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INTERVIEW

Overseas

Avril Lavigne

Avril Lavigne

デビュー以来3枚連続ミリオンという、日本の洋楽史上唯一の偉業を成し遂げている正真正銘のスーパー・スター Avril Lavigneが、5thアルバム『Avril Lavigne』よりおよそ5年ぶりとなる6枚目のニュー・アルバム『Head Above Water』を完成させた。数年にわたり難病"ライム病"と闘い、一時は死をも覚悟したという彼女から届いたのは、生きる勇気と希望を与えてくれる力強い歌声だった。壮絶な闘病生活を経て、世界中のファンが待ち望んでいた新作を完成させた彼女は、今何を思うのか? Avril本人に話を訊く。


今作は自然発生的にできあがったもの。これが今私の心が求めているものだと思って、自分のために曲を作っていた


-まずは心から"おかえり!"と言わせてください。

ありがとう。

-難病なだけに、治療と療養のみに専念するという選択肢もあったかと思うのですが、ベッドやソファーで今回の新作に向けた曲を書き、録音もしたそうですね。何があなたをそこまでさせたのでしょう?

ある時期、もう仕事がしていけるのか、音楽が作れるかどうかわからないという状況になっていたの。曲ができたのは、自然な出来事だった。ベッドにいて、もう死んでしまうんじゃないかと思った瞬間に、ある歌詞を思いついて。「Head Above Water」のコンセプトとかアイディアとか歌詞が、心の中に湧き上がってきたの。それは押さえようがなく溢れ出てきたわ。まったく想像していなかった出来事だった。当時は、それが私の1stシングルになるなんて、想像もつかなかった! それから、「Warrior」という曲をベッドルームで書いたの。この2曲はベッドの中で書いたんだけど、当時はアルバムを作るというプランはなかった。自然にそういう方向になっていったのよね。家にいて、時間もあって、ピアノの前に座ると曲がなぜか浮かび上がってくる。音楽のことを考えたりしてもいなかったのに、なぜか湧き上がってきたのよ。

-病気をして、一時はもう音楽活動を続けられないかもしれないと感じた時期があるそうですね。こうして活動を再開した今、ミュージシャンであること、音楽を作ることの意義を再確認したようなところはありますか?

とにかく、やりたいから、これが好きだから、という思いでやっていたわ。公式なアルバムを作るためにやっていたわけではなく、自分でやりたいから作っていた。自然発生的にできあがったという感じ。心から音楽が好きで、音楽が自分の人生の中で必要なものであるというのが見えたから、良かったって思っているわ。

-そして届けられた1stシングル「Head Above Water」が、ひたすら感動的で、涙を誘うと同時に慈愛で包み込み、さらには力も与えてくれるような曲に仕上がっています。改めて、この曲の完成までのプロセスを教えてください。お母さんの腕の中で書いたそうで......。

ええ。ベッドの中にいて、もう死ぬかもしれないと思っていた。母がベッドの脇で、私を抱きしめていて、そしてあるとき私は"溺れていくような感じ......"と言ったの。そして、"今、溺れないようにもがいているような感覚なの(It's like I'm trying to keep my head above water right now.)"と。そうしたら、ヴィジュアルのイメージが湧き上がり、いろいろなアイディアが浮かび上がって。とりあえず携帯電話に録音をして、それから全部書き留めたわ。

-Chad Kroeger(NICKELBACK/Vo/Gt)と共作したフィナーレの「Warrior」も、「Head Above Water」に劣らぬ力強い曲ですね。「Warrior」もベッドで書いたとおっしゃっていましたが、これも自然発生的にできあがった曲なんですか?

そうなのよ。あるとき、"私はWarrior(戦士)だわ"と思ったの。そんなことを考えていたら、この気持ちについて曲を書かなければといけないって思ったのよね。Chadとはもう一緒にはいないけど、まだ結構交流があって、そのとき一緒に仕事をしていたわけではなかったけど、私に曲のアイディアがある、というのを聞いて、レコーディングをして実際に形にしていくのを手伝ってくれたわ。「Head Above Water」と「Warrior」の2曲が今回最初にレコーディングした曲よ。

-「Head Above Water」が象徴するように、今回のアルバムは、病気との闘い、苦難を乗り越えること、ひいては"生きること"が、全体を通したテーマとなっていると考えていいのでしょうか?

そういうテーマを持っているのは、「Head Above Water」と「Warrior」の2曲だけかも。あとの曲は、私が少し元気になって、自分の人生を取り戻してから書いた曲だったから。この2曲は困難を乗り越えるための曲ではあるけど、ほかには恋愛について書いた曲もあるし、恋に落ちていくことについて書いた曲もある。「Dumb Blonde」は、よく言われる、"ブロンドの髪の毛をしている女の子は頭が悪い"という固定概念について書いた曲だし、「Tell Me It's Over」だって恋愛の曲で、懐かしい感じのジャズっぽい雰囲気を持っている曲。だから、恋愛とか、人生の様々な局面を歌っている曲もあるわ。