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INTERVIEW

Overseas

Avril Lavigne

Avril Lavigne

-先行シングル「Head Above Water」を聴いて、感情的にヘヴィなアルバムを予測している人も多いと思うのですが、実際は意外なほど軽やかな曲もあって、遊び心も随所に感じさせる、多彩なアルバムになりました。内容が重くなりすぎないように、ということはご自身でも意識していたんでしょうか?

私自身は、とてもシリアスなアルバムになってしまったのではないかしら? と懸念していたので、そんなにヘヴィなアルバムじゃない、という意見が聞けて良かったわ(笑)。あと、このアルバムは人々にとても勇気や力を与えるものになっていると思う。でも、過去の私の作品もずっとそういった要素は持っていて、それは変わらず今回のアルバムでも健在だと思っているけど、それがより深くなっている感じ。今、私は人生の違う局面を迎えているけれども、そんなに難しく考えたりせず、これが今私の心が求めているものだと思って、自分のために曲を作っていた。ラジオで流してもらうために書いていたわけではなく、ある方向性に向かわなければと思って書いていたわけでもない。私の心が赴くままに書いていたの。すべての曲が自然にできあがって、その曲に慣れ親しむ時間も持てた。期限までに間に合わせるというプレッシャーもなかったし、急かされたりもしていなかった。それってとても美しいことだと思うの。それ以外のときは"早く終わらせて!"という感じで作っていたから(笑)。

-今作の全編を通して強く感じるのは、あなたの歌声が持つ、神聖とも言える圧倒的な力です。大病を経験して人生観や死生観が変わったと思いますが、それによってご自身の表現にプラスになったものがあると思いますか?

悪い状況にあるときには必ず明るい兆しが見える、と考えるようにしているわ。長いお休みをとっているなかで、"現実の人生"を生きて、"これが人生を生きるってことなんだ"って感じることを経験できたって思っているの。そういった体験をすべて集めて、とても意味合いのあるレコードが作れたわ。軽くて、あまり自分にとっても意味のないポップ・ソングばかりではなく、本物で、人々を勇気づける意味のあるアルバムになっていると思うの。音楽はパワフルで素晴らしいもの。そういうものに人々は共感できるんじゃないかしら。

-アルバムを聴いて、あなたの声の力に驚かされました。病気の影響はまったく感じられないのですが、レコーディングにあたって改めてヴォーカル・レッスンを受けたりしたのでしょうか?

いえ、まったく何もしなかったわ。ただ歌ってみたら、もう声も十分に出ていたし、力強くてクリアだった。今とてもエモーショナルな境地に立っていて、それが音楽に表れていたと思うの。

-今回ソングライターとして重視したのはどんなことでしょう?

今回のアルバムに関して気をつけていたことは、このアルバムはヴォーカルの部分が一番大事なことだから、リスナーが歌詞をクリアに聴き取れるようにしたいって思っていたわ。エモーショナルな部分も同時に感じてもらえるように作りたかったの。プロデュースに関しては、プロダクションに埋め尽くされるようなものにはしたくなかった。過去にそういう傾向になった作品もあったから。プロダクションに関しては最小限に留めておいたわ。大音量のギターや、ドラムとかで埋め尽くしてはいない。ピアノを最初にレコーディングして、ヴォーカルをレコーディングして、それから、楽器に関してはヴォーカルをサポートし、ヴォーカルの部分が生きてくるような形で、歌の良さが損なわれないような形で音を乗せていったの。"Less is more approach"、つまり最小限に留めておいた方がより良い効果が得られる、と思っているわ。

-「Tell Me It's Over」は、どこか懐かしい雰囲気が漂うロッカ・バラードで、とても新鮮に響きます。何かからインスピレーションを受けてできた曲なのですか?

