定なところのしわ寄せは全部KAWAGUCHI君に行きますからね。

KAWAGUCHI:普段、音源だけだと解決しない暗い歌を歌ってるんですけど、ライヴでは表情とかアクションとかで、多少明るい感じにできるから良かったんです。でもやっぱり音源だけで聴いたときでも解決させたいという気持ちがあったんで、今回はそれをなんとなく試してみました。

-だって「東横戦争」とか、もう笑う他にないですもんね。EMILYさんの東横線沿線の人を嫌いな理由って?

EMILY:私の周りの東横線沿線に住んでる人は地方出身の人が多いんですよ。それで成り上がろうとしてる感じが、ちょっと。それだけならいいんですけど、私は東京生まれ東京育ちでのほほんと生きてるのに、上から指図してくるわけですよ。中央線をバカにしてくるんです。世間を知らないような人が世間を知ってるような顔をしてるのが許せないですね。