Japanese
秋山黄色
2019年02月号掲載
Interviewer:高橋 美穂
-YouTubeとかネット上で音楽を披露できる要素が、気づいたらすべて身についていたと。バンドも含めて"誰かとやる"っていう発想にはならなかったんですね。
そうですね。作曲が好きで、DTMでやるのが好きなので、ライヴをやるっていう発想にはならなかったです。友達とセッションはしますけど、バンドまではいかなかったですね。
-資料には"現役ニート"とありますが、ここまでお話をうかがっていると、友達はいたんですね。
友達もみんなニートなんです(笑)。
-そうなんだ。でも、孤独ではない。近しい境遇の友達はいるっていう。
聴かせる相手がいたんで良かったですね。いなかったらやっていなかったかもしれない。
-転機としては、2017年からライヴ活動を始めたという。
このあたりから動画を通じて声を掛けてもらうようになって、"ライヴやるよね?"、"そうですね"みたいな。興味がないわけではなかったので決心してやってみたら、めちゃくちゃ面白かったんです。
-そうなんですね。人前に立つことそのものも勇気がいりそうですけれども、面白かったと。でも、曲作りとライヴってどちらもアーティスト活動ではありますけど、全然違いますよね。ライヴのどういったところが面白かったんでしょう。
俺、ギター弾くのも歌うのも、そこそこ好きだったんだなって。それまでは録音の素材にしか思っていなかったんですけど。あと僕、中学のころは美術部だったし、明確に勝ち負けがあることをやってこなかったんです。ライヴも、音楽だから勝ち負けはないですけど、やりきった感みたいなものは感じられる場所だなって。
-お客さんのリアクションも目に見えますし、動員とか数字にも出ますしね。
勝ち負けではやっていないんですけどね。曲作りは好きですけど、ひとりでやっていると、だんだん自分が喜んでいるのかどうなのかわからなくなってきて。
-そういうときにステージに立ってお客さんを見ると、楽しさを再確認できるという。
そうですね。曲を作るのが楽しいので、それがいい曲かどうかはどうでもいい部分でもあるんです。ライヴは、作ったあとも楽しさが継続できるからいいなって。ちょっとお得なんですよね(笑)。本当に気に入った曲だと2日くらいずっと聴いていられるんですけど、次の日に聴いて飽きてしまう曲もあって。"なんでDTMしてるの?"って聞かれると、楽しいからなんですけど、楽しいことをやっているのって退屈だからなので、ライヴすると楽しさが長持ちするんですよね。お客さんに観たいと思ってもらえれば嬉しいですけど、僕自身の精神的にもいいことなんです。
-今作を聴いていると、ライヴでやることが想像できる曲もありますが、ライヴが曲作りにもたらした影響ってありますか?
ライヴをやり始めた以降の曲は簡単になっているかもしれないです。でも、"この前のライヴがこうだったから、こういう曲あったらいいかもな"って思う日もあれば、"ライヴを前提にしていたら俺の技術止まりだからだめだな"っていう日もある。考えるパターンが増えたんですよね。
-歌い方も、ライヴ映えするエモーショナルなものだと思ったのですが、これはライヴをやる以前からなんですか?
叫ぶ感じは、かなり最初からです。「やさぐれカイドー」は、ヴォーカルを録り直していて。最初はエグいくらい叫んでいたんですけど、声だけ浮いていたんですよね。だから、ライヴをやったことで、逆に曲にマッチする歌い方をするようになりました。叫びじゃなく歌声になるように。
-でも、本能的には叫びたい?
そうですね(笑)。
-勝手なイメージですけど、DTMで音楽を作っていらっしゃる方は、メロディへの忠実さを考えていることが多いように見えて。だから、秋山さんの楽曲は意外だったんです。
僕は嫌なことがあってから曲を作るんで、歌っていても怒っちゃう。喜怒哀楽で言うと、全部"怒"なんです。
-最初は友達のことを歌っていたけど、そこから"怒"を歌うようになった?
大した友達じゃないので、歌うことがなくなってきて(笑)。そこから自分のことを歌い始めたら、あれがうざい、これがうざいみたいなのが浮かんできて、曲を書こうとするとそれが出てきちゃうんです。本当は僕、お花のこととか歌いたいんですけど。
-お花(笑)!
"天気がいい"とかね。でも、宇都宮(※秋山の出身地)は天気が悪いし、道に咲いてる花も汚いので。環境が合っていないんですよね。
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