昔懐かしくて、ジャズっぽい雰囲気を持っている作品を作りたかったの。Billie HolidayやAretha Franklinのようなソウルフルな曲やスタイルのものを聴いていて、何か自分にとって新しいものにトライしたかった。またこの曲のメッセージは、熱い恋愛に陥っても、くっついたり離れたりを繰り返すような関係を続けるのか、それともここから先に進むべきなのか、それとも、もう関係に終止符を打った方がいいのか......いつかその決断を下さなければならない場合ってあるでしょう? 走り回るだけで、結局どうにもならない関係って、あまりいいことではないと思っているから。

-「Dumb Blonde」は、今作では異色なアップリフティングでチアフルな曲です。病床に伏しているなかでも、時にはこういうポジティヴなモードでいられたということでしょうか?

この曲は、ベッドで書いていないのよ。「Head Above Water」と「Warrior」だけがベッドの中で書いたもので、その他の曲は、もっと体調が回復して、スタジオに入れるようになってから書いた曲なの。

-そうでしたね。それで、こういったポジティヴなエネルギーを持つことができたんですね。

これはポジティヴなエネルギーというよりも、アップビートな感じの曲よね。

-その「Dumb Blonde」や「Birdie」では女性のエンパワーメントをテーマに取り上げていますね。こういう曲をあなたに書かせた、インスピレーション源を教えてください。

正直言って、全部私が経験したことが曲になっているの! 私は、強い女で、仕事もして、独立心も旺盛。しかも......あるとき私が関わっていた男性で、私のことを"Dumb Blonde(ブロンドのバカ女)"って呼んだ人がいたの。

-本当ですか......(笑)。

そうよ。本当のことなんだから(笑)。私が自信を持っていて、ちゃんと自己認識ができているっていうことや、私の強さに脅かされたんだと思うの。彼に"Dumb Blonde"って言われたとき、"このことについて曲を書かなくちゃ!"って思ったのよ! だから、実話なの(笑)。

-コラボレーターについて、一番気になるのはLauren Christyの名前です。デビュー作『Let Go』(2002年リリースのアルバム)で多くの曲を一緒に綴った彼女と、久しぶりに再びコラボレーションを行ったのはなぜでしょう? また、今回一緒にやってみていかがでしたか?

また一緒に仕事ができてすごく良かった! 素晴らしい会話をいっぱいすることもできたし。いろいろとお互いの近況の話をしたりしながら、数曲一緒に書いて、とても楽しい時間を過ごしたの。彼女との共作は数曲このアルバムに入っているんだけど、とても懐かしくって、1st(『Let Go』)のころの話もできたりして、すごく良かったわ。

-今回、プロデューサーはどういう基準で選んだのですか?

マネージャーやレーベルの人たちがプロデューサーを探すのを手伝ってくれたわ。曲ができあがってから、その曲に合うプロデューサーを探すのが一番大変で一番時間がかかったの。なぜなら、私自身の中で曲の方向性ははっきりと決まっていたんだけど、私が書いた曲を何人かのプロデューサーに渡して数バージョンほどアレンジをしてもらって、自分が思っているような作品になるまでは、新しいプロデューサーを起用してレコーディングをずっと続けなければならなかったのよ。完璧なものにしたいと思っていたから。「Head Above Water」は、名前は言えないけど、4、5人ぐらいプロデューサーがいたと思うわ。

-(笑)なるほど。自分が思った方向性にしてくれるプロデューサーを探すのに苦労したということなんですね。

そうね。そして、曲が音楽的であり、エモーショナルで、ヴォーカルが前面に出る必要があったの。曲をプロデューサーに渡すと、本当に予想とは違うあらゆる方向性に向かってしまったりするから、とても時間のかかる大変な作業部分ではあったわ。

-このアルバムを作ってみて、自分について新たに学んだこと、自分について発見したことはありますか?

さっき答えたとおりなんだけど、自然に曲が湧き上がってきて、自分のために曲を書いていく、ということを学べたって思っているの。私がどれだけ音楽が好きなのか、というのを再確認することができたわ。

-最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします!

私が病気から回復している間も、ずっと私のことを待っていてくれて本当に感謝しているわ。日本が本当に大好きよ。いつも私と、そして私の音楽を支えてくれてありがとう!