スピラ・スピカ

INTERVIEW

Japanese

スピラ・スピカ

2018年08月号掲載

スピラ・スピカ

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Member：幹葉（Vo）寺西裕二（Gt）ますだ（Ba）

Interviewer：高橋美穂

－でも、この夢に至るまでは紆余曲折があったわけで。先ほどの話に戻ると、オーディションでいい賞まで行くけど、もう一歩......みたいな時期がありましたよね。

寺西：僕たちの音楽が評価されるんだ！っていう嬉しい確認もできたんですけど、足りないものはなんだろう？っていう模索が始まって。やる気はあったんですけど、足りないものが何かわかるまではもどかしかったです。

幹葉：試行錯誤しましたね。かっこつけたりしてみたり。でも、喋ったらボロが出るかも！ってことで、MCでは次のライヴ告知だけにして終わるとか。変に背伸びもしたけど......これじゃない、ってなりましたね。

－その"足りなかったもの"ってなんだったんでしょうか？

寺西：本来の僕たち、っていうものに意識がいっていなかったんですよね。

－それに気づいたころに、バンド名も今の"スピラ・スピカ"に変えたんですか？（※2018年1月にバンド名を"スノーマン"から"スピラ・スピカ"に改名した）

幹葉：そうですね。前のバンド名"スノーマン"は、寺君（寺西）が間違えて付けたものだったし。

－間違えって、どういうことですか？

寺西：もともとは、強い、かっこいい、そして威厳のありそうな、ロック且つ女性ヴォーカルのバンドがやりたかったんです。そこで、バンド名もミステリアスな方がいいと思って、未確認生命体の雪男にしようと。そこで、本当は（英語で）"ビッグフット（BIGFOOT）"なんですけど、間違って"スノーマン"って付けちゃって。スノーマンの意味は雪だるまなのに。

幹葉：その間違えにメンバーも気づかず。

ますだ：スノーマンか。覚えやすいなぁ、って（笑）。

寺西：間違いに気づいたときにはすでに定着していたし、バンド名に3人の柔らかい雰囲気も出てるんで、これはこれでいいかと。

幹葉：自分たちがバンド名に寄っていったっていう（笑）。でも、上京することも決めたときに、間違えたバンド名のままでいいんだろうか？ってなって。だったら思い切って、新たな意味をつけて再スタートしたいと思って、バンド名を変えることにしました。

－本当に、一歩一歩進みながらここまで来たんですね。

幹葉：長かったかな？

寺西：でも、早かった気もする。

幹葉：これで良かったよね！

－今だからこそ、「スタートダッシュ」のような曲を作れたし、歌詞を共作した高橋久美子（ex-チャットモンチー）さんにも巡り合えたんじゃないんですか。

幹葉：そうですね。最初に"ガンダムビルドダイバーズ"の曲を作ろうっていうことで、彼（寺西）が作曲して、それに対して歌詞を書こうということになって。そのために5年間の思い出をノートに書き出しながら、こんなことあったな、あんなことあったなって思い出していたら、どんどん歌いたい気持ちが溢れてきたんです。でも、これは私の今の実力じゃうまく言葉にはできん！ってなって。メジャー・デビュー・タイミングの大切な曲になるし、誰かの力を借りて作品を作りたいなと思ったんです。そこで、私は徳島県出身なので、チャットモンチーも徳島で......久美子さんは愛媛出身なんですけど（笑）。高校生のときにチャットモンチーの曲を文化祭でやったりもしていたし、久美子さんにお願いしたら、一緒にやってくれることになって。とても嬉しい経験になりました！

－また夢が叶ったんですね。

幹葉：信じられないですね！

－ほんとに幸せそうな顔をしていますね（笑）。具体的にどうやって進めていったんですか？

幹葉：思い出を書き出したそのノートを見せて、お話ししながら考えていきました。久美子さんも四国の言葉で話してくれるので、なかなかに和やかな空気で。"じゃあ、こういうことを思ったんだよね？"とか、優しく聞いてくれて、ふたりで言葉を確認しながら作りました。ほんまえぇ人だったわ（※寺西とますだに向かって）！このふたりはまだ会えてないんですけどね（笑）。

寺西：話だけばんばん聞いているんです（笑）。

－"スタートダッシュ"というタイトルもぴったりですよね。メジャー・デビューというタイミングにも、"走るのが好き"ってプロフィールに書いている幹葉さんのキャラクターにも（笑）。これは、幹葉さんと久美子さん、どちらが決めたんですか？

幹葉：これは、実は彼（寺西）なんです！サビの"スタートダッシュ決めるよ"っていうフレーズは、寺君が曲作りの段階でつけた仮歌詞でハマりすぎていたので、そのまま残しました。

寺西：曲を作っているとき、タイアップとはいえ作品はまだ見ていない状態だったんです。でも、主人公と重なるように曲を作りたいと思って。貰った資料やトレーラーを見て、登場人物に当てはめて"スタートダッシュ"って書いてたら、これ、僕ら自身にも当てはまるんじゃね？ってビビっときて、タイトルにしようぜ！って。希望に溢れた明るい曲というよりは、ちょっと必死さがある曲にしたかったんです。

－歌詞もアニメに重ね合わせて書いていったんですか？

幹葉：そうですね。主人公のリク君は、最初はガンプラバトルするのが楽しいって感情だけだったんですけど、いざ戦って負けると悔しくなって、そこから強くなりたい！って思うようになって。それを見ていたら、自分たちみたいって思ったんです。歌うことやスタジオで合わすことがただ楽しくて、スタジオが終わったあとに鹿と遊ぶのも楽しかったのが（笑）、オーディションに出て勝ち負けがつくと、自分が、好きで大事にしてることで負けるのはめちゃくちゃ悔しい！って思ったから。それが、すごく"ガンダムビルドダイバーズ"の世界観ともシンクロすると思って。そんな話も久美子さんとしながら作りました。

－適任なタイアップだったんですね！

寺西：良かったです！

－で、もうひとつの曲のポイントなんですが、歌詞も印象的だしポップなんですけど、速いですよね。

寺西：速いですねぇ。

－言いたいこと、鳴らしたい音が、ギュッと詰まっていて。聴きやすさだけじゃなく、主張も感じられるところがいいと思いました。

寺西：ありがとうございます！

－でも、演者としては難しくないですか？

寺西：苦労はしましたね。でも、僕はこれくらい速い曲が好きで、つい作ってしまうんです。

幹葉：最初は大変だったよ（笑）！この曲に限らず、スピラ・スピカは速い曲が多いんです。このバンドに入るまで、私はKiroroやドリカム（DREAMS COME TRUE）とかのゆっくりした歌を好きで歌っていたので、最初は難しかったんですけど、だいぶ鍛えられました（笑）。走ってる感覚で聴いてもらえればと思います。

寺西：つい速い曲を作ってしまうというところも、School Food Punishmentの影響があると思います。